ちー姐さんありがとうスペシャル・「ララ・ムームー」第二話
前回の続きです。
「ララ・ムームー~伝説になった奇跡のロックバンド~」 第二話
「もしもし、マネージャー。オレだ。TAKUMIだ」
「どうしたんですか?こんな夜中に」
「ちょっと、頼みがあるんだけど・・・」
「頼み?なんですか?頼みって」
「MOMOKOに会わせてくれ」
「えっ!?」
エヌティジは、電話の向こうで驚きの声をあげた。
「MOMOKOって、誰ですか?」
「菊池(きくいけ)MOMOKOだよ。アイドルの」
「TAKUMIさん、あんな娘がタイプなんですか?」
「ちゃうわ!さっき、テレビでMOMOKOの歌声を聴いたとき、オレのレスポールが鳴きやがったんだ。TERUOの歌を初めて聴いたときのように・・・」
「あのレスポール、あちきが歌ったときも鳴いてましたよ」
「うるせー!いいから、明日、MOMOKOをいつものレコーディングスタジオに連れてこい!わかったな」
翌日、TAKUMIとエヌティジは、レコーディングスタジオにいた。
「マネージャー、MOMOKOはちゃんと来るんだろうな?」
「大丈夫ですよ。MOMOKOさんは、“グレイト“のファンだそうです。向こうのマネージャーさんが言ってました」
MOMOKOが来る予定の時間は、少し過ぎている。
「お待たせしました。遅れて申し訳ありません」
スーツ姿の女性が、小走りでスタジオに入ってきた。
MOMOKOのマネージャーだ。
その直後、暗い雰囲気のスタジオが、一気に華やかになった。
「お待たせしました」
少女のような幼さを感じさせる、可憐でいて、よくとおる声。
”清純派アイドル”MOMOKOがやってきた。
まるで花畑で花摘みをするかのような、フリフリの可愛らしい衣装に身を包んでいる。
「ごめんなさい。お花畑で、お花を摘んでいたら、遅くなっちゃいました」
頭を下げたMOMOKOの頭には、小さな花で作られた髪飾りがあった。
「その花・・・」
TAKUMIは、その花に見覚えがあった。
「その髪飾りの花・・・。TERUOが好きだった花だ。ロックにも花は必要だって、あいつ、時々言ってたよ。オレは、それを聞いて、いつも笑ってたな・・・。なるほど、そういうことか・・・。TERUOが、あんたの声をオレに聴かせた理由がわかるような気がするZE」
MOMOKOは、髪飾りを頭から外して、手にとった。
「TERUOさん、この花が好きだったんですか・・・。知らなかった・・・。コレ、さっき、そこのお花屋さんで買ったんです」
「・・・。まあ、いい。MOMOKO、あんた、オレのバンドのヴォーカルになってくれ」
「えっ!?」
その場にいた全員が驚きの声をあげた。
「グレイトは、解散したんじゃないんですか?TERUOさんが、いなくなって・・・」
MOMOKOのマネージャーが質問した。
TAKUMIは、MOMOKOの前に立ち、その両肩を掴んだ。
「新しいバンドを作るんだ。グレイト以上の、すげーバンドを・・・。頼む!オレと一緒にやってくれ。TERUOと約束したんだ。生きている限り、音楽はやめないって。そのためには、どうしても、あんたの“声“が必要なんだ」
TAKUMIの迫力ある熱意は、MOMOKOの胸に響いた。
「わかりました。わたし、やります。ただ可愛いだけのアイドルなんか、他にいくらでもいるもの」
自分の人気が衰えてきているのを感じていたMOMOKOは、咄嗟に人生の進路変更を決断した。
MOMOKOの腹は、その名前とは裏腹にドス黒かった。
この日、”可愛さ”と”したたかさ”を兼ね備えたアイドルは、伝説の階段を昇りはじめたのであった。
第三話に続く (なんか、映画化がどうとか言ってたような気が・・・。)
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