春を待つ桜の蕾が少しずつ現れ始めたこの季節
ある人は今まで過ごしてきた日々と別れ、旅立ち、次の生活へと身を移し
ある人は今までを振り返り、更なる発展へと強き志を持って立ち上がる
そんな季節がやってきました
そんな季節が友人と自分にもある決意へと導いたのです
マインクラフトを始めて早4ヶ月
全ての始まりは更に2ヶ月前で、友人にマインクラフトの動画を紹介したことによって始まりました
最初は乗り気ではなかった周りの友人が、一人また一人とその独特な世界に引き込まれました
いつか買おう、そして一緒にやろう、心を躍らせながら語ったものです
最初は一つしかアカウントが無く、それを時間をずらす事で二人で共有し、また遊んだ時の話を休み時間が許す限り話したものです
実際にやる気になったのは自分と友人の二人だけでしたが、それだけでも楽しかったものです
ついにアカウントを別にすることができた時、マルチプレイを始めました
特に目標もなく始め、リスボーンされたのは森のど真ん中
木を切り、聖地をし、家を建て、農場と牧場を作り、仕掛けを作り、新天地へと向かい、また家を作り・・・
今思えば単純な繰り返しでしかなかった
家を作って見せ合い、採った鉱石を見せ合い、二人、時に三人、という寂しいはずの世界はとても元気と笑いあふれるものでした
新天地を目指したのはたぶんマルチを始めてから1週間後くらいでしょうか
実家は動物が多いせいでバグが多く、あまり長居はしませんでした
好んで使わなかったのです
そして今、春という季節は私たちに次の学年のプレッシャーを押し付けます
4月になれば3年
いや、3年になる前に勉強を始めなければ・・・
そう受験が待っているのです
長いようで短かった、とても濃密で、楽しかった日々は彼の一言で現実へと引き戻されます
「そろそろPCを封印しなきゃw」
いつの日か来る事はわかっていました
永遠というこの二文字は、存在しえない幻想で、人が作り出した過ちの一つ
でも彼は封印する前にせめてボスを倒し、エンドロールを見たい
そう提案して来ました
その話に乗らない訳がありません、ゲームをやろうと誘ったのは自分ですから
ついさっき、本当に数時間前、ボスであるエンダードラゴンの討伐へと向かいました
作りかけの彼の家にどことなく寂しさを覚えながらもエンダーを倒し、パールを集め、遺跡を発見し、万全の体制で臨みました
重い空気に包まれたジ・エンドの上空を飛ぶエンダードラゴン
少しずるをしたからか、ものの20分くらいで終わってしまいました
長いエンドロールが流れ(開発者からのメッセージでした)、それが終わると遺跡に置いてあったベットへと戻る
なんとなくここで終わるのは気が引けたのか、別荘まで、いや実家まで戻ろう、そう自分は提案しました
もちろんその提案に友人は乗ってくれて、実家に戻ることにしました
別荘まで戻り、ゲートをくぐり、ネザーを渡り、またゲートをくぐり、そして久しぶりについた実家
あまり使わなかったけど、どこよりも思い出深い実家
始まりにしてこれからここで終えようとしているマルチの物語
懐かしむ二人はしばらく辺りを探索した後、一番最初のリスボーン地点へと戻りました
「ここで匠にいきなり爆発されたんだよねww」
「残像も残っててあせったねwww」
「まだ家の上にビッグマッシュルームあんぞww」
「エンチャント部屋の仕掛け大変だったなぁ・・・」
他愛も無い思い出話を続けてみるも、やはりそのときは訪れました
「よし、じゃあ俺を封印してくれ!」
明るくそう言った彼は1つ下にブロックを堀り、自分に周りを埋めてほしいといったのです
願い通り、やりました
私はまだ封印するつもりは無く、むしろ封印なんて出来ないだろうと思っていたから、彼のように墓に入る気はありませんでした
でもよく考えてみたのです
「自分一人だけでマルチをやる意味はなんだろう」
そう思った自分は、一緒に俺も墓に入ると言い、初めの時のベットのように彼の隣に自分の墓を作りました
お互い自分の墓に看板をつけ、中に暗くならないように蝋燭をいれ、辺りを飾りました
いつか、そう、またいつかこの世界じゃなくても、またマルチで楽しく遊べるようにと願いながら・・・
こう思ったのは自分だけかもしれません
一年前のある日から、鮮明に覚えてるその日から
恐らくもう関われない
喋ることすらないかもしれない
そんな風にさえ思っていたのですから、この4ヶ月、いや6ヶ月の時間はきっと誰よりも大切にしてる
そう自分で言える自信があります
長い事書いてきました
彼はPCを封印すると言って、自分もそれに賛成しました
「受験だからね」
「お前は部活もあるからな」
しかし心の中では
まだ遊びたい!
なんなら3人で最初っからワールド作って、1週間に1回でもいい、それでいいから遊びたい
もしかしたらT君もやるかも、じゃあ俺ら4人で始めからでいいからやらないか?
そんな少年のような思いがあるんですww
そろそろ本気を出さなければいけない、大人にならなければいけない、今手を抜いたら一生後悔するかもしれない
そんなことは百も承知なのです
でももう少し考え直さないか?w
やっぱり遊びたいじゃんよww
さっき言ったとおり少しでいいからさ!
こんな甘い誘惑に乗ってくれるかはわかりません
彼は私以上に忙しく、大変で、決心の固い人です
そんな彼が私の望みに応えてくれる、その日まで、私たちは始まりの地にて眠ります
「ここに永久の創造主
ORDINARYBOy
眠る
どうか安らかに」
「ここに英雄
テイトク
眠りにつく」
「ありがとう、友よ
そして
ありがとう、マインクラフト」