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Next舞台制作塾事務局ブログ「かめブロ」

舞台制作者の知識・スキル共有を目的とした『Next舞台制作塾』のお知らせや、セミナーレポートをお届けします。東京都・亀戸から発信中。


Next舞台制作塾では、新年度を迎える4月にオープニングプログラムとして、3つのセミナー・ミーティングを開催いたします。詳細はWEBサイトにて近日公開予定です。どうぞお楽しみに!

4月18日(金) 19:00-21:00
オープンセミナーvol.5 舞台制作者の職能、徹底分析!

4月22日(火) 19:00-22:00
オープンセミナーvol.6 ダンス酔話会@亀戸
―世界のマーケットで生き残るために、アーティストと制作者が知っておくべきこと―

4月30日(水)19:00-21:30
制作塾オープンサロン 学生座談会-学内・学外での活動を考える-

Next舞台制作塾宮永琢生ゼミアシスタントのつくにうららです。
第四回はこれまでの三回とは少々趣向を変え、「ネットワークの構築」と題し活動が社会や地域と繋がっていくことについて考えました。
いよいよ宮永ゼミも最後の回、第五回のレポートをお届けいたします!


《宿題発表》
今回の宿題は、前回のテーマを踏まえて「自分が影響を受けている人/自分自身が影響を与えている人」を発表しました。

まず自分が影響を受けている人は、周りの友人、先輩や後輩、家族などから、これから仲良くなりたいと思っている人、興味があり注目している人などが挙がりました。
確かに、Twitterなどで有名人などのツイートを見たり、Blogを読んだりすることによって、自然と影響を受けたり、イベントや公演を知ることも多くありますね。
また、仲良くなりたいと思っている人が今注目しているもの知ることによって、自分が興味を持っていることとの共通点を探ったり、どうすれば繋がることができるかを知る糸口にもなるかもしれません。

続いて、自分自身が影響を与えている人は、同じく友人、後輩、さらに自分の団体のメンバーや、自分の働いている劇場に訪れる人などが挙がりました。
中には、地元の商工会議所と交流があり、そこで様々な情報のやり取りを行うことによって自分の影響力の及ぶ範囲が広がってきているという面白いケースも。
自分から情報の発信源となることで、活動に興味を持ってもらったり、一緒に活動する人が見つかる近道になるということがこのケースから改めてわかりました。


《「演劇に求められているもの」》
さて、最終回のテーマは「演劇に求められているもの」。
自分たちが日頃行っている演劇という活動でいかに社会や地域と繋がりをもつか、また社会や地域から私たちの活動は必要とされているのか、といった事柄について考える回となりました。

アーティストがより幅広い活動をしていくためには、活動資金の確保(助成金)、活動場所の拡大など、より多くの人に理解を得て、作品や活動を必要としてもらわなくてはなりません。
まずは、自分たちのしていきたい活動と、地域でいま必要とされていることを織り交ぜながら活動の場を広げていったいくつかの事例を宮永さんとNext舞台制作塾の藤原さんより紹介してもらいました。

全国には様々な事例がありますが、近年、使われなくなっていた施設などを活動の場として改築・転用する事例が多く見られるようになりました。アートに関わる人々の「活動場所がほしい」という欲求と、地域社会の「コミュニティ再生の場がほしい」という欲求がマッチしたとき、こうした施設はうまく機能するようになります。
さらにその地域のキーパーソンとなる人や高齢者をリーダーとして起用するなど、地元の人々が積極的にアーティストと協働してくれるような仕掛けや環境を作ることによって、活動に理解を得ながらより深く地域に根ざした活動を行うことができます。
アーティスト自身の創作の場、そして地域の人々や子供たちが集う場、活動の場としての機能をバランスよく両立させながら、社会に必要とされる活動を探し続けていくことが重要であると思いました。


《私の田舎/住んでいる所から求められているものは何か?》
ということで、本日の課題は「私の田舎、もしくは現在住んでいる所から求められているものは何かを考える」というもの。
まずはこれまで生活していた中から感じた「この土地の抱えている問題」を考え、「この土地にはいま何が必要なのか、芸術やアーティストが出来ることは何なのか」をディスカッションし、発表しました。
受講生の発表をいくつか抜粋して紹介します。


【Hさんの故郷が抱えている問題】
・焼き物が有名
・過疎化が進行している
・大きなお店のせいで商店街がシャッター街になってしまった
・町おこしのためにやった伝統芸能のお祭で死者が出てしまい中止に

【Hさんの故郷に芸術やアーティストが出来ることは何なのか】
・お年寄りに市民劇をつくってもらい、若者がいないということをわかってもらう
→演劇祭へと発展させ、招聘したアーティストにシャッター街の空き店舗などを利用して公演を行ってもらう
・町の伝統の太鼓を復活させる
・ネットでの宣伝方法を広める
これらのことを通して、町の人たちに外から人を呼ぶことや、芸術の魅力をわかってもらう


