「それにしてもなぁ~、おまえがなぁ~」
「・・・ なんです?さっきから・・。言いたいことがあったらはっきり言ってくださいよ、気持ち悪い。」
三浦先輩と外回りの途中、定食屋で昼飯を食べながら
俺の顔を見ては、何度も意味ありげにニヤニヤ笑う先輩に
半ば嫌気がさしてそう言った
「まさか石橋とつきあってるとはなぁ~」
「・・・・・・・・・・」
切り出されたセリフに思わず固まる
「・・・ は?」
「あ~、なんだよ、はっきり言えっていうから言ったんだろ。しらばっくれるなよ?彼女にも確認済みなんだからな」
彼女って、石橋さん?
え?
しゃべったの?
あんなに周りにバレたくないって言ってたのに・・・
いや、今はそんなことより
どうして今になってバレてしまったのか
そう
このタイミングは最悪
だって俺はもう・・・
「誰にも言わないでくださいよ。」
箸でどんぶりに残るご飯を口の中へとかきこみながら
三浦先輩に言う
「なんで?」
「なんで?って・・・・」
今夜、別れ話を切り出そうとしてるのに
つきあってることが広まったら・・・
「とにかく。内緒でお願いします。」
「・・・ ひどいやつ。隠すことないだろ。石橋も、バレたらバレたでいいや、みたいなこと言ってたぞ?」
「・・・ 石橋さんが?」
そんなことを・・?
「はぁ~・・ 石橋はなぁ、オレら同期のマドンナ的存在でさ、結構みんな狙ってたんだぞ?何を隠そうこの俺も、だ!」
「え?それ、何のカミングアウトです?」
石橋さんのこと、先輩ら、皆が狙ってた?
知らねーよ、そんなこと
「だけど、誰にも絶対おちなくて・・・。」
「そうなんですか・・・」
「むかつく。それがお前と、なんて・・」
三浦先輩、俺の顔を見て、思いっきり深くため息をついた
なんか嫌な流れだな・・・
これ・・・・
「大事にしてやってくれよな!!泣かせるなよっ!!」
「・・・・・・・・・」
やっぱりか
そうきたか
うん、くるよな
そんな流れだと思った
「先輩、早く食べ終わってくださいよ。」
「え?なんではぐらかすー」
「時間ないですよ?次、やっとアポとれたとこですよね?」
「えっ?わっ、やばっ・・」
ガタガタッ
俺は自分の食器とトレイを持って席を立つ
片付け口におくと
「ごちそうさまでした」
中の人に挨拶をして、店の暖簾をくぐる
先輩、すみません
それ、約束できません
って言葉を飲み込んだ
待てよ、と追いかけてくる先輩の足音が聞こえた