天気がよくてよかったね~

 

 

「あ、そういえば・・ 楓ちゃんから電話あったんだった」

 

 

ベランダで洗濯の終わったシーツを干しながら

私は部屋の中で、掃除機をかけているコタローに向かって言った

 

 

「ん~?何か言ったか?」

 

 

掃除機の電源を切ると

コタローが聞いてくる

 

 

このまま、黙っとく?

聞こえてなかったのをいいことに

なんでもない、って言っちゃう?

 

 

「電話あったよ? 楓ちゃんから」

 

 

もう一度、今度は少し大きな声で伝える

 

すると、コタロー、すっごいびっくりした顔をして

 

「はっ?楓からっ?電話っていつっ!?」

 

言いながら、スマホを探してる

見つけてすぐに履歴を確認したのか

 

「かかってきてないぞ?」

 

「昨日。コタローが買い物に行ってるとき。かかってきた」

 

「・・・ うそだろ。昨日って・・ なんでそれ、言ってくんなかったんだよ」

 

「ごめん、忘れてた」

 

「忘れてた、じゃねーだろーが・・ はぁ~、勘弁してくれよ、なんで・・ もう、こんな時間、経っちまってんじゃねーかよ・・・」

 

 

それはコタローがしつこかったせいじゃん

 

 

「だからごめん、って」

 

「・・・ まぁいーわ。電話してくる」

 

 

私だけが悪いわけ?

 

 

ここでしたらいいじゃん

 

なんで外、行くの?

 

・・って、抱いた女の横で彼女に電話なんかできないか

 

 

 

あれこれ理由つけさせてみたけど

 

結局、抱いたのはコタローなんだからね?

 

それも何度も

 

 

誰かにあんなに求められたことなんて

 

はっきり言って初めてで

 

 

 

ーー 楓とは、こんなシたことない

 

 

 

あんなこと言われて

 

嬉しくないわけないじゃない

 

 

 

 

だいたい

 

コタローは最初っから

こんな私なんかにも優しくて

 

再会した日だって

 

酔っぱらった女なんて

ホテルに連れ込むことだってできたのに

 

自分の部屋、連れ込んだかと思ったら

 

自分はさっさと友達のとこ、行っちゃって

十年以上ぶりに会った私なんかに

あっさり部屋、貸しちゃって

 

どうすんのよ

私が泥棒だったら

 

ほんっと、危機管理能力なさすぎで

 

もっと人のこと警戒しろよ、ってやつで

 

 

別れた男からの電話に

勝手に出て文句言っちゃうし

 

不倫なんかしてた女なのに

明るい真昼間なのに、家まで送ってくれて

 

挙句、別れた男が待ち伏せしてるってわかったら

また引き返して泊めてくれるし

 

どれだけお人好しなのよ

 

そんなんだからねー

 

私みたいな悪い女に付け込まれるのよ

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

バタン

 

 

ドアを開け閉めする音がして

虎太郎が大股で戻ってきた

 

「出ない・・・」

 

 

携帯、握りしめて

それだけボソッと

 

 

あ~

楓ちゃん

電話に出なかったんだ

 

 

「・・・ オレ、行ってくるわ。楓んとこ」

 

 

行くんだ?

そりゃ、行くよね?

 

大好きな楓ちゃんのところだもん

 

あんなに私のこと抱いても

そこに気持ちはないんだもんね

 

虎太郎の

 

 

 

「うん。楓ちゃんによろしく」

 

 

まぁ、楓ちゃんは私なんかによろしくされたくないだろうけど

 

 

「おまえ、どうする?ここにいる?それともどっかー」

 

「あ、買い物でも行ってくる。」

 

「そか。だったらー・・・ これ、使え」

 

 

コタローに渡されたのは

多分この部屋の鍵

 

スペア?

 

いいの?

私なんかに渡しちゃって

 

 

「帰るとき、電話するから」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

電話するって・・・

コタロー、私の番号、知らないよね?

わたしたち

連絡先の交換、してないんだけど

 

ま、いっか

 

 

「うん、行ってら~」

 

 

私は手をひらひらと振ると

コタローを送り出した

 

 

「さてと・・・」