ラーマクリシュナの物語


19世紀のインドの神秘主義者、シュリ・ラーマクリシュナ・パラマハンサは、深遠な精神的知恵とユーモアのセンスで知られていた。ここでは、彼の教えを伝えながらユーモラスな一面をとらえた物語をいくつか紹介します。

牛とミルク


ある日、一人の弟子がラマクリシュナのもとを訪れ、こう尋ねた。

 

"師よ、人はなぜ物質的な富を追い求め、霊的な知識を求めないのでしょうか?"

ラーマクリシュナは目を輝かせてこう答えた。野原に立って草を食べている牛を想像してください。牛は草を食べて満足しているが、ちょっと食べるのをやめて立ち止まれば、ミルクが出ることを知らない。ミルクは草よりもずっと価値があるんだ!」。

しかし、それを牛に言ってみろ!牛はモーモーと鳴きながら草を食べ続けるだけだ。人間も同じで、"草 "を追いかけるのに忙しすぎて、自分の中にあるミルクに気づかないんだ」。

小さなものの神


マスター、なぜ私たちは偶像を崇拝する必要があるのですか?神はどこにでもいるのではないですか?

ラーマクリシュナは微笑みながら話をはじめた。

ある時、屋根裏部屋の幽霊を怖がる少年がいた。

 

母親は

 

『心配しないで、幽霊なんていないわ。神様はどこにでもいらっしゃるのよ、屋根裏部屋にだってね』

 

といった。

 

少年はしばらく考えて、こう言った。

 

『でも、もし神様がほうきを持って屋根裏部屋にいてくれたら、もっといい気持ちになれるのに!』」。

ラーマクリシュナは、

 

「私たちは、献身を集中させるために目に見える形が必要なのです」

 

と笑った。

 

少年がほうきで神を視覚化する必要があったように、私たちも信仰と献身を集中させるために偶像が必要なのです。

学者と漁師


ある学識ある学者がラーマクリシュナを訪ねたことがある。

 

「この教えの究極の目的は何ですか?」と。

ラーマクリシュナはこう答えた。

 

かつて、川を漕いで渡る漁師を雇った学者がいた。

 

その学者は漁師を感心させようと、『天文学について何か知っているか』と尋ねた。

「いいえ」と漁師は答えた。

「それなら人生の4分の1は無駄だ!」と学者は宣言した。

 

「数学について何か知っていますか」学者は続けた。

「いいえ」と漁師は答えた。

「それでは人生の半分が無駄だ!」学者は叫んだ。

 

哲学について何か知っていますか?

「いいえ」と漁師は言った。

「それでは人生の4分の3が無駄だ!」。

ラーマクリシュナは笑って、話を続けた。

 

突然、船が岩にぶつかって沈み始めた。漁師は学者に向かって、『泳ぎ方を知っているか』と尋ねた。

「いいえ」と学者は答えた。

『それなら、お前の人生はすべて無駄だ!』と言って、漁師は安全なところまで泳いだ。

ラーマクリシュナは微笑みながらこう締めくくった。

 

それ以外のことは二の次なのです。

 

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