どうしよう・・・
アレから、翔琉のことが頭から離れない
どんな顔して会えばいいんだか
なんてひとりやきもきしてたのに
なかなか現れない翔琉の席ばっかり見てたら
うしろのボードに気づくのが遅くなった
翔琉のネームの横
出張
ってなってる
しかも、金曜まで
聞いてないし!!
・・・って、別に私に言う義理なんてないんだけどね
本当につきあってるわけじゃないんだし・・・
「ハァ~・・」
いないんだ、って思ったら急に肩の力が抜けた
翔琉のいない職場
今までだって、翔琉は営業だからいないことばっかりだったけど
金曜まで、ってことは週明け出勤?
現れるはずのない職場だって思ったら
色褪せて見える
なによ、これ
「高瀬さんいないと、華がないですよね~」
ドキッ
「え?」
びっくりした
心の中、読まれたかと思ったけど
「みぃ~~んな、思ってますよ。高瀬さん来るまで、こうだったのに、そんなことすっかり忘れてるんですよね」
みんな、思ってるのか
ふふ
何だか嬉しいな
「いてくれるだけで目の保養なのよ!」
「もうすっかりうちの主力メンバーだよなぁ~」
「電話だって、高瀬さん指名でかかってくること多いですもん」
「お客さんがお客さんを呼んでるんですよ、高瀬さん、評判よくて」
「いいよな~、イケメンは。あれ、最大の武器だろ」
ちがっー
「彼はそう言われたくなくて、人一倍努力してるんですっ」
思わず口を挟んでしまったら
皆の視線が痛い
・・・・ やってしまった
「・・・ やだな~、そんなの、わかってますよ~」
「そうそう、アイツ、負けず嫌いだもんな」
うわ・・・
翔琉・・・
みんなに、バレてるよ
くすっ
「だから、羨ましすぎます。岩田さん」
「え?」
いきなりそう来たか?
「ダメになったらいつでも言ってください」
「そうそう、みんな、待ってますから」
「・・・・・・ アハハハ」
笑うしかないじゃない
だってそれ・・・
案外、すぐ来るかもしれないんだもん
つきあってる体すら
解消されてしまう日が
・
・
・
・
・
「いらっしゃ~い・・お?今日は香子ちゃん、ひとり?珍しいね~」
「・・ 美味しいもの食べたくなったんで。あ、今日はノンアルで」
私はカウンター席の椅子をひくと、バッグを置いてその隣に座った
スマホを取り出して中身を確認
昼間、翔琉にラインしたけど、返事はまだなかった
「既読スルーかい」
そのまま、カウンターの上にスマホを置いた
「ほい、いつもの」
お皿が置かれ、おかずの横にはライスが申し訳なさそうに ちょっとだけ盛られていた
「ありがと」
ほんっと・・・
以前はいつもこうだったのに
ずっとひとりで来てたのに・・
どうしてこんな、翔琉が横にいないのが寂しいんだろう
どれだけ翔琉が隣にいることが
当たり前になっちゃってたんだろ、私・・・
いつの間にこんな・・・
ピコンッ
・・・ 翔琉っ!?
スマホの音に飛びつくように手に取ると
「・・ 宮下くん?」
なぁ~んだ・・
って、なぁ~んだ、ってなに?私
宮下くんに失礼すぎるでしょ
ーー この間はごめん。会社の人には内緒だったんだ?
あ~
翔琉とのことか
そうだ、あれでみんなに問い詰められちゃって
ーー(返信)大丈夫だよ
翔琉がうまくやってくれたから・・・
思い出してまた熱くなる
ピコンッ
ーー 今度、よかったら、ゆっくり飲みにでも行かない?
飲みに?
え?
ふたりで?
なわけないか!宮下くん、結婚してるんだし
翔琉も一緒に、ってことかな?
ーー(返信)いいね、宮下くんのおごり?
おどけて返信してみる
ピコンッ
ーー いいよ。じゃあ、今週の金曜とかどう?
今週!?
ーー(返信)今週はちょっと・・。飲みすぎちゃって
ピコンッ
ーー そうか、じゃあ食事だけならどう?
なんか、宮下くん、強引だなぁ・・・
何か話でもあるんだろうか?
翔琉、金曜まで出張ってなってたけど、夜は帰ってくるのかな?
それとも週末も過ごしてから戻ってくる?
返事がないからわかんないじゃん
ーー(返信) 少し考えさせて。また連絡する
ピコンッ
ーー わかった。待ってる
「ふぅ~・・」
宮下くん、ってこんな感じだったっけ?
もし翔琉の都合が悪いとしたら・・・・
サトミにでも聞いてみる?