チャンミンの部屋はモノが少なく、綺麗に片付けられた1Kだった
「・・・・・・・」
「だから狭いって言ったでしょう?」
立ち止まる私を後ろから追い越す感じで
チャンミンが部屋の中へと入っていく
「でも、お風呂とトイレが別々だわ!」
トイレに行きたくて、そこらへんにあるドアを開けてみてしまってた
そんな私に振り向いたチャンミンの呆れ顔が
あ~、怖い・・
「ごめん、トイレ・・ 借りてもいい?」
「ダメって言っても無理でしょう?そればかりは・・ どうぞ」
ガチャ
チャンミンの「どうぞ」が聞こえる前にもうドアを開けてたかもしれない
ふぅ~・・
ジャーー
流してトイレから出ると
チャンミンが運んでくれた荷物を整理していく
貴重品、とりあえずの着替え、メイク用品、その他諸々・・
そして寝袋
チャンミンはー
テレビを見ながら、上着を脱いでいく
・・・え?
なに、脱いでるの?
ガン見している私と目が合い
あ~、と ぼそっと声に出してから
「シャワーしたいから、そこ、どいて」
着替えを手にもち、あごと眼力で私を退かす
「あ、ごめん・・」
ガチャ、バタン
トイレの横のお風呂へと、チャンミンが消えた
すぐに水音が聞こえてくる
あれ?
あれれれれ?
今夜頼れるのはチャンミンしかいない、って思ったけど
それってもしかして大それたことだった?
オトコと女なんだから
ひとつ屋根の下で、なんて・・・
そういうことになって当然?
なるわけ?
なっちゃうわけ?
いやいやいや
チャンミンのことはいい同僚だと思ってるけど
今までそういう目でみたことはないから
チャンミンだってきっと
ガチャ
お風呂のドアがあいて
Tシャツに短パン姿のチャンミンが
タオルで髪を拭き拭き現れた
すごっ
はやっ
「・・・ 使いたかったらどうぞ。」
「・・・ありがとう」
何だか照れる
チャンミンが横を通り過ぎるときの
石鹸の香りがなんとも爽やかで
私の鼻腔をいたずらにかすめていく
私は慌てるようにして
着替えと洗顔道具をもった
「あっ・・ シャンプー・・」
「あるもの、適当につかえば?」
背中にチャンミンの声
私のつぶやきをひろってくれたんだ・・?
くるっ
私は振り返ると
「かさねがさね、ありがとうございますっ!!」
深々とお辞儀をしてバスルームへと消えた
・
・
・
・
・
「・・・ チャンミン、もう寝てる?」
寝袋の中から声をかける
色々あって疲れてるはずなのに
なぜだか目が冴えてて
ベッドで眠るチャンミンに話しかけてしまった
「・・・ 寝てる」
起きてた・・!
「ね、ここって、家賃いくらなの?」
「・・・ ○万5千円」
「うそっ!安いっ!」
私が住んでたアパートと5千円しかかわらないっ
「バスとトイレ別々なのにっ・・おまけに建物綺麗だし・・・
広さだって・・ええー、こんなとこ、私が探したときはなかったのに・・
ね?どうしてこんな安いのっ?」
「・・・・・・・・・」
返事がない
え?もしかして、言いにくいこと?
あーーー
「まさか・・・」
「出るんだよ、ここ」
「・・・・・・・」
そうかそうか、事故物件なのか・・・!!
うわぁ~・・
聞かなきゃよかった
「だ・・ だよね?そうでもなきゃこんなに・・」
「冗談です。・・・ もとは、学生向けだったらしいけど
今では学生たちはもっといいマンションとかに住むようになって
空いたってわけ」
「えええーー、いいっ!!なんて素敵っ!!
いいないいな~、ねぇ、ここって空いてないの?」
「さぁ?」
「大家さん・・あ、不動産屋さんっ?教えてっ!!」
どうせ、あそこにはもう住めないだろう
ってことは、遅かれ早かれ、引っ越し先を決めないといけない
「・・・ 成瀬だったら、もう少しいいとこ住めるんじゃないの?」
「ムリ。うち、弟が私立の大学通ってるの!しかも県外だから1人暮らし!
親の仕送りだけじゃままならなくて、私も送ってるの、実は」
「そう・・ だったんだ・・?」
チャンミンの低いトーン
ちょっとひかれちゃったかな・・・
っていうか、なんだろう?
この雰囲気が自分を饒舌にさせてる・・?
こんな話、誰にもしたことなかったのになぁ・・
「あ、さっき出るって言ったじゃない?
私、このまえ、不思議な子に会ったのよね?
気づいたらもういなくって・・・
手に残ったぬくもりだけが、何だか妙にー・・」
いつのまにか
規則正しい寝息が聞こえてきていた
チャンミン、寝ちゃったんだ・・・