髪を切ってもらうのが好きじゃないよ。
だいたいは理想通りに仕上がらないからなんだ。
最初に注文を伝えるけれど、いつも行く店のスタイリストは
髪が乾いてから浮くことを計算に入れていないものと見える。
結果として、カット直後はまあまあでも、
ドライヤーで乾かしたら「なんかすごく足りない」感じになってしまう。
店を変えればいいのかもしれないけれど、
そこまで髪型にこだわっているわけでもない(面倒くさい)。
それで結局は今週も最寄りの店に髪を切ってもらいに行ったんだ。
スタイリストは初めて担当してもらう女性だった。
僕「気持ち長めで! 長めでお願いします!」
ス「はい! わかりました!」
返事はいいけど、どうせ短くなるんだろうなあ・・・。
過去に何度も裏切られた経験のある僕の心は冷め切っていた。
「ええ、大丈夫っすよ。乾くとやっぱ短くなっちゃいますもんね(笑)」
と表向き理解を示していたお兄さんに安心して任せていたら、
仕上がりがおぼっちゃんカットだったこともある。
煮るなり焼くなりご自由に。
僕は髪を切る時にしか読まないホビー雑誌に目を落とした。
これ、前回来た時と同じ号だな・・・何ヶ月使い回してるんだよ・・・。
「仕上がりの確認お願いします!」
しばらくして声をかけられた。
目を上げて鏡を見た僕はつい「おっ」と声を漏らした。
僕「だいぶ長めにしてくれましたね」
ス「はい、その方が見栄えがいいと思ったので!」
できる子だ! できる子だよ!!
こういう考え方ができるスタイリストさんを待っていた。
普通にカットを頼む客だって、ただ髪が短くなればそれでいいと思ってるわけじゃないのさ!
ス「全体的なバランスを考えてあんまり髪はすかないままにしておきました!」
ありがとう! うん、確かにあんまりすかない方がいいよね!
だって元が薄いしね! やかましいわっ!!
僕は意気揚々と店を後にし、自宅に帰った。
僕「母さん、髪切ってきたんだ。どうよ?」
帰宅するなり僕は母さんに新しいヘアースタイルを見せつけてやった。
母「どこを切ってきたの?」
僕「え?」
母「朝とぜんぜん変わってないじゃない」
僕「・・・・・・」
あらためて洗面所で鏡を見てみた。
確かに、最初とほとんど変わっていないような・・・。
いやいやそんなことないし! 変わってるし!!
数日後、客先で。
客「ノウワン、そろそろ髪切ったほうがいいんじゃない?」
僕「・・・・・・はい」