【Mさんの地元が抱えている問題】
・平地が多いため自転車の利用者が多い
・しかし自転車事故全国ワースト6

【Mさんの地元に芸術やアーティストが出来ることは何なのか】
・自転車に安全かつ楽しみながら乗れるようなイベントを開催する
→自転車の歴史紹介、マナー講座、曲乗り(大道芸)、自転車が出てくる作品の上演、LOGBOOKと自転車のコラボなど
※「LOGBOOK」……市原幹也さん(演出家)と野村政之さん(ドラマトゥルク/演劇作家)が共同開発した演劇プロジェクト。いつもと違う視点でまちを歩き、その「logbook;航海日誌」を交換することで、他者の記憶の追体験をする試み。


【Fさんの地元が抱えている問題】
・とにかく何もない
・町のお店が閉まるのが早いため、住んでいる若者たちと町の生活時間がずれている
・電車一本で都内へ行ける為、地元が発展しない
・他の町と合併したが生活は何一つ変わらない

【Fさんの地元に芸術やアーティストが出来ることは何なのか】
・若い人が町のお祭に参加していないので、若い人に企画をしてもらう
・星のきれいな夜にLOGBOOKを開催
→芸大生とコラボし行灯の制作をしてもらう
→ガイドを地元の人に依頼
・ショッピングモールの空き店舗を利用して催しを行う


以上のような案が発表されました。
その土地の地域性の活用、幅広い年齢層の人が協力して参加できることなどは、どの土地においても重要なポイントであるように感じます。
また、行政の人たちもその問題に対する意識を共有できているか、アーティスト側からの一方的なアプローチだけでなく地域や社会から必要とされているかどうかということを考えながら活動していくことが大切だと思いました。

これで今回の講義は終了となります。
最後に全五回のまとめとして宮永さんより、
「演劇をはじめとする表現活動は人生を豊かにしてくれる一つのツールです。だからこそ、あなた自身の生活が豊かになるように演劇を使ってください。なにも自分の人生すべてをかけてまで演劇をやる必要はありません。そんな何でもないことを少しだけ頭の片隅に置いておいてもらえれば、と思います。そして、せっかくやるなら重要なことがもう一つ。何事も好奇心に勝るものはありません。いい仕事(表現活動)とは、あなた自身が楽しんで取り組んでこそ、はじめて成り立つものだという事を忘れないでください。」
とのお話がありました。
この宮永ゼミは、プロデュース、広報、集団性、ネットワーク、社会と地域というトピックを扱いながら自分の興味関心と向き合うことで、自分のやりたいことは何なのか、出来ることは何なのかについて考える場となりました。
受講生の皆さんが今後に繋がる手がかりを見つける場になったのではないでしょうか。

ということで、全五回に渡りました宮永ゼミレポートも今回で終了です!
アシスタントの視点からみた宮永ゼミレポート、少しでも読んでくださった方のお力になれれば幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました、宮永ゼミアシスタントのつくにうららでした!!

Next舞台制作塾宮永琢生ゼミアシスタントのつくにうららです。
ゲストをお迎えし開講した三回目の「同じ夢を見ること」、レポートはお楽しみいただけましたでしょうか?
宮永ゼミも残すところあと二回、今回は四回目のレポートです!


《宿題発表》
今回の宿題はいつもと趣向を変え、「FUKAIPRODUSE羽衣の『女装、男装、冬支度』を観る(観に行かれない人はYouTubeで過去作品等の動画を観る)」というもの。
前回の講座では集団性について取り上げましたが、FUKAIPRODUCE羽衣は脚本家や演出家が団体を主宰するのではなく、俳優が団体を主宰する珍しい団体です。
そのため、まずはそういった団体の作品を観てみることになりました。

本日の宿題発表は、まず宮永さんからFUKAIPRODUCE羽衣の活動について紹介がありました。
その後、FUKAIPRODUSE羽衣の作風の特徴である「妙ージカル」についてや、お馴染みの下ネタの扱い、さらには公演が行われた劇場と作品のマッチング等、様々な角度から作品や団体についての意見、感想がやり取りされました。

私が面白いと思ったのは、大学生の受講生から出た「学生料金の設定がなかったので、団体が対象としている客層の年齢が自分達よりは少し高いように感じた」という意見でした。
チケットの価格設定から、こういった視点も生まれるという新しい発見です。
誰かの話を聞くことで、新たな作品の魅力や、自分以外の視点からの発想を得ることができるということを改めて実感出来た課題でした。


