ネクスト・ドアストーリーとはストーリーの重要なポイントで、読者のアナタが主人公の行動を選べるWEB小説です。
現在、このブログでは「別れさせ屋」CHAPTER1~隣りの男~を公開中。
ネクスト・ドアストーリーホームページでは「別れさせ屋」CHAPTER2~ホストの花道~を公開してます。こちら→http://www.t-storia.com/
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更新情報
大好評のネクスト・ドアストーリー。
隣りの男<Chapter03>最後の恋は楽しんで
いただけますでしょうか?
ネクスト・ドアストーリーのサイトでは、
先日、みなさんに投票いただいた、
物語の続きの結果を発表しております。
(→前編を読む )
みなさんに投票いただいた、以下の3つの選択肢。
いったいどんな結果になったでしょうか?
<1>樹根、ついに真実の愛を手に入れる
<2>樹根、痛恨・・・またもや失恋!!
<3>樹根、彼のために生き方を変える(orオカマをやめる)!?
発表はこちら です。
ネクストドアストーリー
隣りの男<Chapter03>最後の恋は楽しんで
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ネクストドアストーリー
隣りの男<Chapter03>最後の恋 をUPしました。
隣りの男の新作ストーリー、
<Chapter03>最後の恋
をUPしました。
-----------------------------------------------------------------
オカマタレント樹根(じゅね)が恋に落ちた。
相手は年商500億円。
今をときめくIT社長だ。男でも女でもない人類愛の行方はいかに!?
-----------------------------------------------------------------
今回は静岡で活躍中のタレント樹根さんがモデルのこの小説。
2人はこのあとどうなるのでしょうか?
もちろん、前回と同じく投票もありますので、
みなさんもぜひ参加してみてくださいね。
ぜひ、ご覧ください。
ネクストドアストーリー <chapter3> 最後の恋はこちら
※この物語はフィクションです。
<Chapter03>最後の恋
をUPしました。
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相手は年商500億円。
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※この物語はフィクションです。
ネクスト・ドア ボイスアップ!
本日、ネクストドアストーリー
ネクスト・ドア ボイスページが
UPになりました。
投票の際にみなさんにいただいたコメントをみることができます!
ぜひ、ご覧ください。
※この物語はフィクションです。登場人物は実在しません。
http://www.t-storia.com/
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ぜひ、ご覧ください。
※この物語はフィクションです。登場人物は実在しません。
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ネクストドアストーリーホームページ更新情報
本日、ネクストドアストーリー
小説の舞台<SHO'SROOM>ページが
UPになりました。
物語に登場する翔の住んでいるマンションや
お気に入りアイテムが紹介されています。
ぜひ、ご覧ください。
※この物語はフィクションです。登場人物は実在しません。
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隣りの男<Chapter02>ホストの花道 後編をUPしました。
お待たせいたしました!
みなさんに投票いただいた
ネクストドアストーリーホームページ の
隣りの男<Chapter02>ホストの花道 後編 をUPしております。
ご感想やご意見もお待ちしております。
では、波乱の展開の続編をお楽しみください・・・・。
前編はこちら
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「ネクスト・ドアストーリー」ホームページのお知らせ。
ネクストドアストーリー「隣りの男」 01~別れさせ屋~
はいかがでしたでしょうか?
これからのりり子と健太の関係がどうなっていくのか?
りり子の女性としての生き方も気になるところではありますが・・・
ネクスト・ドアストーリーHP では新連載が始まってしまっているんです!
その名も
「CHAPTER02 ホストの花道」
今回の主役は翔というホスト。
どうやら過去に何かあったらしいのですが・・・。
謎に包まれています。
CHAPTER01「別れさせ屋」に登場した健太も登場しますヨ!
最近TVでもホストが特集される番組が多いけど
ホストの世界ってどんなかんじなんだろう・・・。
小説の世界ですが、ちょっとだけ裏側を覗くことが
できるかもしれないですね!
よかったら、ホームページで新たなストーリーを
楽しんで、後編の投票にも参加してみてくださいネ。
ご意見・ご感想などもコメントいただけるとうれしいです!
★ネクストドアストーリー「CHAPTER02 ホストの花道」はこちら ★
★ネクストドアストーリーとは?
はいかがでしたでしょうか?
これからのりり子と健太の関係がどうなっていくのか?
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★ネクストドアストーリーとは?
