新型コロナ 受験を控えた感染対策3つのポイント ワクチンはどうする? / オミクロン株による市中感染例の拡大に備えて、私たちにできることは?

新型コロナ 受験を控えた感染対策3つのポイント ワクチンはどうする?


 

 いよいよ受験生のみなさんにとって本番シーズンがやってきます。

大学受験は1月15~16日の大学入学共通テストを皮切りに本格化、2 月に入れば中学高校の入学試験も開かれます。勝負のこの時期、気になるのが新型コロナの感染対策ですよね。

この記事では、もし感染拡大となっても慌てないために、受験生やご家族の皆さんがいま知っておくべき3つのポイントについて最新の情報をお知らせします。

 

①コロナ禍の受験で気を付けたい!感染対策のポイント

 

②オミクロン変異ウイルス最新情報

 

③受験生のワクチン接種、メリットデメリットを考えるポイントは

 

①受験生向け感染対策のポイント

※大学受験の場合を想定しています。

【受験日2週間前〜】本人、家族など周囲は万全の感染対策を

試験日の2 週間以内に熱や咳など感染を疑わせる症状があった場合、医療機関に行き検査を受けることが推奨されています。当日に上記の症状があると、コロナ感染が不明でも試験を受けられないことがあります。

また、試験日の2週間以内に同居のご家族に感染者が出た場合、受験生は濃厚接触者となります。その場合、後日の追試験を案内されることになります。

ただ濃厚接触者になっていても

・オミクロン変異の感染者の濃厚接触者ではない

・行政によるPCR検査で陰性

・症状がない

などの条件を満たせば、各大学の判断により受験できる場合もあります。まずは受験予定の大学に問い合わせてみてください。

(ただ、その場合も「受験会場まで公共交通機関を使わない」「別室で試験を受ける」など制限があります)

いずれの場合も、事前に受験予定の大学に相談すれば追試験などの措置を受けられることになっていますが、調整の手間が生じますし、試験日がずれることでご本人が十分なパフォーマンスを発揮できなくなるかもしれません。

少なくとも試験予定日の 2 週間前からは、受験生本人もご家族も、より慎重な感染対策を心がけたほうが良さそうです。

感染対策(受験生と同様の対策を)

文部科学省・厚生労働省 受験生のみなさんへ ~新型コロナウイルス感染防止のための注意事項~より

【試験当日】温度調節できる服装、自席でも食べやすい昼食の準備を

試験会場では、感染対策として症状の有無に関わらずマスク着用や手指の消毒などが求められます。また試験中でも、会場で換気が行われる場合があります。その際に寒くならないよう、脱ぎ着できるカーディガンやセーターなどを持ち込んでおくと安心できます。

食事中の感染リスクを下げる目的から、昼食は別に会場を作らず、試験会場の自席で持参の弁当などをとることが求められるケースが多そうです。自席を汚したりすると気分も悪いので、細かいですが汁物などは控えた方がいいかもしれません。

②オミクロン変異ウイルス最新情報(12月25日時点)

いま話題のオミクロン変異ウイルス。イギリスやデンマークなどの状況からは、デルタ変異より数倍も高い感染力があることが分かりつつあります。年末年始で爆発的に感染が広がる可能性は少なくありません。

12月25日時点で、受験生など若い世代における重症化のしやすさなどは分かっていません。しかし毒性の強さ弱さに関わらず、感染したり濃厚接触者になったりした場合、前述のように受験のスケジュールに大きな影響が生まれてしまいます。

対策については、マスク着用や手洗い、そして人混みに行かないなどの基本的な感染対策が有効とされます。また新型コロナウイルスワクチンについても、従来の変異ウイルスより落ちるものの予防効果はあるとされています。
オミクロン株の感染対策
 

「画像制作:Yahoo! JAPAN/制作協力:峰 宗太郎

 

③受験生のワクチン接種、メリットデメリットを考えるポイントは

新型コロナワクチンについて、副反応への不安などもあり、お子さんへの接種に迷う方も少なくないかもしれません。

受験を控えた学生さんにとって、予防接種によって、万が一でも何かおかしなことが起きたら怖いというのは自然な気持ち。どのように考えればいいのか。小児科医の岡田玲緒奈さん(千葉大学医学部附属病院)に聞いてみました。

(岡田)受験を控えたいま、不安なお気持ちも強いかとお察しします。この段階で接種するかどうかは、ご本人そしてご家族の考え方が最優先されるべきと思っています。

 

その前提で、予防接種の副反応のタイミングなどは「コントロール可能」であるということが重要だと考えています。

 

新型コロナワクチンはすでに世界中で何億人もの人に接種され少なくとも短期的な影響に関しては十分なデータが集まっています。

 

