スラムドックミリオネア
この映画は、その積み重ねの一切を否定した作品なのかもしれません。学問的に何も積み重ねることがなかったスラム街の青年が、超難問のクイズを次々と答えていくのですから。今日からあなたも計算的積み重ねではなく、偶然的積み重ねをしていきませんか。目の前にたまたま存在しているご縁を楽しみ、その偶然を積み重ねていくのです。病みつきになるかもしれませんよ(笑)
レッドクリフ
レッドクリフ
【記事】
三国志、赤壁の戦いを映画化した二部作。
史実とされているストーリーとは、ひと味違った展開でございますが、圧倒的優位をほこっていたはずの曹操軍の敗因が、たった一杯のお茶にあるという点が非常に面白いですね。日本の茶道でも、戦の前に一杯のお茶をいただいてから、武将は戦場へと向かいました。心の執着した部分を流してからではないと、戦に勝てないということなのでしょうか。
喫茶去。
この言葉は、ただ単にお茶を一服召し上がって、去りなさいという意味ではなく、中国の西湖を一気に飲み干すような気概を持って、お茶一杯をいただきなさいということらしいです。つまり、良いことも悪いことも関係なく、何にもとらわれないで生きていくということではないでしょうか。
たった一杯のお茶の意味を理解していた者たちと、たった一杯のお茶そのものにとらわれてしまった者の差を是非、ご覧になって下さい。
ベンジャミン・バトン
ベンジャミン・バトン
http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/
【記事】
「交差の美」という言葉がございますが、ひとりの女性の美しい人生という直線に、ベンジャミン・バトンの数奇な直線が交差することは、かくも美しいものかと思わせられる作品です。今にも死にそうな老人から人生を始めたベンジャミンは、当然のことですが、我々の出発点とは大きく異なり、全く違う地点へと直線を描いていかねばなりません。今日の日本における多くの恋愛は、共に同じ道を歩まんと、似たような線を何度も重なり合うように描こうとしているように見えます。しかし、ベンジャミンの恋は、恋人の直線と交差する点が一点しかありません。その一点に向かう美しさ、そして、その一点から離れていく哀しさが、陰陽バランスよく散りばめられています。
「出る杭は打たれる」という諺がございますように、日本人は伝統的に、和を大切にしてきた民族です。しかし、ベンジャミンのように、もともと出る杭としてこの世に生を受けてしまったら、これはもう「出過ぎる杭は打たれない」を目指した方が、賢いのではないでしょうか。自分という魂の杭を誰もが打てないほど、激しく燃やしていくのです。ベンジャミンが少年時代(といっても、外見は老人ですが)にかけられた言葉が、「ユニーク」です。ユニークの「ユニ」は語源的に「一」。たった一本の誇り高き杭を目指すのも悪くないかもしれませんね。