01~別れさせ屋~後編C-完
自分でもよくわからないでいる。この時の自分自身が。どうして、あんなに腹立たしかったのだろう?いらいらしたんだろう?
健太とはこれでもう会わないだろう。会う用事も無くなった。別れさせ屋の話だって、それほど乗り気だったわけでもないのだ。断って清々した・・・はず・・・なのに、今私の気持ちはなぜか重く沈んでいた。健太は今どうしているんだろう?私の態度に腹を立てたに違いないが、新しい仕事のパートナーを見つけなくてはならなくなったのだから、もう私の事などとっくに頭にないのだろうな。
表参道を自分の住むマンションに向かって歩きながら、ふと空を見上げると、都会でも珍しくないカラスが群れをなして飛んでいく。
中学生の頃、部活帰りの健太の自転車の荷台に乗っかって家に帰ったことを思い出した。まだ、それが恋だとは気づかないでいたあの頃、身体に腕を回すのが恥ずかしくて健太の学ランを脇の所をわしづかんでいた。健太がわざと乱暴な運転をしてふざけるから、何度も振り落とされそうになったのに、降りなかったのはなぜ?
あの日も見上げた空にもこんな風にカラスが飛んでいた。
いったんうちに向かって路地を曲がったのに、私は即座に踵を返した。その足で向かったのは、スーパーだった。
そこで、いつも買うワインに手を伸ばしたとき、同時にその同じワインに手が、他から伸びた。
「あっ、ごめん」
「すみません」
とお互いが同時に言って、顔を見合わせた。それぞれがそのあまりに思いがけない相手に、一瞬氷ついたように見つめ合った。
「健太・・・なんで?」
「りり子こそ」
「私は、うちすぐそこだから・・・」
健太は、すぐに私から目をそらし、こう言った。
「これ好きなの?僕もいつもこれ・・・」
ワインは一本しかない。
健太はそのワインを棚からひょいっと取って「はい」と私に手渡した。
「返事になってないよ。健太、なんでここにいるのよ?」
健太は、言いにくい事を言う時の昔からの癖で、人差し指で鼻の下をこすりながら、ポツンと
「今日、引越してきた」
と言った。
「えっ、この近くに?」
あまりの事に、驚くより先に呆れた。健太は私がこのあたりに住んでいることを知っていた。知って越してきたということは、私が健太の仕事のパートナーとなることに確信でも持っていたのだろうか?その時、なんだか、ちょっと嬉しいような気分になっている自分に気づいた。これでまた、健太とコミュニケーションが持てる。
「で、どこに?」
私が尋ねると、健太は、たぶん暗記したばかりだろう住所を言った。
そして、マンションの名を言いかけたのを、私がその言葉をさらって先に言った
「ストーリア?」
それはわたしの住むマンションだった。
今、健太は私の隣に住んで居る。そこは仕事場兼住まいである。
わたし達は毎日のように、どちらかの部屋で楽しく過ごしている。
でもわたし達は、まだ恋人同士と呼べる関係ではない。互いの相手に対する想いも意地をはって口にしていない。だから、関係は幼なじみのまま、進展していかない。
ただ、毎日のように健太は口説いてくる。エッチの話ではなく、
「別れさせ屋やってくれよ~」と。
「嫌!」
と私が言うのがわかっていても、しつこく毎日、まるで挨拶代わりのように。
でも本当は、別れさせ屋、そろそろ引き受けてもいいかなと思っているのだ。仕事のパートナーとしてではなく、人生のパートナーとして、健太が私を一生守ってくれるのなら。
おわり
健太とはこれでもう会わないだろう。会う用事も無くなった。別れさせ屋の話だって、それほど乗り気だったわけでもないのだ。断って清々した・・・はず・・・なのに、今私の気持ちはなぜか重く沈んでいた。健太は今どうしているんだろう?私の態度に腹を立てたに違いないが、新しい仕事のパートナーを見つけなくてはならなくなったのだから、もう私の事などとっくに頭にないのだろうな。
表参道を自分の住むマンションに向かって歩きながら、ふと空を見上げると、都会でも珍しくないカラスが群れをなして飛んでいく。
中学生の頃、部活帰りの健太の自転車の荷台に乗っかって家に帰ったことを思い出した。まだ、それが恋だとは気づかないでいたあの頃、身体に腕を回すのが恥ずかしくて健太の学ランを脇の所をわしづかんでいた。健太がわざと乱暴な運転をしてふざけるから、何度も振り落とされそうになったのに、降りなかったのはなぜ?
