「・・・どうした?何かあったの?」

 

 

電話に出たあの人は、いきなりそんな質問をしてきた

 

 

 

「あ・・・」

 

 

何かないと、電話してはいけないってこと?

 

あの人にとって僕なんて、そんな存在でしかないってことか

 

 

「いえ・・」

 

 

聞きたいことはたくさんあるけど

 

何かあった、っていうわけじゃないからー

 

僕は言葉に詰まる

 

 

もしかして・・・

 

電話なんて、やっぱり迷惑だった?

 

 

どうしよう、どうしよう

 

意を決して電話したというのに

 

 

「・・・・・・」

 

 

言葉が出てこない

 

 

 

「・・・ チャンミナ?」

 

 

 

ぼわっー

 

 

耳元で・・・

 

あの人の・・・

 

僕の名を呼ぶ声が

 

 

なんとも優しくって・・・

 

 

「あのっ、今日ー・・ びっくりしました、隣のビルっ」

 

 

口をついて出た言葉は

全然うまくつながってなくて

 

自分でも笑える

 

 

「あ~、・・ 知らなかった?」

 

「ぜんっぜんですよっ!父さん、何も教えてくれなくてー」

 

「そうだったんだ?ハハ、じゃあびっくりだったね」

 

 

笑ってる・・・

 

よかった

僕と話して笑ってくれてる

 

 

「それとー」

 

 

「ん?」

 

 

「それとー・・」

 

 

「・・・うん?」

 

 

「結婚のことっ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「聞きました・・ もしかして、姉に恋人がいたからー」

 

「違うよ。」

 

「え?」

 

 

結婚・・・

 

僕の・・ ヌナのせいじゃない?

 

ヌナに恋人がいたから、やけになって・・

なんて考えすぎだった?

 

 

「君のお姉さんとお見合いする前から、話はあったんだ。」

 

 

・・え?

 

 

「でも、だったらなおさらっ・・ ヌナがあなたのことを好きになっていたらー」

 

「もういいんだ、大丈夫だから」

 

 

 

だいじょうぶ?

何が?

 

 

 

「結婚・・ したくないって言ってたじゃないですかっ!何が大丈夫なんですかっ?

じゃあなんで結婚するんですかっ?もしかして会社のためとか?だいたい、今時、そんな政略結婚みたいなことー」

 

 

「うん、だからね?・・・・・ 結婚、しないんだ」

 

 

・・・・え?

 

 

「はぁ?」

 

 

 

結婚、しないって・・

 

ええっ?

 

 

「しないって、だって・・え?どういうことですか?」

 

 

「ハハ、どういうわけか・・ 俺もびっくりしたんだけどね。今日会ったら先方からそう言われたんだ。」

 

 

・・・先方から?

 

じゃあ、本当にしないの?

 

 

 

「でもびっくりだなぁ~。まさかチャンミンがそんなふうに言ってくれるなんて・・」

 

 

 

カァ~~~ッ

 

耳まで熱くなるっ

 

 

「はっ?べっ、別に僕はただっ、心配して言っただけでっ/////」

 

 

「・・・・ ありがとう」

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

 

こそばゆいっ

 

な、なんだっ?

 

これっ///////

 

 

 

「・・ 映画、楽しかった?」

 

 

「え?映画?」

 

 

 

突然、変わった話題に、一瞬なんのことかわからなくて

思わずこっちが聞き返してしまってから気づいた

 

 

「あぁー、あの時の!」

 

 

途中で寝てしまって、全然頭に入らなかったやつだ

 

 

「た、楽しかったですよ、ええ。」

 

 

嘘だ

 

だって、あの時僕は・・・

 

 

 

「そう・・。よかったね」

 

「・・・ 嘘です。」

 

「え?」

 

「楽しかったなんて嘘です。僕、あのとき・・ 実は映画なんて全然頭に入ってこなくて・・。」

 

「・・・ それは・・ どうして?」

 

「あ~・・ どうしてだろう?」

 

 

 

あのとき僕は・・・

 

映画を観ながら寝てしまって

 

そもそもどうしてそんな、眠くなっちゃったんだっけ?

 

 

映画が終わってからも

 

彼女の話は全然入ってこなくって

僕が考えていたのはー

 

 

 

 

 

 

「あの・・ 」

 

 

 

 

 

別荘の鍵・・

 

まだ持ってていいですか?

って聞いたら

 

返してくれって言われるんだろうな

 

でもそれは嫌だって言ったら・・?

