先日、ニュージーランドの青年が、日本の精神科病院で10日間の拘束後に死亡した。
各紙が下記のように掲載している。
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日経電子版
精神科患者の身体拘束、大学教授らが実態調査求める (1)
精神科病院での身体拘束を減らそうと、杏林大の長谷川利夫教授や弁護士らが19日、「精神科医療の身体拘束を考える会」を設立した。同会は精神科病院での身体拘束が密室で行われているとして国に実態調査を求めるとともに、病棟を録画し家族らに公開することを訴えていく。
精神科病院での身体拘束は、自傷や他害の恐れがあると精神保健指定医が判断した場合に限って認められる。だが対象者は年々増え、厚生労働省の2014年度調査では1万682人に上る。
身体拘束を巡っては、ニュージーランド国籍の男性(当時27)が今年5月、神奈川県内の入院先の病院で身体拘束中に心肺停止の状態となり、別の病院で亡くなった。男性の母親、マーサ・サベジさん(60)は19日、厚労省で記者会見し「身体拘束はやるべきではない。なくしてほしい」と訴えた。
毎日新聞
<NZ男性>措置入院中に身体拘束死亡 遺族「人権侵害」(2)
日本で措置入院中に身体拘束を受けたことが原因で死亡したとして、ニュージーランド人男性の遺族が19日、東京都内で記者会見し「日本は患者の人権を著しく侵害している」と訴えた。支援者らと「精神科医療の身体拘束を考える会」を作り、今後、同様の事例を調べたり署名を集めたりし、安易な身体拘束をしないよう制度改正を呼び掛けていく。
死亡したのは、国際交流事業で英語教員をしていたケリー・サベジさん(27)。2015年に来日した。同会によると、精神疾患に伴う行動でけがをする恐れなどがあるとして4月末に神奈川県内の精神科病院に措置入院し、直後からベッドに拘束された。10日後に心肺が停止し、その後に死亡した。長時間体を動かせない場合に起きるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)による肺塞栓(そくせん)を起こしていた可能性があるという。
精神保健福祉法では、精神科の患者の拘束や隔離が限定的に認められているが、近年は多用される傾向にある。厚生労働省の2014年6月の調査で、身体拘束されていた患者は1万682人に上り、10年前から倍増した。
「考える会」の呼びかけ人代表の長谷川利夫・杏林大教授の調査によると、先進諸国の患者1人当たりの平均拘束時間は数時間〜数十時間だが、国内は平均96日間に達するという。
来日した母マーサさん(60)は「息子は日本が好きで生活を楽しんでいた。動けないまま亡くなり、本当に悲しい最期だった。身体拘束をなくしてほしい」と話した。
弁護士ドットコム
精神科病院で身体拘束された外国人が死亡…遺族ら「不必要な拘束やめるべき」と訴え(3)
遺族側は、身体拘束による「深部静脈血栓症」が死因だと考えて、病院側に診療記録を公開するよう求めている。母のマーサさんは会見で「ケリーが受けた拘束について、理解ができません。拘束されている姿にショックを受けました。本当にひどいと思いました。まるで中世の映画を見ているかのようでした」と振り返った。
兄によると、ケリーさんは入院する前に暴れていたが、病院では落ち着いていたことから、『拘束する必要はないのでは』と病院側に伝えていたという。兄は「精神病患者の人権を著しく侵害してよいのでしょうか。こんな悲劇が今後二度と起きないように願ってやみません」と声を震わせた。現段階で、病院に対して法的措置をとる予定はないが、診療記録の公開等がない場合には検討するという。
●「身体拘束をルーチンでおこなう病院が多くなっている」
この日、専門家や弁護士、ジャーナリスト、当事者その家族でつくる「精神科医療の身体拘束を考える会」が発足した。呼びかけ人の一人で、会見に同席した杏林大学保健学部教授の長谷川利夫氏によると、精神科病院での身体拘束が2014年までの10年で倍増している。また、長谷川氏が11の病院を調べたところ、身体拘束日数は平均96日にのぼったという。
長谷川氏は、ケリーさんのようなケースを「氷山の一角」と考えている。身体拘束が増えている背景について、長谷川氏は「精神科救急病棟が増えている中で、入院すると『とりあえず身体拘束からはじめる』という思想がある。身体拘束をルーチンでおこなっている病院が多くなってきているのではないか」と指摘した。
長谷川氏は「不必要な身体拘束は即刻やめるべきだ。治療にいいわけがない。本当にやむを得ない場合にかぎって、実施すべきであって、かぎりなくゼロに近づけるべきだ」「実施過程を録画して、あとから検証できるようにすべき」と主張した。「考える会」は今後、不必要な身体拘束をやめるよう国に積極的に働きかけていくという。
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「精神科医療の身体拘束を考える会」は現在「change.org」(5)で賛同者を募っている。
