教義が違っても仏教!? 『インド仏教変移論』 | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

教義が違っても仏教!? 『インド仏教変移論』




釈迦むに・スーパースター ~そのうち悟りたい~-変移論

これは専門書なので、「わかんないかなあ」と思いつつ
思い切って買ったら、やはりわからない、どころか
読めない漢字が山ほど出てきました。


「なぜ仏教はこんなに多様化したのか」。
初期の仏教から、阿弥陀信仰の浄土教、後期の密教まで、
その教えはあまりにもバラバラです。
というよりも、本質的には「言ってることが釈迦と真逆だよ」
という部分もあります。
それらが、なぜまとめて「仏教」を名乗れるのか?


著者の佐々木閑先生の、この問題設定にものすごく興味があり
読んでみました
(8000円もするのに、わからなかったらどうしよう、と思いつつ)。


でも、一番のポイントはわかりました。
佐々木先生は、その根本原因を「破僧の定義の転換」に見ます。

「破僧」とは、「僧団の和合状態を破壊し、僧団を分裂させること」で、
両親を殺すのに近いぐらい重大な罪とされて、追放処分となります。


もともと「釈迦が説いた正統な教義と違う説を唱えて、
あるグループを率いて僧団を分裂させる」
のが「破僧」だと
されてきたのですが・・・
その「破層」の定義が、
ある時期に大きく変わったらしいというのです。


ざっくり言うと、あるグループが「僧団の行事や儀式を、自分たちだけで
勝手に行うこと」
が「破僧」ということになったと。


そうすると、違う教義を唱えていても、行事を一緒にやっていれば
僧団を追放もされず、ちゃんと仏教徒である、ということになります


そんなのありかーー!?と、びっくりしませんか。


しかも、「破層」定義の転換は、アショーカ王の頃=紀元前3世紀に
起きたらしいのです。
てことは、釈迦が亡くなってからわずか100~200年後です。


早すぎないかーー!?


そんなにすぐに、「教義が違っててもOK、キミも仏教徒だよ」となれば、
そりゃあ、教えが多様化しまくるのは不思議ありません。

以上のことを、佐々木先生は「律」やさまざまな資料をあたって
検証していくのです。


いやー、驚いた。


『インド仏教変移論』佐々木閑著、大蔵出版、2000年