目からうろこ『誤解された仏教』
日本に伝わった仏教は、日本土着の思想とまじりあって、
もともとの釈迦の思想とは全く違うものになりました。
それが悪い、というわけではないですが、
「もとはどうだったのか」を知る上で、勉強になる本です。
エッセイ風に、やさしい文章で書かれているので読みやすい。
少しは仏教を勉強した今となっては、
そんなに驚かないけれども、
最初この本を読んだときは、「へぇ」「へぇ」の連続でした。
目次の見出しをいくつか挙げると
・仏教は「無霊魂論」である(「たましい」を認めない)
・仏教は本来葬式・法事に関わらない
・仏教は「無神論」である
・仏教は「神秘主義」ではない
・正しい仏教は土着思想と対決する
・死者を「仏」と呼んではならない
これを読んでおけば、少なくとも、
仏教を利用したいんちきカルト教団にはひっかからないですむ、
と思われます。
だって、神秘的な呪文で奇跡を起こしたり、
先祖の霊のために墓石を売ったりするのは、
まったく仏教じゃないですもんね。
著者の秋月龍珉先生は、1999年に亡くなっていますが、
宗教哲学の研究者であるとともに、臨済禅の実践者でも
あるとのことです。
著作集が14冊もある! いつか挑戦する所存です・・・・。
(『誤解された仏教』秋月龍珉著 講談社学芸文庫)