あの日も見上げた空にもこんな風にカラスが飛んでいた。
いったんうちに向かって路地を曲がったのに、私は即座に踵を返した。その足で向かったのは、スーパーだった。
そこで、いつも買うワインに手を伸ばしたとき、同時にその同じワインに手が、他から伸びた。
「あっ、ごめん」
「すみません」
とお互いが同時に言って、顔を見合わせた。それぞれがそのあまりに思いがけない相手に、一瞬氷ついたように見つめ合った。
「健太・・・なんで?」
「りり子こそ」
「私は、うちすぐそこだから・・・」
健太は、すぐに私から目をそらし、こう言った。
「これ好きなの?僕もいつもこれ・・・」
ワインは一本しかない。
健太はそのワインを棚からひょいっと取って「はい」と私に手渡した。
「返事になってないよ。健太、なんでここにいるのよ?」
健太は、言いにくい事を言う時の昔からの癖で、人差し指で鼻の下をこすりながら、ポツンと
「今日、引越してきた」
と言った。
「えっ、この近くに?」
あまりの事に、驚くより先に呆れた。健太は私がこのあたりに住んでいることを知っていた。知って越してきたということは、私が健太の仕事のパートナーとなることに確信でも持っていたのだろうか?その時、なんだか、ちょっと嬉しいような気分になっている自分に気づいた。これでまた、健太とコミュニケーションが持てる。
「で、どこに?」
私が尋ねると、健太は、たぶん暗記したばかりだろう住所を言った。
そして、マンションの名を言いかけたのを、私がその言葉をさらって先に言った
「ストーリア?」
それはわたしの住むマンションだった。
今、健太は私の隣に住んで居る。そこは仕事場兼住まいである。
わたし達は毎日のように、どちらかの部屋で楽しく過ごしている。
でもわたし達は、まだ恋人同士と呼べる関係ではない。互いの相手に対する想いも意地をはって口にしていない。だから、関係は幼なじみのまま、進展していかない。
ただ、毎日のように健太は口説いてくる。エッチの話ではなく、
「別れさせ屋やってくれよ~」と。
「嫌!」
と私が言うのがわかっていても、しつこく毎日、まるで挨拶代わりのように。
でも本当は、別れさせ屋、そろそろ引き受けてもいいかなと思っているのだ。仕事のパートナーとしてではなく、人生のパートナーとして、健太が私を一生守ってくれるのなら。
おわり
01~別れさせ屋~後編C-01
「別れさせ屋を引き受けなかったりり子」
健太から別れさせ屋の話を聞いてから、引き受けるかどうかの返事をするのに、私は一週間の猶予をもらった。
でも実はこの一週間、私が主に考えていたのは、健太のことだった。健太と東京駅で再会して、あのティーラウンジで会うまでは、それほど思い出すこともなかったのだが、そこで健太と話すうちに、次々と過去が蘇ってきた。健太の外見は、中学時代とそれほど変わってはいなかった。そして頭の回転が速く、ちょっと軽めなその性格も。健太が別れさせ屋という珍商売を始めたというのも意外だとは思わなかった。
ただ、私がちょっとひっかかっていたこと、それは、微かに感じ取った健太の私への想い。私の勘が正しければ健太もまた、私と同様にこの再会に特別な意味を見出したのではないだろうか?
