新情報盛りだくさんの濃密な発表会に コーエーテクモゲームスは、2011年8月30日、同社のネットワーク事業戦略に関する発表会を開催した. この日発表されたのは、大きく分けて以下の3つ. ・オンライン&ソーシャルゲーム部門の業績と戦略 ・オンラインゲーム、ソーシャルゲームの新作を含む今後の展開 ・ポータルサイト"my GAMECITY"のリニューアル それぞれ、非常に中身の濃い内容となった発表会. 順を追ってリポートしていこう. 「ソーシャルをネットワーク事業の中心ジャンルに」 最初に登場したのは、コーエーテクモゲームス代表取締役社長の襟川陽一氏. 襟川氏は、現在コーエーテクモゲームスのネットワーク事業が急激に伸びていることを力説. オンライン・ソーシャル事業には、昨年度は約200人の人員が従事していたが、それを今年度には約300人に増員し、スマートフォンへの対応も含めて、さらに注力していくのだという. 「とくにネットワーク事業の中心ジャンルとして、ソーシャルに力を入れて、世界に打って出ます」(襟川氏)と、並々ならぬ意欲を語った. オンライン・モバイル事業は順調、海外展開も積極的に 続いて登場したのは、コーエーテクモゲームス専務取締役ネットワーク事業部長の小林伸太郎氏. 小林氏が説明したのは、コーエーテクモゲームスのみならず、国内外の関連子会社も含めたコーエーテクモグループ全体の戦略に関する発表だ. 小林氏は、まずコーエーテクモゲームスのオンライン・モバイル事業について、2011年8月30日現在の状況を解説した. 以下の通り、非常に好調であることがよくわかる. Mau(月間有効会員数)は、月額課金式の『信長の野望 Online』が3.8万人、『大航海時代 Online』が3.5万人. 基本料金無料の『真・三國無双Online』は非公開. ソーシャルゲームは、8タイトルで累計登録会員数は400万人. モバイル/DLアプリは、211サイト、70タイトルで、Mauが40万人. つぎに業績については、決算説明会などでも発表されている通り、こちらも非常に好調だとのこと. 2009年度は約345億円の売上に対して、約11パーセントにあたる約40億円がオンライン・モバイル部門の売上で、全体としては赤字という結果となっていた. 一方2010年度は、後半からソーシャルゲームを提供し始めたことにより、約320億円の売上のうち、約14パーセントの約46億円がオンライン・ソーシャル部門の売上に. 利益で見ると、約33億円の利益のうち、じつに約36.4パーセントにあたる約12億円をオンライン・モバイル部門の利益が占めるまでに成長したという. この結果を見ただけでも、コーエーテクモゲームスにとって、現在オンライン・モバイル事業がいかに重要なものになっているかがよくわかる. 今後の事業展開について、小林氏が挙げたテーマはふたつ. ひとつは、"マルチプラットフォーム・マルチデバイス"だ. DeNA(Mobage)、GREE、Yahoo! Mobageなどあらゆるプラットフォームにコンテンツを提供すること. そして、フィーチャーフォン、スマートフォン、PCなどあらゆるデバイスを通じてサービスを広げていくことが重要であるとのこと. もうひとつのテーマは、"グローバルソーシャルゲーム戦略". これは襟川氏も冒頭の挨拶で語っていたことだが、今後伸びていくことが必至のスマートフォンへの対応強化や、オンライン、パッケージゲームとの連携なども含めてさらにラインアップを強化し、グローバルに展開するということだ. グローバル展開については、「とくに注目しているのは、東南アジアです. フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム. 市場規模では小さく見えますが、いま急速に伸びている市場です. この東南アジアと中国に積極的に展開します」(小林氏)と、アジア進出への意欲を語っていた. マルチデバイス対応表. "対応予定"の白い星の数の多さに、意欲が伺える. 東南アジアの市場規模は340億円. 日本、韓国、中国に比べると確かに小さく見えるが、成長著しいのだという(数字は2011年8月現在、コーエーテクモゲームスの調査によるもの). 事業戦略のまとめとして、2011年度の売上げ目標を350億円、うち73億円をオンライン・モバイル事業の売上げ目標として設定しており、さらに利益は50億円のうちの40パーセントにあたる20億円をオンライン・モバイル事業の目標としていることを説明した. ただし小林氏によると、「これはあくまで目標の数字です」とのこと. 「本日は弊社社長の襟川も見ていることですし、これ以上の数字を目指すと申し上げておきます」(小林氏)と冗談めかして語っていたが、確かに2010年度の実績からすれば、さらに上の結果が出る可能性は大いにありそうだ. コーエーテクモゲームスの有力フランチャイズが続々ソーシャルに! オンライン・モバイル事業の現状と展望が説明されたところで、つぎは目標を達成するための具体的な戦略の説明となった. ここで登場したのは、コンシューマーゲームの開発でもおなじみの、コーエーテクモゲームス常務執行役員ネットワーク事業部副事業部長の藤重和博氏だ. 藤重氏からは、いきなりソーシャルゲームの新作タイトルが3作続けて発表された. 最初に発表されたのは、GREE用に提供される『 100万人のWinning Post 』(詳細は 【コチラ 】). 藤重氏は、「実際の競馬ではサンデーサイレンスの子のディープインパクトがGIを獲って、その子がまたGIを獲ったりしています. プレイヤーは、それらの馬に勝てるような馬、種牡馬を育てるなど、自分なりの楽しみを広げられます」と、『 Winning Post 』らしい楽しさがソーシャルゲームにうまく落とし込まれていることを説明した. 