電話が鳴った

 

 

虎太郎っ!?

 

 

 

手の中のスマホ、画面には明海の名前

 

違ったか・・・

 

 

「はい、どうした?」

 

「私だけど。」

 

「うん、わかってる」

 

名前、出てるよ?

 

 

「んー・・ あのさー」

 

「うん?」

 

明海ってば

何だか、歯切れが悪い

どうした?

何かあった?

 

「今日さ、ウチ来てくれたとき、楓、ケーキ、持ってきてくれたじゃない?」

 

「あーーー!!忘れてた!!」

 

「でしょう?」

 

 

そうだった、そうだった

お気に入りのケーキ屋さん、寄っていったんだった

 

 

「いいよいいよ、明海、食べちゃって」

 

「それがさ、私もそうさせてもらおうかと思ったんだけどー」

 

「うん?」

 

「拓海がさ、持ってく、って行っちゃったのよ」

 

「え?」

 

 

ドキッ

 

 

「そっち。・・・ だからさ、すぐ着くと思うのよね、距離的に。アイツ、車で行ったから」

 

 

え・・?

車で?

うちに?

 

 

「え?でも拓海くん、うち、知ってたっけ?」

 

「あーほら、前に私たち、酔っぱらって迎えに来てもらったことあったじゃない?」

 

 

あー、明海がすっごい酔っちゃったときだ

 

 

「だからわかるんだって」

 

「そっかぁ~」

 

 

え?え?

拓海くんが、来るってこと?

今っ!?

 

 

バクーーーン

 

いきなり心拍数上がってきた

 

 

「それでさ・・・ 変なこと聞くんだけど、・・・拓海となんかあった?」

 

「え?」

 

 

ドキッ

 

 

「だってなんかアイツ、変だったのよね~ 私に連絡しとけ、って飛び出してったのよ?」

 

 

うわぁ~/////

 

やばい

ドキドキが・・・

 

 

「そんなさー、普通、ケーキ届けに行く?いくら近いからってさ~」

 

どきどきどきどき・・・

 

え?

なんかあった?って

なんかあったの?私たち

 

いやいや、何もないでしょ

 

 

「むしろ近いからじゃない?だってそんな・・・ 何かって、何?私と拓海くんに何があるっていうの?」

 

「そうよね、・・・確かに。考えすぎか」

 

「私、食い意地張ってるように見えるのかも?」

 

「そーかも!だって、うちに来るたび、拓海に何か作って~って言ってるもんね」

 

「わー、やっぱりー?それで?」

 

「それでかぁ~・・・ あ!もしかして、拓海のやつ、楓のとこ行ったあと、女にでも会いに行くのかも」

 

「え・・?」

 

 

拓海くんが、女のとこ・・?

 

 

「だってさ~ なんか急に、また一人暮らししようかなって言い出して・・・。あれは、新しい女が出来たか?って感じだったのよ。あ、ってことは、楓のこと、だしにしたのかも」

 

「そっかぁ~、私、だしにされちゃったのか」

 

「帰ってきたら問い詰めよう!もしかしたら朝帰りもその子のとこだったのかも・・・あ、そろそろ着くかもしれないから、出てみてやってね」

 

「うん、ありがと。」

 

「じゃ、また!」

 

「うん、また」

 

 

 

私は鏡をみつめ、自分のお顔チェック

あ、唇・・・

 

ちゃちゃっとグロスだけ塗って

 

服・・

部屋着は まずい?

いや、でもここで何に着替える?

お出かけする気満々はやばいでしょ

 

えー

もう、いいや

このままで

どうせケーキ、受け取るだけだし

 

 

ーー また一人暮らししたい、って言い出して

 

ーー 新しい女ができたか?って

 

 

朝帰りは彼女じゃないって言ってたけど・・・

 

彼女がいない、とは言ってないもんね

 

 

 

勢いよく階段を降りていくと

 

 

「楓? なに?出掛けるの?」

 

 

母に問い詰められた

 

 

「ちょっとそこまでー 出てくるだけ」

 

「そう?あ、だったらー」

 

「コンビニとか行かないから」

 

「えー、行かないの~?」

 

「行かない、行かない」

 

 

 

玄関で靴をはく

 

ガチャリー

 

 

 

私はドアをあけ、家を出る

 

 

 

ひゅう~~

 

もう夜風だな、これ

 

 

なんて思いつつ

辺りを見回すと

 

少し離れたところで

ハザードランプをつけたまま

停まっている見慣れた車を発見

 

 

私は走り寄って行くと

運転席側の窓がおりてきて

 

拓海くんが顔を出した

フワッといい香りがする

 

イケメンがいい匂いっていうのは

所説あると思うけど

私はほぼ間違いないと思ってるwww

 

 

「よかった~ 出てきてくれて。着いたけどどうしようかと思ってた」

 

「あ・・ ごめんね、ほんと。ケーキ、・・・・ 2人で食べちゃってよかったのに」

 

「いやいや、多いでしょ。」

 

「そう?ふたつずつ・・ ちょっと時間をおけば、余裕でしょ」

 

「いや俺、甘いもん苦手だし」

 

「そうなの?」

 

 

初めて知った

 

 

「・・・・・ 乗る?」

 

「え?」

 

「いや、なんか、寒そうだし」

 

あ・・

気づいたら腕、さすさすしてたかもwww

 

でも・・・

ケーキ、受け取るだけなのに

車に乗るのは、変じゃない?

 

 

ーー 楓のとこ行ったあと、女のとこ、行くのかも

 

明海が言ってたことをまた思い出しちゃった

 

 

「拓海くん、このあとー」

「ドライブでも行かない?せっかくだし」

 

「え?」

「え?」

 

 

ドライブ?

 

私と?

 

 

ーー 新しい女ができたかも

 

 

また明海の言葉が頭の中、ぐるぐると・・・・

 

 

 

いやいやいや、ないないない

 

 

「このあと?って?」

 

「あ、ううん、なんでもない」

 

「じゃあ、乗って。風邪引かせたくないし。」

 

「え?大丈夫だよ、そんな、風邪なんて・・」

 

「ドライブ嫌?」

 

 

ドキッ

 

 

どうしよう

本当はさっきから

ドキドキしてて

 

会えたの嬉しくて

 

もっと一緒にいたくて

 

なるべく会話が終わらないように、って思ってて

 

こんなこと考えるなんて

変かな?

私・・・

 

変だよ

ダメだよ

 

って誰かが言ってるような気もするくせに

 

 

 

私は黙って助手席側にまわると

そのドアをあけ

 

ささっと乗り込んだ