瀬名に連れられて入ったお店はジャズが流れるどこかレトロな雰囲気だった

 

カウンターと、壁にくっついたベンチ席でのテーブル席が3つしかなく

その中のひとつに私たちは向かい合って座った

カウンターには、カップルが座ってたし

 

 

でも壁にくっついたテーブル席

狭いせいか、距離、ちかっ 

なんて思った心の声が顔に出てないか不安になったほどだった

 

 

 

しばらく、高校時代の友達の話で盛り上がった

あいつどうしてる?から始まって

今でも会ってるのは誰で

それに伴うエピソードとか

意外と話は尽きることもなく

そのうち

 

 

「懐かしいなぁ~・・ なんか、会ってみたくね?」

 

 

瀬名が切り出し

 

 

「確かに・・ 久々に会ってみたいかも」

 

 

私が乗った

 

 

「じゃあ、声かけられる範囲で声かけてみる?SNSで繋がってる子を中心に・・

あ、マキに言ったらまわるの早いかも」

 

携帯を手にとり早速連絡してみる

 

 

「やっぱ、ゆみって、話が早いんだよな~。」

 

 

「え?」

 

 

そんな、ニヤニヤしながらこっち見ないでよ

 

 

「仕事も早いし?」

 

 

「それは瀬名でしょ。びっくりした。バリバリの営業マンになってるんだもん」

 

「やっと呼んでくれた。」

 

「え?」

 

「瀬名、って。」

 

「あ・・」

 

「おまえに瀬名さん、なんて呼ばれるの、気持ち悪いわ」

 

「wwwwwwww」

 

 

 

うっかりしてました

 

 

でもそうだよね

 

もういっか

呼び方くらい

 

 

緊張の糸が切れた頃

 

ふと、まわりのお客さんの声が聞こえてきた

というより、耳にとまったのかもしれない

 

だって・・・

 

 

 

「ね、カウンター席のカップルの会話、面白いよ」

 

「え?」

 

思わず瀬名に言ってみる

 

「ドキドキするとかしないとか・・・ そういう恋って若い頃の話だよね~って・・」

 

「・・・・・・・・」

 

 

あ、しまった

瀬名のキョトンとした顔に

自分で地雷を踏んでしまったことに気づく

 

 

「俺さ、あの頃ー」

「あーごめんごめん、忘れて忘れて!変なこと思い出させちゃった!黒歴史」

 

 

慌てて茶化したけど

今、瀬名、何か言いかけた?

 

 

「なんだよ、黒歴史って。失礼な奴だな~・・・ マスター、これ、おかわり~」

 

 

 

なんだったんだろう?

気になるけど

聞き返す勇気などなく

 

 

まぁ

全ては、今更、だよね

 

 

昔の話