「ふぅ~ん・・ ジスさんには恋人がいたんだ?」

 

 

「はいっ・・ だから・・すみません、それもあの日突然わかって、僕たちもびっくりで・・」

 

 

リビングのソファに座り

 

しどろもどろながらにも

事の経緯をありのままに彼に語った

 

 

 

「でも、お見合いをこちらからお断りするなんて、父の立場上無理だってことで・・」

 

 

「ハハッ それで?・・・ 君が?」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

ハハハハッ

 

とあまりに豪快に笑われて

 

 

何ともバツの悪いボクは

黙ってうつむいてしまった

 

 

 

「・・・ お見苦しいものをお見せして、すみませんでした」

 

 

 

何だか拗ねたような口調に

言ってしまってから、自分でびっくりした

 

 

「あ、いや、あの・・」

 

「そんなことないよ。」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

・・・ そんなことない、ってー

 

 

驚いて顔を上げると

彼と視線が合い

 

逸らされた・・?

 

 

 

「ところで、お父さんの件なんだがー」

 

 

ビクッ

 

 

 

「クビにはしないでくださいっ!お願いしますっ!!!」

 

 

「クビにはしないよ。」

 

 

 

ホッ

 

 

「ありがとうございますっー」

 

「そのかわりー」

 

 

「え?」

 

 

 

そのかわり?

なに?

 

僕が何でもするから、って言ったから?

 

 

 

「このまま、つきあいを続けて欲しい。」

 

 

「はぁ?つきあいを続けるって・・」

 

 

「今は結婚する気なんてないんだ。なのに、やたらと見合い話をもってくるからウンザリしていて・・・・。君と付き合ってることにすれば、これでもう新しい見合い話も来なくなる」

 

 

「えっ?でも僕はー」

 

 

「男だって、バレてないことにして会ってくれたらいい」

 

 

 

えええーーーっ

 

 

「それって、これからも女の恰好を?そんなの無理っー」

 

「何でもするんじゃなかったのか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

あれ・・・?

 

 

 

許してくれるんじゃないの・・?

 

 

 

 

「いや~あの・・ もう服がないっていうか・・・・」

 

 

「買ってやる」

 

 

「ややややや、そんなに買ってもらっても着るときないし!

そんな着ないのに買ってもらってもお金、もったいないし」

 

 

「2人で居るときは、着替えをもってきておいて男の恰好でいたらいい」

 

 

「えっ、いいのっ?」

 

 

「別に君に女の恰好でオレとつきあえ、と言ってるわけじゃない」

 

 

「でもだって・・ 男だってバレてないことにして、って・・」

 

 

「じゃないと、見合い避けにならないだろう?」

 

 

「あー」

 

 

 

それはわかるけど・・・

 

 

 

 

チャリンッー

 

 

いきなり鍵を投げられた

 

 

「この別荘のスペアキーだ。君が休みの日はここで会うことにしよう。」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「ここなら、君が知り合いに会うこともないだろうし

着いたら着替えて自由に過ごせばいい

オレはここでゆっくり休養をとれる

 

一石二鳥・・ どころじゃないな」

 

 

 

ここで・・・

 

 

これからもこの人に会う?

 

 

休みの日に、着替えて過ごすって・・・

 

 

 

「え?でもそれって・・ 別に本当に会う必要はないんじゃないですか?」

 

 

 

 

ピンポーーン

 

 

 

別荘のインターホンが鳴って

 

2人

 

顔を見合わせる

 

 

 

 

ピンポンピンポンピンポーーーン

 

 

 

 

 

インターホンのモニターに

1人の男の人が映し出された

 

 

 

「・・・・ 東郷(とうごう)!?」

 

 

『本部長ー!!見つけましたよっ!!』

 

 

 

彼に「東郷」と呼ばれたその人は

モニター越しに睨みつけてくる

 

 

「・・・ くそっ・・ 携帯のGPSか・・」

 

 

ボソッと呟くと

彼は立ち上がり

 

 

「・・・ ちょっと待っててくれ。すぐ片付けてくる」

 

 

玄関に消えた

 

 

 

 

 

 

はぁ~~~・・・

 

 

何だか肩の力が抜けた・・・

 

 

とりあえず、父さんのクビはつながったわけだけど

 

 

これからもつきあえって・・・

 

 

そんなに見合い話が凄いのかな?

