では「耐久性」とは、具体的に何を意味するのでしょうか。
住宅は、雨や風、太陽光、湿度変化などによって、日常的にダメージを受け続けています。また、海岸の近い家なら、潮風でさらに大きなダメージを受けていることは想像がつくでしょう。加えて、地震や台風、大雪などの自然災害からも深刻な影響を受ける場合があります。
耐久性とは、こういった外からの影響に対して、どれだけ長く持ちこたえられるかを測る性能のこと。今回は家の耐久性の根本である「構造」、なかでも鉄骨住宅を取り上げていきたいと思います。
※ちなみに、住宅建築に使われる「鉄」は専門用語では「「建築用鋼材」と呼ばれれますが、この記事ではわかりやすくするために「鉄」で統一します。
壁の内部の鉄骨でも
錆びる可能性はある
風雨にさらされる住宅。耐久性の優劣はその家の良し悪しを測るバロメーターに
しかし、ご存じのとおり、鉄は錆びる性質があります。錆とは、鉄が腐食されて発生するもの。もう少し詳しく言うと、鉄が酸にむしばまれて、薄く、細くなっていく状態です。錆びることで、鉄の強度は少しずつ劣化してしまうわけです。
鉄が錆びることを防ぐ対策といえば、一般的なのは表面のペンキ塗装です。ペンキで鉄の表面に膜をつくることで、錆の発生原因となる水分や酸素をシャットアウトしてしまうわけですね。
ただ、ペンキの塗膜は時間の経過と共に劣化していくもの(ペンキが剥がれ、そこから錆が発生しているのを見たことがある人はいませんか?)。そうなってしまったら、再度ペンキを塗って防錆処理をしなければなりません。
マンションの鉄製手すりや公園のベンチなら、このようにペンキを塗り替える作業は簡単にできます。では、鉄骨住宅の内部に使われている鉄骨の場合は?何しろ壁の内部におさまっているのですから、そう簡単に手は出せません。
となると、鉄骨住宅に使われる鉄骨には、あらかじめ、できるだけ長い間錆びないための対策が必要になるのです。
高い耐久性を実現する
最新コーティング技術
例えば、積水ハウスの鉄骨住宅では、鉄の表面に鉄より腐食しにくい「亜鉛メッキ」を施しています。さらに「リン酸亜鉛処理」、そしてその上に「カチオン式電着塗装」という、強固なトリプルコーティングを施しています(右写真参照)。「カチオン電着塗装」というのは耳慣れない言葉だと思いますが、実は、車のボディの塗装に使われている身近な技術。車は、常に紫外線や雨風にさらされてい ますが、傷などがついて塗膜がはがれない限り、そう簡単に錆びませんよね? このことから、カチオン電着塗装の高い信頼性がおわかりいただけると思います。
では、このトリプルコーティングにはどのくらい効果があるのでしょうか?
下の写真は、鉄骨サンプルに傷をつけ、500時間(=約3週間)塩水を噴射し続けて錆化を促進させた試験結果です。
トリプルコーティングの防錆力は一目瞭然!
右の赤茶けた鉄には一般的な塗装しかしておらず、試験後にはかなり錆が進行しています。一方、亜鉛メッキ+リン酸亜鉛処理+カチオン電着塗装を施した左サンプルは、ほとんど錆が発生していません。
あえて完全密閉しない「壁体内通気」という技術も
耐久性の向上に一役
このような防錆対策に加えて、さらに、念には念を入れた仕組みもあります。通常、屋外側には外壁が、部屋側には内壁が貼られるため、鉄骨住宅の鉄骨が雨風や紫外線にさらされることはありません。しかし、暖かく湿った空気が壁の内部に入り込んで結露が発生した場合には、錆の進行、さらにカビや細菌の発生につながる可能性があります。
そこで積水ハウスでは、外壁と骨組の間に発生した湿気が、外へ抜け出ていけるような仕組みを開発しています(下図参照)。
「そもそも、湿気が入らないように完全に密閉すれば、錆やカビなんて無縁になるのでは?」という声があるかもしれません。
しかし、鉄骨住宅といえども、内装には木材を含むさまざまな建材が使われています。とくに木材は元々湿気を含んだ材料。秋から冬にかけて、乾燥する季節に なると湿気を排出しようとする性質があります。仮に完全に密閉してしまうと、壁の内部に湿気が溜まってしまい、鉄骨が錆びたり、結露が発生する恐れもあり ます。あえて密閉せず、適度に湿気を逃がす構造は、やはり必要なのです。
壁の内部にあり、後から対策を施すことが難しいだけに、あらかじめどれだけ錆や結露に対して配慮されているか。このことが鉄骨住宅の耐久性を大きく左右します。購入を検討される方はご注意ください