本作は、すでに事前登録が開始されており、事前登録者にはゲーム内アイテムが進呈される. その後は、2011年9月よりβサービスが開始される予定で、スマートフォンでの展開も予定されているとのことだ. 2本目は、Mobageで展開される『 100万人の大航海時代 』. 『 大航海時代 Online 』は、現在オンラインゲームとしてグローバル展開されているタイトルだが、『 100万人の大航海時代 』でも、スマートフォン対応でグローバル展開していくとのこと. まだタイトルロゴのみの公開だが、藤重氏が「グローバルソーシャル戦略の基幹になるタイトルです」と語るとおり、コーエーテクモゲームスにとって重要なタイトルとして、精力的に開発が進められているようだ. 新作の3本目は、ちょっと変わり種の『 100万人の超WORLDサッカー! 』. これは、日本最大級のモバイルサッカーサイト"超WORLDサッカー"と連動して展開されるタイトルとなる模様. こちらも、スマートフォン対応でワールドワイドに展開していく予定とのことだ. そのほかソーシャルゲームの現状として、『 100万人の信長の野望 』の登録会員が170万人を越え、スマートフォンへ対応済みであること、『 100万人の戦国無双 』が2011年8月31日より正式サービス開始となること(詳しくは 【コチラ 】)が報告された. つぎに、PC、プレイステーション3などで展開中のオンラインゲームについての現状が説明された. まず『 信長の野望 Online 』については、2011年9月28日に、豪華9大特典付きの『 信長の野望 Online ~新星の章~プレミアムボックス 決戦前夜 』がWindows用に発売されることが、改めて説明された. 『 大航海時代 Online 』については、台湾、韓国で続々サービスインするなど、海外展開が好調であることが説明され、新たに、2011年11月8日に大規模アップデート"Chapter3"の実施と同時に、『 トレジャーパック 自由の大地 』がWindows用に数量限定で発売されることが発表された(詳細は 【コチラ 】). 最後に『 真・三國無双 Online 』について. 本作は、藤重氏の管轄する事業の中で最初にアイテム課金モデルでリニューアルしたタイトルだが、「当初はビジネス的に苦しかったのですが、ここ1~2年は順調に伸びてきています」(藤重氏)と、苦しみながら育ててきたコンテンツであるという. その成果として、現在では、Mauベースではグループでいちばん大きなコンテンツになっているとこのこと. そしてリニューアルから4周年が経ったことを記念して、"4周年記念パック"を発売することが発表された. 通販 靴 この4周年記念パックでは、特定の条件を満たすと、『 NINJA GAIDENΣ2 』とのコラボレーションアイテムも入手できる. 藤重氏によると、「テクモとの統合効果の一環で、チームNINJAとの協力によって生まれたものです」とのことで、ゲームファンにとってはうれしいコラボレーションと言えるだろう. 最後に藤重氏からは、東京ゲームショウ2011への出展内容の説明がなされた. オンラインゲーム関連では、"ネットエンターテインメントフェスタ"と題して、試遊台を出展するほか、試遊者には特別アイテムがプレゼントされるとのこと. また、ゲストも招いた楽しいステージイベントも行う予定となっているそうだ. my GAMECITYは日本国内1000万人が目標! 続いて登場したのは、コーエーテクモゲームス執行役員ポータルサービス担当の藤田一巳氏. 藤田氏から発表されたのは、コーエーテクモゲームスのポータルサイト"my GAMECITY"の大リニューアルについてだ(詳細は 【コチラ 】. 藤田氏は、まず1999年のGAMECITYオープン以来の歩みについて説明. さらに、2011年6月の"市長選挙"によって選ばれた、my GAMECITY市長の"ニャブラハム・リンニャーン"を紹介した. この日が初お披露目となるニャブラハム・リンニャーン市長は、残念ながらうまくしゃべることができなかったようなので、代わりに藤田氏から、市長の掲げるマニフェストが説明された. マニフェストの第一は、"SNSとゲームの融合". 藤田氏は、「ここが今日いちばん聞いてほしいところです」と前置きしたうえで、"my GAMECITYがゲームの集まるプラットフォームとして生まれ変わり、my GAMECITY自体がひとつのゲームになる"というユニークな構想を明かした. ゲーム会社ならではのノウハウを活かして、「新規登録、入会すらゲームのように楽しいものにします」(藤田氏)と、いままでにないポータルサービスを作り上げるとのこと. 目標登録ユーザー数について藤田氏は、「日本国内で1000万人を目指します」と非常に高い目標を掲げたが、これについては「現在GAMECITYの会員数が200万人で、単純に考えればひとりが5人誘ってくれれば1000万人ですよね. ひとりひとりがインセンティブ、リワードを入手できる仕組み、参加しやすい仕組みをしっかり作れれば、ハードルはそんなに高くないと思っています」(藤田氏)と自信を覗かせた. コンテンツホルダーとして積極的に海外展開を 最後に、再び小林氏が登場して、盛りだくさんだった発表会の締めの挨拶を行った. 小林氏は、「振り返れば、パッケージソフトでは、任天堂さん、ソニーさんが展開してグローバルスタンダードになり、そこに我々がソフトを提供しました. GREE、Mobageも特徴的な日本発のプラットフォームで、どちらも積極的に海外展開しています. 我々も、コンテンツホルダーとして積極的に展開し、これからもどんどん成長していきます」と、改めてソーシャルゲーム分野に注力することを力説し、発表会を締めくくった.