今のところ、エナルモンデポー125mg を2週間おきにしています。
本当はネビドにしたかったんですが、少なくとも3カ月はエナルモンデポーなどで生理を止めてからでないと駄目だそうです。
選択肢としては、125mg を2か3週間おき、250mg を3か4週間おき、というものでしたので125mg を2週間おきにしたわけです。
なぜそうしたかというのは、半減期の問題からです。
今回は、各テストステロン製剤の半減期と、ホルモン注射のインターバルについてよい資料が見つかったので、自分の考察も交えながら紹介したいと思います。
さらには、なぜネビの方ドがいいと思っているのかということについても良い論文がみつかりましたので紹介しながら書いておこうと思います。
以下の図は、なぜかGoogle に落ちていた
Testosterone: Action, Deficiency, Substitution, Third Edition の14章から引用させてもらいました。
これ、すごいいいですよ。本は14000円もするので到底買う気になれませんけど、各ホルモン剤の半減期等、知りたかった情報がまとめて手に入って満足です。約半分をGoogle で拾う事ができて、いやぁラッキーです
半減期というのは、体内の薬物量が1/2になるのに要する時間のことです。特に注釈が無い場合、血中からの薬物消失を指すことが多いそうです。半減期については、以前にも紹介?したホルモンテキストに詳細を譲ります。
エナルモンデポーという製剤は、テストステロンの一部を修飾して血中における安定性を高めたものです。この本に拠れば、4.5日だそうですよ。
テストステロンは元々半減期が非常に短く、10分程度だそうなのでそれから比べると、修飾をいれたことによって非常に伸びたことがわかります。
もちろん、テストステロンの投与試験なので、対象は一般男性でしょうし体重もかなり違うので体液量も違いますし、半減期も違うとみるのが普通でしょうが、せいぜい5日になるくらいかな、なんて思います。また、あくまで血中濃度なので、脂溶性の性ホルモンは体組織内に残っている可能性はあるとは思います。
以下の図は、このテキストに載っていた、エナント酸テストステロンの血中濃度のシミュレーションです。
250mg をそれぞれ、1, 2, 3, 4週間おきに打った場合ごとにグラフ化されており、点線内が適正値を示しています。
このシミュレーションからは、少なくとも一般男性の場合、250mgでは2週間おきが理想的だという事がよくわかります。3週間だと、適正濃度以下の期間が約1週間にもなってしまうため、血中濃度が不安定な事によって起こるような副作用が出てくることが考えられます。
ニキビなんかはホルモン値がまだ低く安定しない思春期に主にできるものですから、これは僕の勝手な考えですが、血中濃度がある一定濃度以上で安定していればこうした副作用は出てきにくいのではないかと思います。
これはシミュレーションなので、実際に試験した結果を調べてみましたら、出てきました。
ちょっとこれは勝手に引用するのはよろしくないので、もし見たいという希望のあるかただけに紹介するのみにしたいと思います。なので、詳しく知りたい方はご連絡ください。
100mg、200mg、300mg、400mgのエナント酸テストステロンをそれぞれ1,2,3,4週間おきに投与し、血中のT濃度の推移を観察したという報告です。
この報告からわかる非常に重要な点としては、一度に打つ量が2倍になっても、血中の最大値は2倍にはなってない点ですね。グラフからは、2倍どころか、1.5倍にもなってないように見えます。100mg/w の場合でも、初期血中濃度は初回から1000ng/dL 近くはあるだろうというのが僕の見解です。
じゃあ量を増やすと何が違うんだということですが、最高血中濃度を保つ期間が延びてるんじゃないかと思います。この報告の中のグラフでは、最後の投与後に、100、200、300、400mg投与群について採血をそれぞれ1日ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごとにしているので、それを考慮に入れて、投与後の日にちを同じ点で比較すると、100にくらべて200や300では血中濃度が半減し始める日が後ろにずれているのがわかります。この間はほぼ、最高血中濃度を保ったままやや水平に推移している感じです。
この報告を参考にして、250mg を3週間おきと、125㎎を2週間おきに打った時の血中濃度の変化を予想したグラフを自分で書いてみました。
半減期を5日、初回の初期血中濃度を250と125mgでそれぞれ1200、800ng/dL 、さらに半減し始める日は、投与から4日、2日と仮定してのものです。
血中濃度がベースラインに下がりきる前に投与できていれば、投与直前の値に上乗せされる形で次第に最高血中濃度も上がっていきますが、次第に頭打ちになります。
上記の仮定のもと、グラフを書いて、それぞれ21日目と14日目の血中濃度を算出すると次の投与時においては、125mgの方が、250mg投与よりも血中濃度を高く保っている(それでも基準値よりは低い)ことになります。
あくまで予想ですし、都合のいいグラフですから、パラメーター次第では125mgでも次回投与時には全く基準値に及ばないという可能性もありありなんですが自分はこんな風に考えて125mg/2w にしました。
そして、さらにこれがネビドだとどうかというと、本当に?と疑ってしまうくらいよいのですよ・・・
http://jcem.endojournals.org/content/89/11/5429.abstract
より、引用しますが、
実験のデザインの模式図です。上がTE: エナント酸テストステロン(エナルモンデポーみたいなの)下がTU: ウンデカン酸テストステロン(ネビド)です。ある時期以降は両方ともネビドを一定間隔で打つようにしています。その結果・・・
TE を打っていた群では、基準値に達していない一方、TUの群は血中濃度が基準値内で非常に安定しています。TE 群も、TUに切り替えてからは、基準値内で安定していますね。てか、データきれいすぎ。
単位はよくみるng/dL とかではなく、 nmol.L なので注意が必要です。この単位にした場合は、10-30nmol/L が基準値です(海外)。まぁ、TE でも8nmol/L なんで、320ng/dL はあるんですよ。だから少なくとも日本人的には基準値内なんですけどね。横軸が週じゃなくて、月ですから、すごいですよ。3カ月おきでこんなに安定してるなんて短いスパンで細かく見ても、(下、先のテキスト14章から引用)TUの血中濃度は非常にゆったりと推移することがわかります。
そしてなぜか、TU群は、DHT(ジヒドロテストステロン)の値もTEに比べて高いという結果に。
脂肪組織などに多いアロマターゼによって、エストロゲン(女性ホルモン)に変換されてしまうテストステロンとは異なり、DHT は変換もされず、アンドロゲンレセプターへの親和性も高いため、同一量当たりでは男性ホルモンとしての効果がテストステロンよりも高いのです。ただ、始めの6カ月は、TU投与群でだけな、ぜかE2の濃度が高くなる。始めはエナルモンデポーでやってからにしなさい、というのは、この辺に理由があるんでしょうか?
ま、とにもかくにも、遅くとも半年過ぎたら切り替えます。
こんなん見たら値段が多少高くてもネビドの方がいいとしか・・・
副作用についても調べているので、それはまた次回にしようと思います。