ニュージーランド出身のウェイン・ダグラス氏は、「世界ベンゾ注意喚起の日」(W-BAD)による厚生省陳情訪問の翌日、当該ニュースについて連絡を受けたそうである。
ダグラス氏のFacebookの記事(4)を一部抜粋転載
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日本の精神病院のひと月の死亡退院は1800人で、この数字は、例えば副作用で他院に転院した方の数字ではなく、入院してから比較的早く亡くなった方の数字だとどこかで読んだ記憶があります。
別に、何十万もの人が無謀ともいえる向精神薬の投与により、社会の中で、家庭で、孤独のうちに苦しんでいます。
ケリーは日本で明らかに向精神薬が処方されていた(恐らく多剤併用でベンゾジアゼピンも)。
この国の典型として、恐らくインフォームドコンセントは行われていなかったであろうし、諸々の危険性についての注意もなされてなかったであろう。多剤併用や急に薬を止める事の危険性も含めて・・・
記事によると、厄介な副作用が起こりケリーは薬を飲むのを止めた。
このような場合、急性の激しい離脱症状は大いに起こりうる。その結果、躁状態が起こったのではないか?
無能な医師にはこのような認識はなく、ケリーを10日間拘束し、それが最終的に死亡に結びついた。
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ダグラス氏は怒っている。彼の推測は正しいだろう。
精神科で向精神薬が処方(多剤併用でベンゾジアゼピンも)
→ 多剤併用で体調悪化
→ 精神病院に入院措置
→ 厄介な副作用が起こり断薬
→ 急性の激しい離脱症状
→ 躁状態に陥る
→ 身体拘束10日間
→ そして「死亡退院」
「日本の精神病院のひと月の死亡退院は1800人で…」
何度「ニコ呟…」で、このフレーズを書いたことか…
では、何故「精神科病院での身体拘束が2014年までの10年で倍増している」のだろうか?
調べていると4年前、日本精神科病院協会(略称・日精協)発刊の雑誌に掲載された、
日精協会長・山崎 學氏の巻頭言「正念場」に以下のような文章が載っている。
私はその文章に「身体拘束の倍増」の原因の一つを感じ取った。
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「正念場」抜粋 (6)
2012年、日本精神科病院協会は「我々の描く精神医療の将来ビジョン」を提案し、精神科医療提供者自身の意識改革・挑戦を会員に呼びかけ、大胆に精神科医療改革を推し進めようとしている。まさに、「賽は投げられた」状態である。
国が真摯に改革を行う覚悟があるならば、精神科病床の機能分化に対して大規模な予算付けをし、既存の精神科病床の機能分化と地域移行施設整備を行わなければならない。2013年に予定されている医療法改正、精神保健福祉法改正、さらには2014年度診療報酬改定に、その覚悟のほどを示すべきである。精神 医療改革のスピードは予算次第である。われわれ精神科医療関係者は、低医療費政策による継子扱いに我慢の限界がきている。
安倍内閣のもとにおける精神科医療改革を目指して、会員一同団結しなければならない。 精神科医療の正念場である。 2013年02月 会長 山崎 學
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詳しく知りたい方は「検索サイト」で「日精協 安倍総理 山崎學」と入力すれば情報を入手できます。
蛇足ですが検索ワードに「普精会」も追加すれば…
参考になれば幸いです。
nico
参考・引用
(1)精神科患者の身体拘束、大学教授らが実態調査求める
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19HA9_Q7A720C1CR0000/
(2)<NZ男性>措置入院中に身体拘束死亡 遺族「人権侵害」
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0719/mai_170719_0397712574.html
(3)精神科病院で身体拘束された外国人が死亡…遺族ら「不必要な拘束やめるべき」と訴え
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0719/bdc_170719_2186763717.html
(4)Benzo-case-japan(facebook)
https://www.facebook.com/BenzoCaseJapan/posts/1390621911058922
(5)「change.org」
(6)日本精神科病院協会(政治連盟)の「政治献金」問題
https://blogs.yahoo.co.jp/taronanase/61935290.html