『ROM』
詩曲:岩田祐明
1
温い夜風背中を撫でる
人影絶えた細道をひとり
くぐもるネオンに瞳の中
不埒に覗かれて
窓越し見える白い指先
踊るようにピアノの上を滑る
漏れ聴こえくる掠れた声の
咽るように儚げなブルース
言葉も無しに成り立つハーモニー
羨むほど息の合うリタルダンド
愛のカタチを確かめ合うのね
漂いながら今宵浮かぶ月に
憂いを打ち明ける
さっきまで知らぬフリの月も
涙で語らうようにリプライ
2
時折揺らぐリズムは心
映し出すようで気恥ずかしくなるわ
乾いた喉をしっとりと濡らす
お酒が記憶をくすぐるわ
錆び付いた弦(いと)に
クセのあるプリアンプの
ノイズが何故か嫌じゃないの
一途な心根こそぎ否定され
焦がれて堕ちて捨てられた
末路が余生に横たわる
醒めない意地の悪い夢を
死ぬまで見続けるのもいい
さっきまで頷いてた月も
愛想無く雲間に溶けてゆく
更け行く闇に抱かれるまま
孤独になりきれぬ哀れ蚊
Uh...All night long...
夜はただ ROM.ROM.ROM...
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