指定暴力団道仁会(本部・福岡県久留米市)を巡り、周辺住民が組本部事務所としての使用差し止めを求めている問題で、住民側は26日、「長年、暴力団の恐怖で精神的苦痛を受けてきた」として道仁会側に総額約1億7500万円の慰謝料を求める本訴訟を5月中旬までに起こすことを決めた。この問題では3月27日、福岡地裁久留米支部が本部事務所など隣接する3棟のうち1棟の使用を禁じた仮処分決定を出し、本訴訟を起こすよう命令が出ていた。住民側弁護団によると、指定暴力団の組事務所使用差し止めを巡る慰謝料請求としては過去最高額になるという。

 本訴訟を起こすのは本部事務所から半径500メートルに居住する住民583人。約600人が仮処分申請したが、同支部の決定では一部が申立人として認められず、認められた583人が原告として1人当たり30万円の慰謝料を求める。

 本訴訟で住民側は、仮処分決定で「実質的な本部事務所」と認定された同会系組長所有のビルと、従来の本部事務所ビルについて再度組事務所としての使用差し止めを求める。同会系組事務所ビルの跡地については、組事務所駐車場などに使わないよう求めることを検討している。

 道仁会側が仮処分決定を不服として申し立てた保全異議について、同支部は5月下旬に審尋を実施する。