「まどか!こっちこっち!!」
待ち合わせの店に入ると、店内を見回している私に
懐かしい声が聞こえた
「ごめんっ、遅くなって・・ 待った?」
「いや、俺もさっき来たとこ」
私は、仁宮くんの向かい側の椅子を引き、座った
テーブルの上に置かれたお水
もうほとんど飲み干してるよね?
なのに、さっき来たとこ、だなんて言えちゃうとこ
昔からほんと、気遣いのできる人だったよね
「もう頼んだ?」
メニューをさっとこっち向きに置かれ、私は仁宮くんに聞いた
「いや、日替わりにしようかと思うけど・・ まどかは?」
「じゃあ私もそれで!」
「おけ。すみませーーん!」
さっときた店員さんに日替わりふたつ、とお水お願いします
なんてさらっと注文しちゃう仁宮君
ふぅ~
ほんの数年ぶりだけど
さすが社会人
仁宮君は何だか、学生時代よりずっと大人びて見えた
「久しぶりだけど、なんか綺麗になったよね?まどか」
どきっ
「ええーっ、なに?仁宮くん・・ 口、うまくなった?さすがだよね」
考えてたこと、先に言われたような気がして
めちゃくちゃ照れた
うまく返せてただろうか?
それにしても仁宮くん
昔からこういう社交辞令、うまいんだもんな~
だから女子はみんな、話しやすくてすぐ好きになっちゃってた
「え?ほんとに思ったから言っただけなんだけど?」
「・・・・・・・・」
ちょっとちょっとぉーー
真顔で何でもないことのようにそういうの、やめてくれるーー!!?
「・・ どうも。」
「あれ?俺は?・・・ 変わってないか!」
「あっ、ううんっ!なんかすっごい大人びちゃって・・・」
「えー、老けたってこと?」
「違うよ、違うっ!大人びてかっこよくなったな~って」
「あーはいはい、まどかもお世辞、言えるようになったんだな~」
「お世辞じゃないって!」
なんだろ?
このくすぐったいやりとり・・・
嫌いじゃないなぁ~
「あ、そうだ。仁宮くん、最近こっちに戻ってきたって言ってたよね?」
「あー、そうそう。入ってすぐ地方にいかされてたからね、まぁ新入社員の宿命ってやつ?」
「じゃあもう、偉くなって戻ってきたってやつ?出世したの?」
「いやいや、普通に、一歩一歩、地道に誰もが通る道ですよ?」
「またまた~。仁宮君、そういうのそつなくこなして出世しそうじゃん?」
「そんなことないよ~。えー、まどか、俺のことそういうふうに思ってたの?」
「うん、違うの?」
「違う違う。俺ね、意外とそういう出世街道とか無理な人よ?」
「そうなんだぁ・・ でも、こっちに戻ってきたってことは、ある程度はー」
「だから一歩一歩、地道に、ってやつだって。まどかだって後輩できてるんだろ?」
「あー、うん・・ それくらいなら。でも後輩ができたってだけでポジション的に何か変わったか?って言ったらそんなことはまだまだないよ」
「うん、それはお察しします」
「えー、何よ、それ。失礼だなぁ~」
「だってまどか、バリッバリのキャリアウーマン、ってタイプじゃないでしょ。間違いなく」
「・・・・・」
そりゃそうだけど・・・
その、バリッバリの、ってとこ
強調しすぎじゃない?
思わずジロッと睨んでしまう
私は話をかえようと、仕事の話を持ち出した
「そういえば、うちの主任が仁宮くんに名刺を渡したんだよね?」
「あー、あのかっこいい人でしょ?うちの女子たち、騒いでたわ~」
ドキッ
かっこいい人・・
やっぱり女子社員も騒ぐんだ??
ちょっと誇らしくもあり、ちょっとジェラシーも芽生える
「・・そうなんだ・・・」
いやいや、主任のことはおいといて
仕事の話!!