一般的な副反応で頻度の高いものとして発熱や倦怠感などがありますが、接種後数日以内に起きることが分かっているので、影響が少ない日に予定を入れるなどして対策できます。

 

また若い人に心配な副反応として心筋炎(文字通り心臓の筋肉に炎症が起こる病気)が報告されていますが、頻度は100,000人接種あたり数人〜十人ほどと、かなり稀で、なおかつほとんどが軽症であることが示されています。

 

頻度が低いけれども重要な副反応についても、諸外国の状況からこのように明らかになっているわけです。

 

一方で、感染するリスクはコントロールが難しいものです。

 

どれだけ気をつけていても「受験当日に急に新型コロナ感染が判明」という可能性は残ります。感染した場合にどのような症状が起きるのか、後遺症はないのか?という点についても、変異ウイルスなどが出てきていることもあり、未知数な部分は少なくありません。

 

これまでのところ、小児は成人と比較して重症化しにくいのは確かですが、重症化しないということではありません。日本は諸外国と比較して流行が抑えられてきたので、どうしても外国のデータに頼らざるを得ませんが、米国では18歳未満の方700人以上が新型コロナウイルス感染症のために命を落としています。

 

このワクチンに限らず、新しいお薬はいずれも長期的に100%安全と言い切ることはもちろんできませんが、これは新型コロナウイルス感染症自体にも言えることです。

 

私は、「コントロールできるところの多いリスク」をもつワクチンを接種することで、「コントロールしにくいリスク」といえる感染の危険を防ぐというのが、役に立つ考え方だと思います。

 

予防接種イメージ(実際の接種では互いにマスクをつけます)

 

感染対策は今まで通り、しっかり対策して受験に集中できる環境を

年末年始にオミクロン変異ウイルスが日本でも流行することが心配されていますが、前述のように、基本の感染対策は変わりません。

マスク着用、手洗い、人混みを避ける。 そして乱れがちな睡眠時間や食事の栄養バランスを整えることは感染対策に役立ちますし、同時に試験本番で十分なパフォーマンスを発揮するためにも欠かせないことです。

なお、先述の通り、特にオミクロン変異ウイルスについては、ワクチンは感染リスクを下げるものの万能ではないことが分かってきています。ワクチンを接種した場合でも、感染対策を心がける必要があります。

受験に挑むご本人もそれを支えるご家族も、不安なお気持ちをお持ちと思います。だからこそしっかりとした対策を行い。ご本人が受験対策に集中できる環境を整えていただければと思います。

文部科学省と厚生労働省は受験生とその家族向けに、感染対策をまとめた資料を作って備えを呼びかけています。下記にリンクをつけますので、よかったら参考にしてみてください。

受験生のみなさんへ ~新型コロナウイルス感染防止のための注意事項~


 

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オミクロン株による市中感染例の拡大に備えて、私たちにできることは?

 

12月22日に大阪府でオミクロン株による市中感染例が見つかって以降、京都、東京でも市中感染例が報告されています。

今後のオミクロン株による市中感染例が拡大に備えて私たちにできることは何でしょうか。

オミクロン株は何が問題なのか?
 

オミクロン株のスパイク蛋白とその主要な変異(CDC. ACIP Presentation Slides: Decmeber 16, 2021 Meeting)

 

オミクロン株はスパイク蛋白の遺伝子に30もの変異があり、このうち15か所の変異は感染成立に関わる受容体結合部位に存在しています。

これまでの変異株と同様に、オミクロン株でも感染力の増加や、過去の感染やワクチン接種によって付与された免疫を回避する能力の増加が明らかになってきています。
 

オミクロン株の現時点での広がりは?

オミクロン株による感染者は世界中で拡大を続けています。

2021年12月25日時点で、113カ国でオミクロン株による感染者が報告されています。

日本国内でも12月22日に大阪府内で国内感染例が確認されて以降、京都、東京と市中感染が少しずつ広がってきている状況です。

これからどれくらいのペースで日本国内でオミクロン株が広がっているのか分かりませんが、海外の事例が参考になります。

 

イギリスで5症例目が報告されてからの日数とそれぞれの変異株感染者の推移(UKHSA publication gateway number GOV-10869)
 

この図は、これまでにイギリス国内で見つかった変異株の広がりの速さを比較したものです。

イギリスでは、これまで最も感染力の強い変異株であったデルタ株よりもさらに急速にオミクロン株による感染者が増加しています。
 

アメリカ合衆国での変異株の割合の推移(CDC. COVID Data Trackerより)

 

こちらはアメリカ国内でゲノム解析が行われた変異株の割合の推移を見たものです。

CDCが発表したゲノム配列データによると、米国内でオミクロン株が急速に増加していることが示されています。

11月27日の週に0.1%だった割合が、12月4日の週には0.7%に上昇し、12月11日の週には12.6%、12月18日の週には73.2%と急激にオミクロン株の占める割合が増加しています。

