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「水色のエミリア」第十三話

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「エ・サマンサ・ギガレアント。先に、人間を連れてお戻りください。エ・ミリア・ギガレアントは、わたしが連れて帰ります」


フーフーが、足下の海に向かって指差した。海面が直径二メートルほどの半球状にえぐられた。透明な液体でできた巨大なボールが、海面から上昇してくる。


「ダイスケ、わたしの後ろにいて!」


エミリアの大きな声が、ゆっくり耳に入ってくる。僕の目の前の少女の髪が、水色に光っている。白く細い腕を上げて、手のひらを巨大な水球に向ける。水色の爪が、眩しいほどの強い光を放つ。


エミリアの前に、青白く燃え盛る巨大な炎の塊が現れた。ところどころに、黒い稲妻がバチバチと音を立てながら暴れている。


「嬉しく思いますよ。あなたの中で、これほどの力が育っていたとは・・・。なるほど・・・。人間に魔法をかけることができるのも理解できます」


エ・サマンサ・ギガレアントが、一瞬で、エミリアの横に現れた。冷たい笑みを浮かべた魔女。閉じていた目は開かれ、水色の光を放つ瞳が現れた。


左手を水色の炎にかざす。


巨大な水色の炎は、パンッと音を立てて、打ち上げ花火のように無数の光の粒に形を変えて、そのまま消えた。


「エミリ・・・」


叫び声が途中で、強制的に遮られた。視界に入る景色が、歪んで見える。身動きが出来ない。急速に体温がなくなっていくのを感じる。


僕は、液体のボールの中に閉じ込められてしまった。揺れながら見える目の前の光景と、はっきりと聞こえる会話が、遠退いていく意識をかろうじてつなぎ止める。フーフーの声が聞こえる。


「エ・サマンサ・ギガレアント。これで、人間を連れて帰ることができます。わたしは、エ・ミリア・ギガレアントと一緒に後から戻ります」


「あんたたちに、ダイスケを連れて行かせない。第一、ダイスケは魔法にかかって・・・。かかってるの?」


揺らめく視界に、エミリアが僕のほうに顔を向けたのを捉えた。笑っているのか、笑っていないのかわからない。ただ、キラキラと光るエミリアの水色が、綺麗だと思った。



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