ICUでは、絶対安静だった。
看護師さんに毎日、体を拭いてもらっていた。
入院して3日ぐらいは、点滴だけで、食事はなかった。
出そうになったら言って欲しいと言われたが、その間、大便は出なかった。
動いてはいけない、身の回りのことは全部看護師さんにやってもらいなさいといわれた。
体の内部で何か大変なことが起きたのだ、しばらく歩くこともできないのだ、ということでぼう然としていた。

疲れたり肉体的なショックがあったせいなのか、入院当初の3日ぐらいは、今思えば、精神的にちょっとおかしな感じだった。
目をつむれば、何か見えるものがあり、探したり見て回ったりすることができた。
あぁ、そうか、バイタルの機械(心電計)は病院のネットに繋がっているから、それ経由で色々見て回れるのか、とふと考えたり、あれ?そんなことはあり得ない、とふと目を覚ましたり、疲れて夢見てるんだと考えたり、再び何か夢中になって見て回ったり、という夢か幻覚かを目をつむってずっと一生懸命見続けているような、変な状態だった。
目が覚めたら、現実の病室にもどり、目をつむればすぐにその世界に帰ってゆく感じだった。
頭の中は、ずっと何かで忙しかった。

退院した今では、目をつむれば幻覚、といったようなことは全くなくなった。
あれは一体なんだったのだろうか?