超電導とはどういったものなのか、きちんと説明ができる人は少ないと思う。そういう私も、その中の一人だろう。だが、ほんの少しだけ超電導について知っていることをまとめたいと思う。




「超電導」には、この書き方の他にも「超伝導」という書き方がある。どちらの意味も同じものなので、どちらを使っても良い。使う人の傾向としては、電気工学者は前者を使い、物理学者は後者を使うことが多いと思う。私は電気工学者なので前者を使うこととする。




さて、超電導であるが、特性としては物質を冷やしていくと、電気抵抗がゼロになるということはご存じであろう。厳密には他にもたくさん性質があるのだが、工学の分野では電気抵抗がゼロになること以外に、次のような2つのポイントがある。




それは、マイスナー効果とピン止め効果である。




マイスナー効果とは、超電導になった物体に磁場を加えると、その磁場を排除し、内部磁場をゼロにするように働く効果である。完全な磁器遮蔽にも応用できるのではないかと思う。




そして、ピン止め効果であるが、外部から加えられた磁場に対して、磁束が通過する位置が変化しないという特性をピン止め効果と言っている。そのため、磁界の中に浮かんでいる超電導体を移動させようとすると、強い抵抗を受ける。この効果を利用して、超電導磁気軸受けといった軸受けも研究されたこともあった。


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これらの3点が兼ね備わって、はじめて「超電導体になった」と言える。




それでは、昨日の記事にも書いた超電導磁石であるが、電気抵抗がゼロなので大電流を流しても損失が発生しないということで、強力な電磁石を作ることができるのではないかということで、研究がスタートした。ところは、超電導の特性からそうはいかなかったようで、イバラの道だったようである。




超電導体が超電導状態でなくなることを、クエンチと言う。




超電導体がクエンチするための物理的要素として、その一つは温度であると容易に推測つく。なぜなら、冷やしたら超電導体になるので、その逆に温めたらクエンチする。




次に、超電導体に磁場を加えるとクエインチする。そして、超電導体に流す電流値によってもクエンチする。超電導体に電流を流すと、その電流によって発生する磁界によってクエンチするのか、それとも電流そのものが問題なのかは、未だによく分かっていないようであるが、おそらくは電子の動きがポイントなのだろう。




さて、強力な超電導磁石を作るに当たってであるが、強力な磁石は電流をたくさん流すのでクエンチしやすくなる。私たちの先輩研究者たちがいろいろと実験をした結果、超電導状態になる温度よりも更に冷やして、絶対零度に近づけることができれば、大電流を流してもクエンチしにくくなることが分かった。




また、高温超電導体のように、高い温度で超電導体となる、と言っても液体窒素温度であるが、そのような物質を使い、極低温まで冷やすことができれば、比較的大電流を流してもクエンチしにくいことも分かった。そこで、現在では、超電導磁石は高温超電導体が使われているようである。




超電導にはもっと高い温度で超電導体になるものも出てくるのではないかと思うので、科学のお家芸の一つである超電導も、研究対象としては下火になってきているが、がんばってもらいたいものである。