ベトナムの最高指導者、グエン・フー・チョン共産党書記長が19日、首都ハノイの病院で亡くなりました。80歳でした。チョン書記長は党の規約を超える異例の3期目を務めていました。

グエン・フー・チョン書記長は、国会議長などを経て、2011年にベトナムの最高指導者である共産党書記長に就任しました。

その後、前回2021年の共産党大会で改めて書記長に選出され、党の規約が定める任期の「連続2期10年」を超え、異例の3期目を務めていました。

外交では、日本やアメリカだけでなく中国やロシアなど各国との関係強化に取り組み、国際社会の二極化が進む中でも全方位外交を主導しました。

日本には、2015年に訪問し、当時の安倍総理大臣との間で両国の友好協力関係や安全保障における協力の拡大を確認しました。

一方、内政では、深刻な社会問題となっている汚職の撲滅に向けて、党や政府の幹部などに対する摘発や処分を推し進め、最高指導部での辞職が相次ぐ異例の事態が続いていました。

チョン書記長をめぐっては、ベトナム共産党が18日、病気の治療に専念し、序列2位のトー・ラム国家主席が事実上の代行を務めると発表していました。

ベトナムの国営メディアによりますと、チョン書記長は19日老衰と病気のため首都ハノイの病院で死去したということです。

岸田首相が弔意の書簡を送る

死去を受け、岸田総理大臣はファム・ミン・チン首相宛てに弔意の書簡を送りました。

書簡では、「チョン書記長が逝去されたとの報に接し、大変驚くとともに深い悲しみに包まれている。日本政府および日本国民を代表し、ベトナム政府やベトナム国民並びにご遺族に対し、謹んで哀悼の意を表する」としています。

また、チョン書記長が、日本とベトナムが包括的戦略的パートナーとして広範な分野で緊密な協力関係を築いていく際に大きな指導力を発揮したとした上で、チョン書記長の両国の関係に対する多大な貢献に心から敬意を表するとしています。