トムはそっと隣に座り、
「君の名前は?」
「メアリーよ。あなたは?」
「トムだ。メアリー、君はどこから来たんだ?
服も着ず、本も知らないなんて」
メアリーは少し俯き
「たまに日向ぼっこしにくるの。今日来てみたら
この本が置いてあって…」
風がまたヒュルリとやってきて、彼女に
まとわりつくように見えた。
これからどんどん寒くなる。
トムは色々聞きたかったが、手を差し出し
「とりあえず服を買いに行こうよ」と
ニコリと笑った。不思議な猫だと思いながら。
メアリーはトムの顔をジッと見て
「ありがとう」と言った。