実にわずか1ヶ月でデルタ株からオミクロン株への置き換わりが起こっており、今後日本国内でもこういったことが起こり得るということを考えておかなければなりません。

イギリスでの新型コロナ新規感染者数の推移(Worldometerより)

イギリスでの新型コロナ新規感染者数の推移(Worldometerより)

オミクロン株がすでに主流になっているイギリスでは感染者が急増しており、1日当たり10万人以上の新規感染者数となっています。

京都大の西浦先生らがデンマークのGISAID登録データを利用した解析では、オミクロン株の実効再生産数はデルタ株よりも3.19倍であった、という結果が厚生労働省のアドバイザリーボードで報告されています。

また、イギリス、デンマーク、南アフリカでは症例数が2倍になるまでの時間(倍加時間)も1.5〜3日と極めて速いペースで感染者が増加しており、日本でも同様のことが起これば、第6波は避けられない状況となります。

オミクロン株では重症化はしにくいのかもしれない
 

懸念すべき変異株 VOCの特徴の比較(筆者作成)

 

オミクロン株による感染者が急増しているイギリスでは、12月20日までに132人が入院し、これまでに14名の死亡(年齢は52歳から96歳)が報告されています。

これまでのデータに基づき重症化リスクを解析したところ、オミクロン株の感染者は救急外来受診または入院のリスクはデルタ株と比較して0.6倍、入院リスクは0.4倍であった、とのことです。

同様の結果はスコットランドからも報告されています。

世界で最初に流行が始まった南アフリカ共和国からも重症化に関する査読前の報告が発表されています。

オミクロン株の感染者は、デルタ株と比較して入院リスクが0.2倍、重症化リスクが0.3倍であった、とのことです。

ただし、これらの結果はワクチン接種や自然感染によって得られた免疫の影響が大きいと考察されています。

従来の変異株よりも重症化しにくいかもしれない、という点は吉報ですが、決して重症化しないわけではありませんので、感染者そのものが爆発的に増えてしまえば医療機関の逼迫は起こり得るということになります。

また、これまで以上に重症者病床よりも軽症者の宿泊療養施設や中等症病床の需要が大きくなってくることが予想されます。

ブースター接種で第6波の規模や重症者を最小限にすることが重要

3回目となるブースター接種をうける忽那氏(筆者の同僚撮影)

 

日本国内でも12月からブースター接種が開始されましたが、オミクロン株の拡大によって懸念される第6波の規模を最小限にし、重症者を減らすことが重要です。

イギリスで行われた2021年11月27日から12月17日のデルタ型147,597例、オミクロン型68,489例を対象とした解析では、オミクロン株ではデルタ株よりもワクチン接種による感染予防効果が大きく下がることが示されています。
 

ファイザー社のmRNAワクチン2回接種後およびファイザーまたはモデルナによるブースター接種後のワクチンの有効性(UKHSA publication gateway number GOV-10869)

 

ファイザーで2回ワクチン接種を受けた人は接種後経時的に発症予防効果が落ちていきますが、ブースター接種によって再度発症予防効果が高まります。

ファイザーのmRNAワクチンでブースター接種を行った人は直後に70%程度まで高まり、ブースター後10週間以降は45%に低下します(ぴえん)。

一方、モデルナのmRNAワクチンでブースター接種を行った方は、直後に80%近くまで発症予防効果が高まり、9週間以降も70~75%程度で推移しています。

これらのデータからすると、2回目まではファイザーのワクチンを接種した方も、3回目はモデルナという選択肢も考えて良さそうです。

2回の接種だけでも重症化を防ぐ効果は保たれていると考えられますが、特に高齢者においては重症化予防効果も経時的に低下していることが分かってきています。

オミクロン株の広がりが懸念される中、今はとにかくブースター接種を、特に高齢者に進めていくことが重要になります。

当初、「2回目の接種から8ヶ月以上」であった3回目の接種時期が12月17日より「6ヶ月以上」となりましたので、該当される方はぜひ接種をご検討ください。

韓国、イギリス、タイ、ベルギー、フランス、シンガポール、台湾、イタリア、オーストラリアなどのように、オミクロン株の拡大に備え、2回目接種からの期間をさらに短縮している地域もあり、今後の日本国内の状況によってはより柔軟な変更を政府に期待したいところです。

ワクチン接種後もこれまで通りの感染対策は続けるようにしましょう。

手洗いや3つの密を避ける、マスクを着用するなどの感染対策をこれまで通りしっかりと続けることが重要です。

 

参考文献

UKHSA publications gateway number GOV-10645. SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England: technical briefing 33

 

忽那賢志


 

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