とはいっても、ずっと心の中に封印してきた、健太への想いが、そのまままた蘇ったというわけではない。それには、別々に歩んできたこの十数年間は、長すぎた。
「おいおい、さっきから『うん』ばっかしで、どうしたんだよ?」
健太が私の顔を覗き込む。いっそのこと今考えている事を言ってしまおうかと思ったが、その思いはだんだん薄れていった。それどころか、健太の馴れ馴れしさが次第にうっとうしくなってきた。 今日は、別れさせ屋を引き受けるか引き受けないか?その返事をするという理由で私たちは会ったのだ。それなのに、健太は、返事を聞くどころか、昔の私の失敗を面白おかしく話すばかりで、いっこうにその話に触れてこない。
「ねぇ、悪いんだけど、今日ちょっと疲れてるの・・・」
「はぁ?ああ、今日アレの日?」
健太がニヤつきながら言ったその言葉に猛烈に腹が立った。
「だから疲れてるんだってば。・・・私帰る」
その場で立ち上がったとき、膝がテーブルに触れ、飲みかけのコーヒーがソーサーにこぼれた。
「ちょっと待てよ。なんだよ、突然」
健太が咄嗟にバックを持った私の手首を掴んで大声を出したから、近くの席の外人カップルがこっちを見た。その時、なんだか、無性に健太をうっとおしく感じた。そのカップルが私たちを、恋人同士の痴話喧嘩だと思っているのだろうと思うと、「違いますから」と口に出しそうになった。
「まだ、話おわってないだろ?ちょっと、どうすんだよ、あれは」
健太に手首を掴まれたままの状態で、私は思わずこう言った。
「やっぱ、やんない。断ります」
そういうなり、私は早足で玄関に向かった。
明日につづく
※この物語はフィクションです。
健太から別れさせ屋の話を聞いてから、引き受けるかどうかの返事をするのに、私は一週間の猶予をもらった。
でも実はこの一週間、私が主に考えていたのは、健太のことだった。健太と東京駅で再会して、あのティーラウンジで会うまでは、それほど思い出すこともなかったのだが、そこで健太と話すうちに、次々と過去が蘇ってきた。健太の外見は、中学時代とそれほど変わってはいなかった。そして頭の回転が速く、ちょっと軽めなその性格も。健太が別れさせ屋という珍商売を始めたというのも意外だとは思わなかった。
ただ、私がちょっとひっかかっていたこと、それは、微かに感じ取った健太の私への想い。私の勘が正しければ健太もまた、私と同様にこの再会に特別な意味を見出したのではないだろうか?
とはいっても、ずっと心の中に封印してきた、健太への想いが、そのまままた蘇ったというわけではない。それには、別々に歩んできたこの十数年間は、長すぎた。
「おいおい、さっきから『うん』ばっかしで、どうしたんだよ?」
健太が私の顔を覗き込む。いっそのこと今考えている事を言ってしまおうかと思ったが、その思いはだんだん薄れていった。それどころか、健太の馴れ馴れしさが次第にうっとうしくなってきた。 今日は、別れさせ屋を引き受けるか引き受けないか?その返事をするという理由で私たちは会ったのだ。それなのに、健太は、返事を聞くどころか、昔の私の失敗を面白おかしく話すばかりで、いっこうにその話に触れてこない。
「ねぇ、悪いんだけど、今日ちょっと疲れてるの・・・」
「はぁ?ああ、今日アレの日?」
健太がニヤつきながら言ったその言葉に猛烈に腹が立った。
「だから疲れてるんだってば。・・・私帰る」
その場で立ち上がったとき、膝がテーブルに触れ、飲みかけのコーヒーがソーサーにこぼれた。
「ちょっと待てよ。なんだよ、突然」
健太が咄嗟にバックを持った私の手首を掴んで大声を出したから、近くの席の外人カップルがこっちを見た。その時、なんだか、無性に健太をうっとおしく感じた。そのカップルが私たちを、恋人同士の痴話喧嘩だと思っているのだろうと思うと、「違いますから」と口に出しそうになった。
「まだ、話おわってないだろ?ちょっと、どうすんだよ、あれは」
健太に手首を掴まれたままの状態で、私は思わずこう言った。
「やっぱ、やんない。断ります」
そういうなり、私は早足で玄関に向かった。
明日につづく
※この物語はフィクションです。
01~別れさせ屋~後編B-完
「ん?どうした?りり子ちゃん、なんかぼんやりしちゃって。酔った?」
優しく一樹さん尋ねられたとき「・・・あのね、実は・・・」と、そこまで言葉が出かかった。
そこまで言って、私はグラスのワインを飲み干した。カウンターの上には、食べ残されたカマンベールチーズとクラッカー・・・散らばったそのクラッカーのかすを紙ナプキンで、ひとところに集める私に