 

 

まぁ、あんなにかっこいいんだから・・・

 

 

話も集まってくるのか

 

 

 

僕は男だから、そういうことになるわけないし

 

女だってことにしておけば

 

見合い避け、虫よけ、にはもってこいって?

 

 

 

チャリン・・

 

 

さっきもらったこの別荘のスペアキーを手に

 

握ったり・・

 

揺らしたり・・

 

 

ジッと見つめる

 

 

 

 

 

「あ~~っ、暑かったぁ~~っ」

 

大きな声と、ドスドスという足音

 

 

 

え?

 

さっきの人、入ってきた・・?

 

 

 

「おいっ、東郷!ちょっと待てっー」

 

「は?ここまで来て、水の一杯もいただけないんですかっ?」

 

「いや、あの・・」

 

 

 

間違いない

 

2人の足音はどんどん近づいてきて・・・

 

 

 

「だいたい本部長、私から逃げられると思ってるんですかっ?」

 

「まぁ待て!今日はー」

 

「待ちませんっ!いいですか?本部長!あなたの決裁待ちの案件がどれだけあるかー」

 

 

 

 

ガチャッー

 

キッチンとつながるリビングへの扉が開いた

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

さっきモニター越しに見た男の人が現れ

 

ボク・・・ いや、女の恰好をしたボクを見てかたまった

 

 

 

 

「・・・」

 

 

無言でひとつ、お辞儀をする

 

 

 

どうしたらいい?

 

仕事があるって言ってなかった?

 

 

この人の決裁待ちの案件がたくさんあるって・・・

 

 

 

 

「あの・・ ぼ、 ・・わたしっ・・ 失礼しますっ」

 

 

 

荷物をもち

大きくひとつ、お辞儀をすると

急いで玄関へと走った

 

 

「えっ?チャッ、・・ ジスッ!!ジスッシー、待ってー」

 

 

 

ジスって・・・ 

 

そうか

 

そうだよね

 

僕もさっき

 

自分のこと、わたし、って言いなおしたし

 

 

走りながらそんな考えが脳裏を過る

 

 

 

ミュールサンダルがすぐに履けない

 

 

でも僕は

 

 

 

足の速さには自信があるんです

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

バタンッ

 

 

 

 

 

彼が来るより速く

 

玄関を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ

 

 

バス停とか、どこにあるんですかぁ~~~

 

 

結構歩いたつもりなのに

 

方向が間違っているのか

 

 

バス停らしきものが見つからない

 

 

 

どこかで誰かに道を聞くしかないか?

 

 

 

 

「ヒューーーッ お姉さん、モデルっ?背ぇ高いねぇー」

 

 

「ちょーキレーーッ!!」

 

 

 

・・・は?

 

 

それって、もしかして、僕のことか?

 

 

いつの間にか

 

2人の男が目の前に回り込んで来ていた

 

 

 

「どうしたの?ひょっとして、道に迷ったのかなぁ~?」

 

「ここらへん、初めて?」

 

 

 

「そうだけど。バス停ってどこにあるのかー」

 

 

 

「えー?バス停?いいよいいよ、教えてあげる」

 

「そうだ、オレらが連れて行ってあげるよ」

 

 

 

「ありがとう、助かる」

 

 

 

「それにしても、ほんっと綺麗だな~」

 

「お肌、つるっつるじゃんっー」

 

 

 

ぴとっ

 

 

「えっ?」

 

 

突然、顔に触られた、って思ったら

 

 

ぐいっー

 

 

「わっー」

 

 

反対側から手を引っ張られー

 

 

 

「うわぁああぁあぁああーーっ イデデデデデッー」

 

 

 

るかと思ったら、男の手が離れ、いきなり大声で叫びだした

 

 

どうした、どうした?

 

何が起こった・・・?

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ 悪いな、オレの連れだ」

 

 

 

 

 

 

後ろから声が聞こえた

 

 

 

・・・・え?

 

 

振り向くとそこにはー

 

 

男の腕を掴んで捻りあげ

ドーーンッと投げ飛ばす彼がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく・・・

 

 

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

 

 

はい、調子に乗って、2話、連投しちゃいました(ノ_-。)

 

 

 

どうしよう・・Y(>_<、)Y

 

 

きゅんきゅんしちゃうわっ