《「ネットワークの構築」について》
さて、本日のテーマは「ネットワークの構築」。
自分たちが作品創作や発表をするうえで、どういったネットワークを構築すると活動に有効か、またそれをどのように利用していくかということについての講義となりました。

ままごとでは、作・演出の柴さんの作品を演劇にとどまらずジャンルレスに届けるためのネットワーク作りを行っているそうです。
そのため、作品の中に教育、音楽、地域性など演劇以外の要素が内包されているかを作品創作の過程で見極め、各方面にアピールしていく活動を行っているとのことでした。

そして、このアピールの段階で重要になってくるのが「インフルエンサー」という存在です。
「インフルエンサー」とは、主にWEBマーケティングで使われる言葉で、「ブログやSNSなどで影響力を与えるカリスマ」という意味です。アート(特に舞台芸術)のフィールドでは、自分の意見をよく発表する有名なアーティスト、評論家、ライター、劇場のプロデューサーなどをそう呼ぶことができると思います。TwitterなどのSNS以外にも、自分の意見を発信するメディア(ラジオ、テレビ、新聞等の場)を持っている人、劇場や地域での決定権を持っている人はより影響力が強いといえるでしょう。
こういった人々との繋がりを得ることで多方面とネットワークを構築することができ、自分たちの作品や活動を新しい場に発展させることが可能になります。

では、そういった人たちと具体的にどうやって繋がっていけばいいのでしょうか?
宮永さんは、公演の招待状を送るのはもちろんのこと、知り合いに紹介してもらったりして繋がりをつくるそうです。
ちなみに私は以前、繋がりたい人には何度も直接会いにいく(出演している公演やアフタートークを観に行く等)というのをやっていました。
自分たちの活動を魅力的にアピールすることが出来れば、お互いの活動に有益な形で繋がりをもつことが出来るのではないでしょうか。


《インフルエンサーを調べる》
本日一つ目の課題は「インフルエンサーを調べる」。
宮永さんが指定した評論家、プロデューサー、アーティスト等の中から一人を選び、
 ・どういったジャンルに影響力を持つのか
 ・どのくらいの人に影響力を持つのか
などを調べました。

受講生は選んだ人の経歴や近年の活動を調べ、更にTwitterをやっている場合はフォロワー数を見たりすることで、その人がどのような人達に影響を与える可能性があるかを考え、発表しました。
既にその人を知っている人、そうでない人などは個人差がありましたが、自分がメインで活動している範囲以外で力を持っている人を知るきっかけとなり、この先自分は何に注目し、どこに向けて発信していくべきなのかということの参考になったかと思います。


そして二つ目の課題は「自分たちの活動を、インフルエンサーを通してたくさんの人に伝える」というもの。
具体的には、一つ目の課題で自分が調べた人に自らの活動を紹介し、どうしたら双方にメリットのある形で協働できるかを考え、プレゼンしました。


受講生からは、
 ・演劇レビューを書くコラムニストに創作現場に立ち会ってもらい、稽古場レポートの発信やメルマガでの宣伝、さまざまなツールで批評を行ってもらう。
 ・大学で開催するアートイベントにメディアクリエーターを招き、ワークショップを行ってもらう。また、そのイベントに作品を出品してもらう。
 ・離島の町長に協力してもらい、演劇を利用して島のお年寄りを元気にするためのワークショップの開催、島の人たち自身が演劇を行えるよう指導する活動を行う。
といった案が出されました。
双方がWin-Winな状態で共に活動するには、相手のニーズをよく理解し、自らが目指す活動としっかりマッチしているか、そうでない部分はいかにしてすり合わせていくかを考えていかなくてはなりません。
また、これまでの講座で取りあげた「自分の活動を魅力的に紹介する」ということは何をするにも大前提になってくるということを改めて感じました。


以上で今回の講座は終了となりました。
今回の受講生はコメディを上演する劇団にいる人、不条理な作品を作っている人、大学で学生演劇をやっている人などさまざまです。
自分たちの作品には演劇以外の要素なんてない!と思ってしまっている人もいるかもしれませんが、これまでの作風、これからやってみたい作品、劇団員が好きなものなど、色々な角度から影響を受けているもの、コラボレーションしてみたいものを探っていくと、おのずとどんなネットワークにアプローチすればいいかがわかるかもしれません。
また、自分の活動範囲内のインフルエンサーだけでなく、音楽や美術など他ジャンルのインフルエンサーも知っておくことで、いざ新しくやりたいことが見つかったときにすぐ動き出せますね。
日頃から広い視野を持って活動を続けていくことが大切だと感じたテーマでした。

ということで、第四回のレポートは終了です。
次回、第五回のテーマは「演劇に求められているもの」と題し、地域や社会と演劇の関わりについて考えていきます。

遂に宮永ゼミも最終回、どうぞお楽しみに!
宮永ゼミアシスタントのつくにうららでした。