「言いたいことなら言って。でももし、迷っているんなら言わない方がいいよ」
と一樹さんが言った。
「あの・・・一樹さんみたいないい男で、売れっ子の芸術家でお金もいっぱいある人に、付き合ってる女性がいないなんて、考えられないし・・・て、ちょっとね・・・」
わざとこんな思わせぶりな言葉を吐いた私は、まだ『わかれさせ屋』を引きずっていると思った。
そしてまた健太のことが脳裏を掠めた。一樹さんは、それには応えず
「出ようか」
と言って、私の肩をポンと叩いた。
私たちがこれから、ホテルに向かえば、そこがラブホテルでも、シティホテルでも、これで私の仕事は無事終了だ。健太は抜かりなくそれをカメラに収めるだろう。そして、離婚。
私は、このまま一樹さんと付き合い続ければいいのである。もちろん別れさせ屋は、これが最初で最後である。
青山のその店を出ると、一樹さんは、タクシーを拾った。
「どこへ行くの?」
と尋ねるより先に、彼が口にしたその場所は、なんと私の住むマンションだった。
「時々一人になりたい時のために借りている部屋があるんだ。そこへ僕以外の人間が来るのは君が初めてだ」
口説き文句はもうそれだけで十分だった。私は仕事の使命などすっかり忘れて、今をときめく芸術家に選ばれたことに酔いしれていた。
そこが勝手知ったるエントランスだと悟られないように気をくばりながら、何気ない風を装って、外に目を向けた。健太はいないようだ。マンションの前は車一台がやっと通れるくらいの路地。健太も隠し撮りの場所がないはずだ。
「これからもずっとここで?」
と、私は言ってしまってから、バカなこと聞いてしまったと焦った。
「ごめんね私、変なこと聞いちゃった。・・・実はね・・・私・・・」
もういっそのこと『別れさせ屋』と言ってしまおう。とその言葉を口にしようとしたその瞬間、言葉は一樹さんの
口の中へと吸い込まれていった。彼の部屋の前だった。
いったん、軽く重なり合った唇を離すと、一樹さんは私の身体をきつく抱きしめ耳元でささやいた。
「今度、君を描かせて」
ことが性急すぎるとは思わなかった。
恋をしている私が、その時自分でなんかとてもいじらしくいとおしく、それはまるで、初めてヨチヨチ歩きの赤ん坊が立ち上がるときのようで、(がんばれ、がんばれ)と私は私にエールを送っていた。
素直な自分のままで恋をしたことが無かった私のこれが等身大の恋であると、確証が持てたわけではないが、少なくとも、これまでの何とも、誰とも違う気持ちで相手に自分を委ねていた。身体も心も。
数日後、私は健太にすべてを話した。もちろんもう、『わかれさせ屋』を辞めるということも。健太は黙って最後まで聞いてから
「良かったな。ちゃんと恋できるようになって」と、それだけ言った。
「それだけ?他には何も言わないの?」
と私が、そう言うと健太は
「もしあいつと別れたら、いつでもまた、引き受けてやっからさ」
その言葉に「それはそれは、ご親切に・・・」と私。
こんな軽口の後、私たちは笑いあってさよならと手を振りあった。
あれから、健太に一度も会っていないが、近々こちらから電話してみようと思っている。『別れさせ屋』に本気で就職したいからだ。
それはつまり・・・一樹さんとは別れてしまったということ。
一樹さんは奥さんの元へ戻ってしまった。
彼にとって私はほんの気まぐれの遊び相手でしかなかったようだ。結局、年上の姉さん女房の下でしか生きられない、おぼっちゃん芸術家なのだ。
彼は借りていた部屋も引き払った。スケッチしてくれた私の絵だけ残して。私は、彼のいなくなった部屋でその絵を抱きしめて泣いた。そしてその後、しあわせだったその絵の頃の顔を真似て、少し笑ってみた。
鏡とにらめっこしながらやっとその笑顔が作れるようになった私は自分で自分にこう言った。
「うん、私はまだ大丈夫!」と。
こんな私を、健太は本当に快く迎えてくれるだろうか?
もし健太が私を許してくれたら、真っ先にこう誓おうと思っている。
「もう、マルタには絶対惚れたりしません!」と。そう。
おわり
-------------------------------------------------------------------
「別れさせ屋を試しに1回だけやってみる」バージョンはいかがでしたか?
明日からは「別れさせ屋を引き受けない」バージョンを公開していきます。
お楽しみに!
