「・・・ 大丈夫?・・・・ 気持ち悪いとかない?」
「ん、・・ 大丈夫、ごめん」
「謝んなくていいから。・・・ 気持ち悪くなったらすぐ言えよ?」
タクシーを降りて、アパートまで歩く
体勢はタクシーに乗る前と同じ
翔琉の肩に腕を回してつかまり、私の腰には翔琉の手
酔ってるのに
お腹・・ ぷるぷるしてないかな
なんて気になってるってことは
やっぱりまだちゃんとしてる
酔いがきてるのは、足だけか?
いや、あとはもう、雰囲気
ほわぁ~ってなってる雰囲気
身体が触れてる
体温感じる
そんなことすら
頭が回ってても感じてる
あ~
私・・・
おかしいのかな
「ほら、階段。足元、気をつけて?」
「・・わっ・・えっ、・・・」
ほぼほぼ、翔琉に抱きあげられてる感じ?
身体が浮いてるっていうか
私、自分の足で階段、上がってないと思うんですけど・・
「翔琉っ?」
「・・・ 踏み外すなよ?さすがに階段でそうなるとキツイ・・」
「あ、うん・・ ごめん」
なるべく、翔琉に負担をかけないよう
足にちゃんと力を入れて歩く
上がっていく
一段一段・・・
階段を上りきると
あとは平たいところを歩いていく・・・
「あ、ここ・・ 206号室」
私は部屋の前までいくと、
名札を指差し、翔琉に伝えた
何とか しゃんとたどり着けた?
「ふぅ~・・・ まさかこんなに早く、お前を送っていくことになるとはな」
私の腕を振りほどいて、身体を離すと、翔琉が首をかくっと振ってそう言った
あ・・・
離れちゃった・・・
ふわんとした頭の中では
それはまるでスローモーションのようで
私はドアを背によりかかると
翔琉に向き合った
「・・・ うん、ごめんね・・・・・」
月明かりを背に
片手で頭をめんどくさそうにかき
もう片方の手は腰に添えられている
相変わらず、スーパーイケメン
・・・ かっこいいなぁ・・ 翔琉
・・・・ なんだ?
香子のやつ・・・
なんで部屋に入らないんだ?
「・・だから、謝らなくていい、って言っただろー」
ふわっ
「・・っがぁっ?」
それは ゆっくりと、俺の腕の中に入ってきた
「・・・ 香子・・?」
俺の戸惑いなんかよそに
何の返事もかえってこない
ま、いっか
俺は ゆっくりと香子の背中に手を回し、そっと抱き締める
いやいや、いいのか?
そんな無防備に男の腕の中に入ってきて・・・
タクシーからここまで
香子が酔っているのをいいことに
抱き寄せて運んできた
俺の身体はまだ、さっきまでの香子の温度を憶えている
そんなとこに、これ
スイッチなんて、すぐ入る
「・・・ どぅした?・・」
香子の耳元で・・・ 低く 囁くと
ゆっくりと・・
その唇をずらし
頬を擦りよせていく・・・
すりすり・・・
すりすり・・・
俺は香子の顎に
人差し指をそっと添えると
ゆっくり持ち上げ
優しく
なぞるように
くちづけをした