「え?翔琉の家まで、って・・・・」
ドキッとして驚いて、振り返ってみて
さっき翔琉が取り出した荷物が目に入った
あ、そっか・・ それ、あるもんね
「いいよ」
まだそんなに遅くない
歩いて帰れる距離だし
私は笑ってそう言うと、タクシー乗り場で最前列にいたタクシーに乗り込んだ
もぉーーーーっ
びっくりした、びっくりした、びっくりしたぁーーー!!
危うく、変な誤解するとこだった・・・
後部座席に乗って、奥まで詰める
翔琉はタクシーのトランクに荷物を入れさせてもらって
私の隣に乗り込んで来た
詰めればわざわざトランクに入れることもないのに
なんて思ったことは内緒だ
私の身体は必要以上に窓際まで来てしまっていて
今更、翔琉の方へなんて
にじり寄ることすらできない
まぁ、これくらいがいいのよ
なんて思ってたらー
「運転手さん、--- までお願いします」
翔琉が後部座席の真ん中らへんまで来て、身を乗り出し気味に運転手さんにそういうもんだから
結局、膝があたる距離まで近くなってしまった
「・・・ 着いたら起こして」
肩に突然、感触が・・・
なんて思うや否や、翔琉がそう言って頭を預けてきた
「あ、うん」
ふぅ~
落ち着け、私
なんだ?コイツは・・・
普通にやってるの?これ
いやいや、友達なら普通か?
もぉーーー
なんなのよ
さっきから私ばっかり
翔琉の一挙手一投足にこんないちいちびくびく反応しまくっちゃって
リトマス試験紙、色、かわりまくりよーー
・・・って何の反応だったっけwww
酸性?アルカリ性?まったく関係ないじゃん
ハハハ
笑えてくる
・
・
・
・
・
「じゃ。」
タクシーを降り、翔琉が荷物を取り出したのを確認すると
私は右手をあげ、敬礼のようにそれだけいった
「は?なに?それ」
翔琉のツッコミ
なに?まさか、送ってくれるつもりだった?
「え?いや、まだそんなに遅くないし。ここからならひとりで帰れるし」
せっかくここまでタクシーで来たんだから
翔琉はこのまま帰りなよ、という私の優しい心遣いですけど?
「そーじゃなくて!寄ってくだろ、普通」
「は?」
今度は私がつっこむ番
「・・・・ これから?」
「そう、これから」
え?え?え?
「いやいや、ヤバいでしょ、それ。もう遅いし」
「さっき、まだそんなに遅くないって言った」
「いやいや、言いましたけどそんな・・。ってか、そういうことじゃなくて、無理無理無理っ」
「なんでだよっ!この前だって泊まってっただろーが」
「は?泊まってった、ってあれはそんなっ!元々帰るつもりだったのが、翔琉が寝てしまうからでしょ!!今日だってどうせまた寝てしまうくせにー」
「寝ない、って!・・・いや、寝るか」
「ほらー。もうっ、翔琉、出張で疲れてるんだから今日はゆっくり寝ればいいんだって」
行きたい
ほんとは翔琉の部屋
いやいや、ダメでしょ
あーもうっ
私に葛藤させないでよっ
「おまえと」
「・・・は?」
今、どういうタイミングだった?
おまえと、って何に繋がってたっけ?
「なに?それ、変なふうに聞こえるからやめてよ」
無駄に私の心臓、ドキドキさせないでよ
「変なふうって?」
「もー!!翔琉っ いい加減にしてよ、なんか意地悪してないっ?」
心臓、バクバクなんだけどっ
翔琉にそんなつもりなくても、私の頭の中ではまるで私と寝るって言ってるみたいに聞こえて
しかもそれってもう、あっちにしか聞こえてこなくって
そんなけしからんことしか考えられなくてー
「意地悪なのはおまえだろ、さっきから・・・。わかってやってんの?」
はぁ~~ああぁ~~!?
「何を言ってんのっ!?私がっ、どんな気持ちでー」
「とにかく、オレん家で話そう。こんな外で話してたって意味ねーだろ。もうオレ、色々我慢できねーわ」
ぐいっー
荷物、持ってない方の腕で私のこと掴んで
大股で翔琉が歩いていく
マンションのエントランス入って
エレベーター乗って
翔琉の部屋の前まで行って
ロック解除してる横で
繋がれた手から翔琉の温度感じて
私の血流が激しくドクドクなってて
ずっとずっと
さっきから私の頭の中はパニック状態なんですけどぉーーーー
ーー もうオレ、色々我慢できねーわ?
って なに?
もう、エロいことしか考えられないっ
他にどんなオチがあるっていうの?
必死で考えた
考えたけど、全然浮かばなくて
ロックが解除され
翔琉はドアを開けると
グイッとそのまま私ごと中に入って
ふたり
キスをした
ガチャリとロックの閉まる音が聞こえた・・・・・