 

 

 

 

「今度の週末・・・ また行ってもいいですか?」

 

 

「・・・・ え?」

 

 

 

間があった・・!

そうだよね?

だって、僕とあの人はもう、全然関係なくって・・・

 

 

「あのっ、えと・・あそこに僕の読みたい本がまだたくさんあってっ・・それが読めたらいいな、って思っててー」

 

 

「・・・・・」

 

 

 

耳元に、くすっと笑ったような声が聞こえた

 

 

僕が必死になってるって・・ バレた?

 

ドキドキする・・・

 

 

 

 

「いいよ。おいで?」

 

 

「ほんとにっ!?」

 

 

 

やったぁーーっ!!

 

・・って、なんだなんだ?

嬉しいんですけどっー

 

 

 

「あぁ。・・・ 迎えに行こうか?」

 

 

 

ドキッ

 

 

「いえっ!それは・・ 大丈夫です。自分で行きますから。鍵も・・持ってますし」

 

 

「そう?じゃあ・・ もし俺がいなくても、勝手に入ってくれていいから」

 

 

「あ・・・」

 

 

 

そうか・・・

 

あの人がいない、ってこともあるんだ

 

そりゃそうだよな

忙しい人なんだから・・・

 

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

「・・・ 来るのは土曜?それとも・・・ 日曜?」

 

 

あ・・

 

今度の週末は、土曜も日曜も予定はない

 

 

「土曜から・・・ でもいいですか?」

 

 

「いいよ。・・・ 泊ってく?」

 

 

 

 

ドキッ

 

 

信じられないくらい

鼓動がはやくなって・・・

 

 

何を考えてるんだ?僕はー

 

 

 

「・・はい。もしよかったら・・」

 

 

「かまわないよ。」

 

 

 

すぐに返ってくる言葉に身体の奥が熱くなり

心臓が跳ねるくらい嬉しくって

 

 

「・・・・」

 

 

言葉が出ない

 

 

「じゃあ、・・・・ 楽しみにしてる」

 

 

「はい、・・・ おやすみなさい」

 

 

「おやすみ」

 

 

 

切った

 

心臓が持たなくって・・・

 

 

なんだなんだなんだ???

 

なんでこんなに嬉しいんだ?

 

何がいったい嬉しいんだ??

 

あーーーっ、もうっ////////

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本部長!今日は何だか朝からご機嫌ですね、鼻歌なんて出ちゃってますよ~?」

 

 

「ん~?そうか?」

 

 

「そうですよ、気づいてないとかあぶないですね」

 

 

「・・・そうだな」

 

 

「俺の前だからいいですけど、花沢が戻ってきたら気持ち悪いとか言われますよ?」

 

 

「東郷、・・・・ ありがとうな」

 

 

「は?なんです?急にー」

 

 

「おまえだろ?あの女社長に直談判してくれたのってー。褒めてもらったぞ。随分上司想いの部下をお持ちで、ってな」

 

 

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「そんなことないですよっ、俺はただ、あちらの会社とうちの会社との利益に結婚が関係あるとか今後業界で噂になるのはどうかな、って・・ そもそも業務提携っていうのはー」

 

「自慢の部下です、って答えておいた。」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

だからもう~~~っ

 

そういうの、勘弁してくれよ~

 

惚れてまうやろぉ~~~っ

 

 

 

「本部長っ!!」

 

 

花沢が戻ってきた

 

 

「T社との新業務に関する会食を兼ねた打ち合わせの件ですけど、先方の都合では今週末のー」

 

 

「あ、悪いけど今週末は俺、予定あるからダメ。あけといて」

 

 

 

・・・・ なに?

 

 

「金曜の夜ですけど、ダメでしょうか?」

 

 

「金曜?ならいいよ。」

 

 

「では、それで」

 

 

 

俺は本部長の顔をじっと見つめる

 

 

 

ふふ~ん・・・

 

どうやら鼻歌の理由は・・・

 

 

まぁいいか

 

頑張った甲斐もあった、ってことだ

 

 

そもそも、あの時の彼の本部長を見つめる視線に気づかなかったら

 

俺もそこまでおせっかいはしませんでしたけどね

 

よかったね~

 

 

本部長^^

 

 

 

 

「・・・ なんだ?東郷、気持ち悪い」

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

ちくしょーーーっ

 

前言撤回だぁーーーっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい♪

 

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

 

 

 

はい、

 

切ない。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

 

と言われた『恋煩い』

 

これにておしまいですm(_ _ )m

 

 

楽しんでくださった方

 

本当にありがとうございました