「なんか、あっち、騒がしいわね?」
「あ、松永さんたち、帰ってきたみたいですよ」
「何だかすっごいプレゼン、成功させてきた、って!やっぱ松永さん、すごいですよねっ」
「帰りの新幹線で寝過ごして、戻ってくるの少し遅れた、って笑えません?」
成功したんだ?
すごいなぁ~
よかったね、松永
まぁ、松永ならやると思ってたけどね
「でも~ 夏川さん、仕事とはいえ、自分の彼氏が女子社員と一週間も出張なんて、妬けませんでした?」
「そうですよ~ 心配だったんじゃないです~?」
「・・え?」
自分の彼氏、って?
「とぼけなくてもいいんですよ~。皆、知ってますよ?松永さんとつきあってるんですよね?」
「確かにハイスペックイケメン彼氏ですよね~ 松永さんなら!」
「えっ!?私と松永がつきあってる!?」
自分の声の大きさにびっくりした
おかげでみんな、こっちを見てる
あ・・・
最近、目が合わなかった森島くんまで
え?
まさか、最近、なんとなく避けられてるような気がしてたのは・・・
「いやいやいやいや、つきあってないから!」
「またまた~。大丈夫ですよ、先輩たちが社内でイチャイチャしないのは、理解してます!」
「いやっ!ほんとにっ!つきあってないんだってば!」
ちょっと待って
え?わかってもらえないやつ?これ
なんでなんで?
何で突然こんな話になってるの?
どうしたらわかってもらえるのかー
思わず森島くんの方を見ると
もう彼はこっちに背を向けてパソコンに向かって黙々と仕事をしていた
そっか
・・・・ どうでもいいよね
私のことなんて・・
・
・
・
・
・
「それでは、失礼します」
「失礼します」
ガチャ
バタン
松永さんと、部長室を出た
今回のことは社長も大変喜んでくださったとかで
特別ボーナスは楽しみにしておくように、とのこと
思わずふたりでハイタッチしてしまった
部長室の前で
「松永さんなら、絶対出来ると思ってました」
「当然だろ、任せとけ」
ふたりとも新幹線で寝てしまって
降りる駅、寝過ごしたときは
どうしようかと思ったけど
何とか戻ってこれてよかった~
でも・・・
戻ってくるなり社内でちょっと気になる噂を聞いた・・・
松永さんの耳に入ってなければいいんだけど・・・
私の耳にも入ったくらいだから
当然、松永さんは何か言われているはず
どう思ってるんだろう?
「お!松永!・・・・ もう夏川には報告したのか~?」
「・・・・」
マジですか、先輩
なんでこんな廊下ですれ違うのかなぁ?今
それ、松永さんには禁句すぎる
「・・いや。社に戻って すぐ部長室、来たもんで。」
「そっか!じゃあ、これからだな!」
「・・・まぁ、まだうちの部署でもまだですから」
先輩、早くあっち、消えちゃってください
それにしても
どうしてこんなに噂になっているのかしら
今まで何も言われてこなかったふたりなのに・・・
松永さんも辛いけど
夏川さんだって困ってるだろうに・・・
そして、夏川さんを困らせていることに
松永さん
さらに困るんだろうなぁ
「・・・・ 松永さん」
「ん?」
「みんなのところに戻ったら、私、動きますので」
「は?動くって・・?何かあったっけ?」
「もしかしたら松永さんを不快にさせてしまうかもしれませんがー」
「不快に?オレが?」
「でも、悪いようにはしませんから。私を信じて、合わせてくれませんか?」
私は松永さんを見上げた
すると、松永さん
フッと笑って
「いいよ。お前のすることならオレ、信じてるから」
「・・・ あ・・ ありがとうございます」
また私を沼へと引きずり込む
あ~
松永さんって・・・
夏川さん
本当にいいんですか?
こんな素敵な人
振っちゃって・・・
後悔、しませんか?