がん対策推進基本計画の中間評価まとまる-がん種別の死亡率を推計 | ビジネス人間学




 国のがん対策推進協議会は10日の会合で、がん対策推進基本計画の中間評価報告書をおおむね了承した。報告書では、基本計画の中で目標としている「2015年までに年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」の達成が難しいと総括。死亡率が増加傾向にあるがん種などに対して重点的な施策を推進するために、がん種別の死亡率の推計値も示した。【真田悠司】



 現在、がんによる死亡率の減少などを全体目標とした第2期基本計画(12―16年度)に基づいたがん対策が実施されている。



 今回の中間評価は、▽死亡率の20%減など全体目標▽緩和ケアの推進や小児がん対策の充実など重点的に取り組む課題▽その他、分野別施策▽がん対策を計画的に推進するための必要事項―の4つを軸に施策全体の効果を評価し、結果を踏まえて課題を整理した上で、今後のがん対策に生かすことが目的だ。



 報告書では、国立がん研究センターの推計を基に、15年のがん死亡率の予想値が76.7となり、17%の減少幅にとどまることから、目標達成が難しい状況であるとした。また、基本計画による効果をより正確に計測するために、「前の基本計画が策定された07年から17年の年齢調整死亡率の変化を検証する」と明示された。



 がん種別の死亡率に関しては、▽肝臓がん47.9%減▽胃がん30.8%減▽大腸がん9.1%減▽肺がん7.5%減▽乳がん0.1%減▽子宮頸がん5.9%増―との推計を示し、「死亡率が増加傾向にあるがん種や減少傾向が緩やかながん種について、重点的な施策の推進が重要」とした。



 がん予防については、同協議会がさらに推進することとして、▽学校での全面禁煙への取り組みなど、たばこ対策の推進▽子宮頸がんの若年者の罹患率が増加傾向にあることを踏まえて、子宮頸がんワクチンを接種しないことによる不利益の科学的根拠に基づいた判断―などを挙げた。



 中間評価報告書などを踏まえて、第3期となる次の基本計画は17年6月に閣議決定される見通し。