走ってはいけない。
重いものを持ち上げてはいけない。
いきんではいけない。
減塩食にする。
肉体労働は禁止。
退院にあたって、医者から言われた注意点はこんな感じ。

無理をしたら、解離が再発したり、大動脈が破裂する危険がある。
大動脈が破裂してしまったら、普通のケガのようには止血はできないので、即死だ。
頭の中では、噴水のように吹き出す血を思い浮かべている。

歩くときは、できるだけゆっくり(といっても、早く歩くことはできない)歩いているので、街中ではできるだけ端の方を歩くようにしている。
歩道でむちゃな運転をする自転車が近づいた場合は、急によけることができないので、立ち止まるしかない。

横断歩道は、渡るのに時間がかかるので、青信号に切り替わった直後でしか渡ることができない。
普段なら早足で渡っていた道路も、渡るタイミングを考えて、信号を見ながら立ち止まることが多い。

一歩家を出たときに、自分の体についてのイメージと、実際の動きとのギャップに毎回がく然とする。

通勤時間帯は、大混雑の中を歩いていかなければならない。
とても無理だ。
通勤時間帯を外して病院に通院するときでさえ、精神的にも疲れて、往復でぐったりだった。
「しばらく通勤はできない」
そう会社には伝えた。