「それでね?もし仁宮くんの会社でー」
「企画書、持ってきてよ」
「え?」
企画書、持ってきて、って言った?
言ったよね?今・・
「いいの?」
「うん、元々そういうつもりで今日のランチも誘ったし。俺も、担当のひとりだからさ」
「あ~・・ そうだったんだ?」
何うぬぼれてたんだろう
心のどこかで浮かれた自分が恥ずかしい!!
「まどか、担当してよ。あのとき主任さんと一緒に来てた子、まだ新人なんでしょ?」
「うん、でも彼女でも出来るんだけどね?私、さっき主任にお願いして担当にしてもらってきたの!仁宮くんに会うから、って」
「あ、そうなの?・・・ 俺と会うって主任さんに言ったんだ?」
「え?あ、うん・・ ちょうど主任に呼ばれて・・・仁宮くんとランチすることになったから・・よかったら話してきます、って。」
「俺とランチするとかって言っちゃうんだ?主任さんに?」
「え?だって・・ そうだったから・・」
え?え?
何か変?
何か間違ってた?
「・・・ まどか、主任さんのこと好きなんだろ」
「・・っ!!!」
ええええーーーーっ
今のっ
どこにそんな要素が出ちゃってた??
どうやったらそこにたどり着く?
え?
なんでなんで?
「なんでわかったか、って?」
ええーーーーーっ
うそでしょ、なんでわかるのっ?
私の考えてることっー
「・・ な・・?」
明らかにキョドってる私を見て、仁宮くんは片手をぐーにして、口元へと持っていくと
「キョドりすぎでしょ、まどか・・ 昔からほんっと、顔に出るよなぁ~」
プププッて笑う
にやけた顔で
「顔に・・?」
出てた???
「俺が、主任さん、かっこいい人って言ったとこから、顔、赤くなってたって気づいてた?」
え?
赤くなってた??
「俺とランチするって言って、主任さんにやきもち妬かせようと思ったんでしょ」
「----っ!!!!」
ば、バレてるっ!?
「っていうか、別にそんなことなかったけど、もしかしてっていうか、あわよくばって言うかー」
「あーあー、俺のこと、ダシにしたんだ?」
「えっ?そんなっ!ダシとかぜんっぜん考えてなかったって!だいたい、そもそも私はもう振られてて・・ってああーーっ、なんでこんなことっ!」
仁宮くんに話してんのよぉーーーーーっ
墓穴!!
さいってぇーーーーっ
「・・・ フラれたの?」
「・・・・・(コクン)」
もう、穴があったら入りたいです
私はうつむいたまま、ひとつ肯いた
すると、その頭にふわっとした感触が広がり
ポンポンッとされてる???
「かぁ~わいそー、まどか・・。」
カァ~~~ッ!
うわ・・
何だか、すっごい照れる
恥ずかしい
顔・・
上げられないじゃないのっ!!
「どうせまどか、好き好きオーラ全開にしてたんだろ?ダメダメ、それじゃ。男は引いちゃうから」
「え・・」
それって・・・
もしかして、私があの頃、フラれたのって引いてたの?仁宮くん・・・
「駆け引きってやつ、知ってる?」
「・・・ 知ってるけど私にはー」
「無理だよね、わかってるよ。」
なんだ?これ・・
どうしてこんなこと言われなきゃいけないわけ?
あ~
再会した当初のさわやかな会話のやりとりとか
一気にどっかへ飛んじゃったわ
もういいっ
帰ろうっー
ガタッ
「俺が協力してやるよ」
「え?」
立ち上がった私に、挑戦的に見上げる仁宮君の視線が
「仕事のつきあいだってあることだし?まぁまぁ、もう一度座ってよ。」
ストンッー
まるで催眠術にでもかかったように
私はもう一度座りなおした
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こんにちは
とりあえず、ここまで書いてたんですよ
だから、アップしておきますね?
そして、ちょっと体調崩しちゃって
いいペースで更新してたんですけど
しばしお休みしますね
皆様もお身体ご自愛くださいませ