夢想

夢想

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長い太陽が   地平線の下に沈む
昼と夜が混ざった藍色の空が
黒一色に染まる

君と僕は
言葉も交わさずにそれを待つ
ただまっすぐ前を向いて
この空気をこの身に刻みながら

やがて
一筋の光が空に向かって立ち昇る
そうしてそれは弾けて暗い闇を彩る

光が一瞬照らす
周辺の闇を
僕の顔を
君の横顔を

君と僕は  あの時と同じように
咲いては消える火花を見つめている

あの時と同じ浴衣で
あの時と同じ場所で
あの時と同じ距離で


触れそうで触れないお互いの袖
それが今の君と僕の全てだ



何度か前の夏のこの日
僕らはひとつの約束をして
あの駅前で待ち合わせをした

あんなに待ち遠しかったのに
君が目の前に現れたら
どうすればいいのかわからなくて
目を合わすことすら出来なくて
ぎこちない歩幅で歩いた

その時に君が見せた   はにかんだ笑顔
今でも僕は鮮明に思い出す



辺りを照らす火花
遅れて響き渡るその音は
僕の鼓動と混ざって押し寄せる

触れそうで触れないお互いの袖
その距離ほど永遠なものはなかった
何度もこの距離を繰り返して
ようやく手が届く距離まで辿り着いたのに



いつからやり直せば
これから先もまだ君といられたのか
何が間違っていたのか
どこから間違えたのか
できるなら
こうして二人並んで花火を初めて見たあの時から
もう一度やり直したい

君のあのはにかんだ笑顔を
叶うなら僕はもう一度見たい



君は言った
綺麗な思い出でいたいと
だから一番純粋なあの時を
君は最後に選んだ



触れそうで触れないお互いの袖
その間を   全てを見透かすように
打ち上げ花火の音が駆け抜けていく

あともう一度
花火が上がれば
君と僕は別の道を歩き出す