会長に会わせろだと・・・?
いったい何を考えてるんだ??
「あの~・・ 真崎さん、チョン代表は・・?」
あいつの衣装選びをスタッフに任せると、
ブティックのオーナーはオレの隣にやってきて上目遣いに聞いてきた
「申し訳ありません。今日は仕事の都合で来られなくて・・・」
オレがそう答えたときの女の反応
それはもう、いつも決まっていて
「・・ そう。・・・ いらっしゃらないんですね、チョン代表は・・」
あからさまにガッカリとうなだれる
ハッキリ言って、見飽きた光景だ
ご主人様のそばにいると、もう、何度も何度もこの視線でーー
「ねぇ真崎っ!!ちょっとこれっ!!可愛くないっ!?」
シャアーーッと試着室のカーテンを開けて出てきたアイツが顔を高揚させ、聞いてきた
少し離れた場所でオーナーと話していたオレに向かって大きい声で・・・
「あの方は・・ 真崎さんのお相手なんですか?」
「・・・・・・・」
プッと鼻で笑うような声がして、オーナーが言った
オレはその質問には軽くスルーし、試着室の前へと歩を進める
「気に入るのはなかったんじゃ?」
「・・・どうしてそんな意地悪言うのよ・・ 着てみたら楽しくなっちゃって・・
ねっ!どうっ?これ、意外と似合ってたりしないっ?
ドレスも服と一緒で着てみないとわからないものね~
このお姉さんが、私のスタイルには合ってるはずってー」
くるくるっと回るたびに、ドレスの裾が綺麗に舞う
・・・・・ はしゃぎすぎだろう
「ねぇ真崎っ! どうよ!これっー」
くるくるくるっ・・・
「は?オレに聞いてどうする・・」
おまえがそれを着るのはご主人様のためだろう?
「だって他に誰に聞くの?っていうか、真崎がいいならいい気がするから!」
オレがいいなら、いい?
「・・・ じゃあそれで。」
「おお~~!じゃあ、これでお願いしますね、お姉さん!」
そういうと、あいつはもう一度くるっと回ってから、試着室の中へと消えて行った
・
・
・
・
・
「やだぁ~ん・・これ、私の指が細く見えるぅ~~~」
ジュエリー店でも、あいつは気に入った指輪をはめると目の前にかざし
次に、どうどう?とばかりにオレの前に差し出してきた
「・・・ いいんじゃないか?」
「えー!!ちょっとっ!!もう少し真剣に選んでよ!!」
はぁ?
だいたい、ドタキャンする勢いだったのは、どこのどいつだ?
真剣に選べって、どの口が言う???
「そうですよ、新郎さまも手に取ってご覧くださいませ」
「はっ? 新郎ってー」
「いーじゃない、そういうことにしとこ?」
横からオレの腹をつついてアイツがそういうと、もう別の指輪を選ぶことに余念がない・・・
ここでも、ご主人様が来ないと告げた途端、オーナーは席を外し、他の店員を対応にあてさせていた
まぁ、まだご主人様が結婚なさることはそこまで公にはなっていないものの
噂も立ち始めているわけなのに・・・・
本人が来ないと、当事者だとは思わないわけか
「真崎・・ これって、結婚しないともらえないのかな?」
「はぁ?」
「だってこの子が私のところに来たいって言ってるのよぉーー!!!」
明らかに色のついた石をあしらった指輪をはめ
うっとりとした視線を涙目にして語ってきた
「言うわけないだろっ!!!」
「・・・・ 欲しい・・・ 私、今まで指輪なんて見ることなかったから
欲しいと思うこともなかったんだけど・・・
こんなに素敵なのねっ!?ねっ?」
「おまえ、それ・・ 結婚指輪でもなければ婚約指輪でもないだろ」
「だってー、目にとまっちゃったんだもんっ きっとこれは運命の出会いっ!!」
「あほかっ!!」
指輪に何が運命の出会いだ
「そんなのいいから、とっとと選べよ。もう、さっきのでいいんじゃないか?」
「だから~ 真崎のそういう、不誠実な態度はどうかと思うのよねっ!!」
「不誠実だとぉ~~~~?」
「(じゃあ、これが、ご主人様とのお揃いの指輪選びだと思ってご覧なさいよっ)」
「ごっ、ごしゅっ///// お、おそろっ////」
「・・・・ すっごい動揺・・・」
「・・・いや、別に・・あ~コホンッ・・ほんとにさっきのはいいと思う。
その・・ 指が綺麗に見えたし・・」
「ほんと?・・・じゃあ、真崎が言うならそれで。あ、サイズー」
「大丈夫だ。ご主人様のは聞いてある」
「・・・ そか、うん」
「すみませんっー これ、お願いします」
オレは店員さんを呼ぶと、ご主人様のサイズを伝えた
・
・
・
・
・
「・・・ ねぇ、真崎・・ 衣装も指輪も選んじゃって、大丈夫だったのかな?」
車に乗り込むと、シートベルトを締めずに手につかんだまま
助手席でぼそっと呟く声が聞こえた
「なにが?・・・ご主人様の言いつけどおりだ」
「だってこれから、会長様にお会いして、結婚なんてなかったことにしてくれってお願いしに行くのに・・」
「はあぁぁぁぁ~~~!!!?」
伸ばした声が裏返るかと思うほど驚いた
「もしかしてキャンセル料とかまた、余計にかかって・・私、自分の首絞めた?」
そんな、こっち向いて聞いてくるなっ!!!
「おまえっ・・ 会長に会わせろって・・ まさか本気で結婚しないつもりかっ!?」
「そうだよ?だって言ったじゃないっ!最初にっ!!真崎にも協力してくれってー」
「ムリだろ、無理!!」
会長のおっしゃることは絶対だ・・!!
「なによ、真崎だって私なんか認めないって言ってたじゃないっ!!!」
「・・・・・・・・」
そりゃ・・・
確かに・・・
そう・・ 言ったけど・・・
「いいからとにかくっ、お屋敷に向かってよ!!」
「でもおまえ・・・」
「いいのっ!!しないで後悔より、して後悔!! それが私のモットーなのよっ!!!」
「なんだそれ・・・ 結局後悔すんのかよ」
「しないかもしれないでしょ?とにかく、行けーーー!!!」
「・・・・・ はいはい」
オレは・・・
車のエンジンをかけた
つづく・・・