優しく一樹さん尋ねられたとき「・・・あのね、実は・・・」と、そこまで言葉が出かかった。
そこまで言って、私はグラスのワインを飲み干した。カウンターの上には、食べ残されたカマンベールチーズとクラッカー・・・散らばったそのクラッカーのかすを紙ナプキンで、ひとところに集める私に
「言いたいことなら言って。でももし、迷っているんなら言わない方がいいよ」
と一樹さんが言った。
「あの・・・一樹さんみたいないい男で、売れっ子の芸術家でお金もいっぱいある人に、付き合ってる女性がいないなんて、考えられないし・・・て、ちょっとね・・・」
わざとこんな思わせぶりな言葉を吐いた私は、まだ『わかれさせ屋』を引きずっていると思った。
そしてまた健太のことが脳裏を掠めた。一樹さんは、それには応えず
「出ようか」
と言って、私の肩をポンと叩いた。
私たちがこれから、ホテルに向かえば、そこがラブホテルでも、シティホテルでも、これで私の仕事は無事終了だ。健太は抜かりなくそれをカメラに収めるだろう。そして、離婚。
私は、このまま一樹さんと付き合い続ければいいのである。もちろん別れさせ屋は、これが最初で最後である。
青山のその店を出ると、一樹さんは、タクシーを拾った。
「どこへ行くの?」
と尋ねるより先に、彼が口にしたその場所は、なんと私の住むマンションだった。
「時々一人になりたい時のために借りている部屋があるんだ。そこへ僕以外の人間が来るのは君が初めてだ」
口説き文句はもうそれだけで十分だった。私は仕事の使命などすっかり忘れて、今をときめく芸術家に選ばれたことに酔いしれていた。
そこが勝手知ったるエントランスだと悟られないように気をくばりながら、何気ない風を装って、外に目を向けた。健太はいないようだ。マンションの前は車一台がやっと通れるくらいの路地。健太も隠し撮りの場所がないはずだ。
「これからもずっとここで?」
と、私は言ってしまってから、バカなこと聞いてしまったと焦った。
「ごめんね私、変なこと聞いちゃった。・・・実はね・・・私・・・」
もういっそのこと『別れさせ屋』と言ってしまおう。とその言葉を口にしようとしたその瞬間、言葉は一樹さんの
口の中へと吸い込まれていった。彼の部屋の前だった。
いったん、軽く重なり合った唇を離すと、一樹さんは私の身体をきつく抱きしめ耳元でささやいた。
「今度、君を描かせて」
ことが性急すぎるとは思わなかった。
恋をしている私が、その時自分でなんかとてもいじらしくいとおしく、それはまるで、初めてヨチヨチ歩きの赤ん坊が立ち上がるときのようで、(がんばれ、がんばれ)と私は私にエールを送っていた。
素直な自分のままで恋をしたことが無かった私のこれが等身大の恋であると、確証が持てたわけではないが、少なくとも、これまでの何とも、誰とも違う気持ちで相手に自分を委ねていた。身体も心も。
数日後、私は健太にすべてを話した。もちろんもう、『わかれさせ屋』を辞めるということも。健太は黙って最後まで聞いてから
「良かったな。ちゃんと恋できるようになって」と、それだけ言った。
「それだけ?他には何も言わないの?」
と私が、そう言うと健太は
「もしあいつと別れたら、いつでもまた、引き受けてやっからさ」
その言葉に「それはそれは、ご親切に・・・」と私。
こんな軽口の後、私たちは笑いあってさよならと手を振りあった。
あれから、健太に一度も会っていないが、近々こちらから電話してみようと思っている。『別れさせ屋』に本気で就職したいからだ。
それはつまり・・・一樹さんとは別れてしまったということ。
一樹さんは奥さんの元へ戻ってしまった。
彼にとって私はほんの気まぐれの遊び相手でしかなかったようだ。結局、年上の姉さん女房の下でしか生きられない、おぼっちゃん芸術家なのだ。
彼は借りていた部屋も引き払った。スケッチしてくれた私の絵だけ残して。私は、彼のいなくなった部屋でその絵を抱きしめて泣いた。そしてその後、しあわせだったその絵の頃の顔を真似て、少し笑ってみた。
鏡とにらめっこしながらやっとその笑顔が作れるようになった私は自分で自分にこう言った。
「うん、私はまだ大丈夫!」と。
こんな私を、健太は本当に快く迎えてくれるだろうか?
もし健太が私を許してくれたら、真っ先にこう誓おうと思っている。
「もう、マルタには絶対惚れたりしません!」と。そう。
おわり
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「別れさせ屋を試しに1回だけやってみる」バージョンはいかがでしたか?
明日からは「別れさせ屋を引き受けない」バージョンを公開していきます。
お楽しみに!
