「何、花なんか持ってるんですか?」
ようやくドアをあけて出てきてくれた彼女は
すぐに後ろ手にドアを閉めたので
俺と武田、ふたり
玄関前で向かい合って話す羽目に
「なにって・・ 夏川に買って行けって言われた」
「・・・ハァ~ 正直に言うんですね、そうですか。謝罪ですか?でも、松永さんのことをバカ呼ばわりしたのは私のほうですが?」
「謝罪じゃあない。・・・あ、いや、謝罪になるのか?」
「ハァ~・・ 何を言ってるんです?」
「お前が言うとおり、オレがバカだから、謝りにきた」
そう言うと、武田が少し目を丸くした
驚いたのか?
「・・・ 別に。松永さんが謝る必要なんてないです。むしろ、上司にバカだなんて、私の方が言いすぎました。すみません」
「上司じゃないだろ」
「・・ はい?」
「オレはお前の彼氏。・・・ なんだろ?」
「あれはっー」
「わかってる。オレのために言ってくれたんだよな?」
「違いますっ!あれは・・ あの嘘は、私の下心なんです」
下心・・?
「じゃあオレのこれ、この花も、オレの下心だ」
「下心?・・・ 松永さんのは、何の下心なんですか?」
「下心って言ったらあれだろ・・ 恋に決まってる・・んじゃないのか?」
「ぷっ!!松永さんが恋、って・・」
「笑うな。言ってるオレが一番恥ずかしいんだからー」
「ぷぷっ!だってー」
「・・・ いい加減、俺を部屋の中に入れてくれないか?」
「・・・・・・」
「ずっとここで、立ち話をするつもりか?」
「ずっとじゃないですよ?松永さんが帰ればいいんです」
「は?俺に帰ろって言ってるのか?今?これで?」
「だってっ!! 私だって急にそんな・・ 下心だとか言われても信じられるわけないじゃないですかっ!私、言いましたよね?ずっと・・ 松永さんが誰を見てきたのか、知ってるんですよ?」
「いーや。知らないね。お前は」
「はぁ?何を根拠にー」
「オレの目はもう、とっくにお前を一番に探してる。」
「・・ うそ・・だぁ~・・」
「知らなかっただろ。もう夏川じゃあない」
「・・・ そこで名前、言います?だいたい、その花だって、夏川さんに言われて買って来た、って・・」
「ああーもうっ!うるさいっ!早く中に入れてくれ。でないといいのか?」
「逆切れですか?」
「ここでキスするぞ」
「えっ////」
あ、赤くなった
「ここで、って・・そんなの困りますっ・・ちょっと待ってください、じゃあー」
ガチャ
やっとドアが開いた
「あっ、だからって別にキスしてほしいとかじゃー」
そう言って振り向いた武田はもう
オレの腕の中
「ばぁ~っか・・ もう、遅いんだよ」
背中越しにドアの閉まる音がした