ピコンッ、ピコンッー

 

 

ーー 今日、そっち、行くわ

 

ーー めしとふろ、よろしく

 

 

「・・・・・・・」

 

 

いつも思うけどさ

私って、アンタのなに?

 

 

「どうした?彼氏?」

 

「・・・ だと思ってるのは、私の方だけで、あっちは私のことなんか、便利な女としか思ってないみたいですけど~」

 

「永いのよね?そろそろ、結婚~なんて、話、出ないの?」

 

「まったく~。出ませんね。」

 

 

就業時間を過ぎた頃になると

週に2回くらいの頻度で入るメッセージ

 

オレが来るから夕食の買い物、してなかったらしろよ~

的な?

 

「冷たいんですよね」

 

「そりゃ、あんたがMだからじゃないの~?」

 

「・・・・。ああああーー、こういうときは、源氏さまに癒されるしかないっ!!」

 

 

私はスマホを取り出すと

ピッ、ピッ、ピッー

 

 

「あ~ 『源氏の国』?あれって、エロ漫画じゃーん」

 

「そうですよ~ 主人公のあおとがめちゃくそエロいんでっ!!官能のスペクタクルッ」

 

源氏の国のページを開く

 

「あれ?主人公って、そうし、じゃなかった?」

 

「先輩ったら、読みが甘いなぁ~ 主人公は、源氏蒼士って書いて、あおと、って言うんですけど、なぜかみんなは、そうし、って呼ぶんですよね~。」

 

「え?そうなの?組み敷いた女にも、上から、そうし、って呼べ!って言ってなかった?」

 

「ええ、ええ!そうなんですよ、その時の上から見下ろす目が、ゾッとしますよね~。エロくて。」

 

「いやいや、エロいっていうか、単純に怖いっていうか・・・・」

 

「蒼士についてる秘書とか、家にいる執事とか、周りのイケメン親友たちもみんな、そうし、って呼んでるんですよね~・・ なんでだったのかなぁ~・・ 何度読み返してもわかんないんですよね、そこ・・・。」

 

「まぁそんなこと、どうでもいいんじゃない?とにかく、あの主人公、確か、クソで、エロくて、俺様で、まったくいいとこないわよね?癒される要素なんてある?」

 

「あ、先輩、最近の更新、まだ読んでないんですね?あおと、出会っちゃったんですよ、ヒロインに!!」

 

「えーっ?ヒロイン、出てきたの?てか、あの秘書じゃないんだ?私はてっきり、あのエロエロボディの秘書とくっつくんだと思ってたけど」

 

「それもありなんですけどね?この前出てきた、女の子の名前が、村崎乃愛って言うんですよ」

 

「・・・・ それって、一般庶民?」

 

「そうです。一般庶民が、この源氏の王国と言われる源氏の国で、主人公のあおとに、色々教えていくんですよ!きっと!そうして、真実の愛に目覚めたクズあおとが、どんどんいい男にかわっていく・・・。」

 

「源氏が、そんな一般庶民と恋に落ちて結ばれることなんてないでしょ。あの源氏のじじいとか、腹黒いおじさんとかが、黙ってるわけないでしょ。だいたい、なんでそんな一般庶民の女の子が出てきた途端、ヒロインだなんて思ったのよ」

 

「だって、村崎乃愛って言うんですよ?む、ら、さ、き!!源氏と言ったら、むらさき、ですよ!!」

 

「あ~~・・ なるほど。でも、それで言ったら、紫織(しおり)にも紫、入ってるからヒロインね?」

 

「私も源氏の国に嵌まってすぐにそれ、思いましたよ!!だからかな?嵌まったの・・・」

 

 

なぜか、この漫画を読み始めた途端、すぐ嵌まってしまった・・・

 

 

「それに、この乃愛ちゃんは、今まで蒼士のまわりにいた、腹黒い女たちとは違って、純粋無垢で・・・ あ~そうね、ピュアを絵に描いたようなヒロイン・・・そして可愛い!!」

 

 

「出てきたのはいいけど、そんな一般庶民がどうやって、雲の上の存在の主人公に出会うっていうの?」

 

「それはまだ、これからなのよ。でもきっと、この子にあって、蒼士の心が浄化されていくんだわっ?あ~でも、エロさはそのままでいてほしいなぁ~・・ 丸くなられるのも困るんだけど」

 

「・・・ほら。あんたって結局Mなのよね、そうしがいい人になったらつまんないんでしょ?」

 

「でも漫画の展開的にはそうなるのが常じゃない?イケメン御曹司が、一般の可愛い女の子と恋に落ちて、まわりに反対されつつも愛を育んでいく。変わっていく御曹司に、まわりもいつしか彼女の存在を認めざるを得なくなって・・・」

 

「まぁね。でも私、実は気になってる人がいるのよね~」

 

「気になってる人?誰かいた?」

 

「まだ出てきてないと思うんだけど・・・ ここまでの御曹司、婚約者っていうか、許嫁っていうの?そういうのが普通いるじゃない?」

 

「そう言えば居そう。あ、でも、そういう許嫁って、きっと、乃愛ちゃんと蒼士が愛を育みだしてから、邪魔しに登場するのよ!だから、まだ出てくるのを待ってる、って感じですね」

 

「・・・ なるほど。邪魔をしに、か。確かに。御曹司とヒロインがいい感じになってきたころに、必ず元カノとか許嫁とかが邪魔をしに現れるわよね」

 

「ですよね?でも、結局それは、ふたりの愛を深めるスパイスにしかならないっていうオチなんですよ!!」

 

「・・・ そこまで先を読んでるんだったら、もうつまんなくないの?」

 

「蒼士の顔が、くっそ好みなんですっ!!あとっ、エロいのもっ!!こんな、毎回毎回エロいことやってみせてくれるんだもんっ、すごいですよねっ!!」

 

「・・・ もはや、ストーリーではない、ってこと?」

 

「いやいや、ストーリーだって気になってますよ?蒼士には幸せになって欲しいんです。こんな横暴な君主はダメですからね。蒼士の成長が見守りたいのですよっ!!」

 

「エロさじゃなくて?」

 

「そこも大事ですっ!!」

 

「・・って、紫織、あんた時間、大丈夫なの?彼氏から連絡、来てたんでしょ?」

 

「あ・・・・ でした」

 

 

現実逃避おしまい

 

あ~

 

蒼士・・・

 

束の間のさよなら

 

また夜、読みにくるからね

 

 

ピッー