鯨の竜田揚げと鯨の串カツです。

小学校低学年の頃の私にとっては初めて知る美味でした。

今はもう魚売り場の鯨に食欲をそそられることはありませんが、

あの頃は本当に鯨さんにお世話になったのです。

コッペと脱脂粉乳のころ、給食の主役は断然パンでした。

だから学友は病気で休んだ子の家にパンを届けにも行きました。

昭和30年代前半までの日本は、皆がお腹を空かせてたのです。

てっちりを毎日食べても飽きない自信がありますが、諸般の事情で、十年に一度にしています。

その代わり朝は、朝がゆもとい朝飯をいただきます。

菜は、温泉卵とみそ汁、そして時々納豆です。

小盛りの飯椀に卵を乗せ、醤油をかけずに頂きます。

鶏卵の滋味が臓腑に染みます。

炊き立ての飯の香りは、驚くべき多様性を持ちその芳香に偏りがありません。

このため、鼻孔の臭細胞を万遍なく刺激し、その感覚を飽和させません。

それゆえにこそ、八十八年の長きにわたり飽くことなく頂けるのです。