オンライン
相変わらず 忙しい毎日が続いている。
家にいる時間が無いため、なかなか ネットチャットに参加できないでした。
会社からは、私用のネット利用が禁じられ、監視されていたからだ。
モラルの範囲内での情報検索は、大目に見ているところもあるが、
ネットチャットを、仕事中に行っていることは、許されないはずだ。
そこで、私は、トンネル技術を使って、会社のネットワークを通り抜け、外部に接続することにした。
技術的には、今までの知識で十分だった。
表向きは、会社で仕事の内容のプロトコルを使っているように見せかけるだけだ、
もちろん、アクセス先は、取引先や、現在研究中の技術関連の情報が多いサイトに見せかけた。
仕事は忙しいというのに、そういうことは、すぐにこなしてしまう自分が、少しおかしくなった。
早速、チャットの掲示板にアクセスをして、どんな内容か見るようになった。
以前、パソコン教室でバイトをしているときに、チャットについての講義をしたので、大体雰囲気はわかっていた。
私は、あえて、ニートで、あまり裕福ではない、冴えない男と言う設定で、チャットにアクセスするようになった。
さすがに、興味を持つ人は少なかった。
しかし、常に低姿勢で、馬鹿に見える私は、 少しずつ、声をかけられるようになった。
どんな相手が声を変えてきたかと言うと、 窓際族のサラリーマンや40近い独身OL、同じようなニートからだった、
話しかけられることは、私と比較して、自分が優位であるということを確かめるような内容だった。
一ヶ月の収入は? 彼女はいるのか? 何が得意なのか?
皆は、聞いた内容で、私が劣っている答えをすると、 「大丈夫だよがんばれば、何かあったら相談に乗るよ」と、似たようなことを言われる。
私は、現実とは違う オンラインでの第二の人生を持った男が出来上がっていった。
交流
私は、辰巳の結婚式の後も、大樹と時々会うようになった。
大樹は、大学時代と同じように、便利屋になっていた。家庭の一般雑務から、経営コンサルまで、やれると思うことは何でもやる男だった。仕事は、苦労が多くつまらないことも多いが、人脈はすごく広がっていた。キャバクラ嬢から、国会議員まで、うまく人の心を掴むのか、顔の広さは、タモリに引けをとらないほどではないだろうか?
今日も、大樹と会う約束をしている。
私は、会社をやめ 独立を考えている。
独立といっても、同じ仕事をして、現会社から仕事をもらったり、関係を持つようなことはしたくないと思っていた。
研究馬鹿で、勉強はできたが、社会的での荒波にもまれるような経験は少ないため、父親の二の前を踏むのではないかと動けないでいたことは否定できない。
その点、大樹は、ネットワークビジネスから、レストラン、コンビに、運送業、etc. 体を使うビジネスも、頭を使うビジネスも、人とかかわりを持つビジネスも、何でもかかわったことがあると聞いた。
「人脈を増やすことが必要だね」彼はそうつぶやいた。
私は、器用でないので、人とかかわりを持つのは嫌いだったので、抵抗があることを話した。
「いいんだよ、顔は見なくても、話さなくても」
彼は、ネットワークを使ったコミュニケーションいついて語りだした。
「人との出会いには、物理的要因により、出会うことが絶対にできない人が多いことは、ちょっと考えればわかるよね、この日本おなかでさえ、北海道から沖縄までかなりの距離がある。エリートの営業マンで、全国飛び回っていれば、物理的に出会う可能性は高くなる。しかし、限界は存在する。金持ちの辰巳みたいに、金でもあれば、出会い探しの旅とか言って、各地を廻れば、いろいろな人に出会える。ちょっと脱線するけど、すっちー(キャビンアテンダント)と、出会いたければ、どうしたらいいと思う?」
「CAの友人らしいやつを見つけて紹介してもらう?」
「いやいや、自分でやるんだよ、それは、出会う回数が多いことが、付き合うきっかけになるわけでしょ、 だから、飛行機に乗ることが多い仕事をすればいい、そうすれば 自然と出会いが多くなり お付き合いも可能性がある。 だから、野球選手や医者などが、CA上がりのきれいな嫁をもらうことがおおいわけだよ」
「なるほど、CAと出会えることはわかったけど、人脈作りとどう関係してるのかい?」
「ここからが本題だ、CAに会うために、わざわざ野球選手になる必要はないってことだよ、それは、インターネットマジックさ、インターネットの世界では、オンラインと表されて、ネットワーク越しに出会いが存在する。物理的に接さなくても出会うことが容易にできる。出会い系も存在する。出会い系は、目的がはっきりしてるから、この場合はだめね、 一般素人さんとの出会いを増やすことで、人脈作りになる。 人脈は、こちらから欲しい欲しいと話したところで、脈にはならない、 自分を必要とされる。そして欲されることが大事なわけだ。 はじめは、学生のときから、顔を合わさなければ、すばらしい文章にすばらしいコミュニケーション能力が合ったよな、結局のところ対人恐怖症というまやかしにだまされてたわけだ。よく考えろ、はじめのブログを見つけるきっかけになったのも、ネットワークの仲間の情報なんだよ、面白い情報、友達には教えたくなるよな、それが有益な情報だったらどうだい?大事な友達にしか教えたくないだろ? そこを利用するんだよ はじめの持ってる知識を、ネットを通じて皆に与えるんだよ、そうすれば、君を必要とし、君を信じるやつが出てくる。 一人でもできればOkさ その友達が友達を呼んでくる。簡単なことさ」
いまいち、私は、ピンと来ていなかった。大樹はそれがわかったのか、具体的な話をしだした。
「最近は、チャットやコミュニティサイトが多くある。大抵は、やはり異性を求めたがる。人間は結局 欲だからね そこで、欲は前に絶対出さないで、異性も同姓も年齢もまったく同じに考えて人に接する。そうすると どうだい この人は、出会いといっても、人としての出会いを大事にしていると伝わる。 一度安心した人は、心を許すようにだんだんなるんだ そうすれば心の許した人の言う事が信頼できるために、困ってる友達がいれば、つれてくるようになるんだよ。 それは、困ってる人を見れば、相談できるよって、信頼を得て 友人が増えていく これは 人脈だよね」
そんなことはわかってるが、隠した気持ちなんて、パソコン越しのオンラインでもわかっちゃうんじゃないかな?そんなに甘くはないと思った。が彼は、さらに続けてこう話した。
「目的を強く持つことだよ、異性を欲のために得たいから、隠れていい子になろうとしているうちは、目的は異性なんだよ、だから、ぼろが出る。 (人と多く友達になりたい そうすれば 人脈ができて ビジネスにつながる) そう思うと、別に異性だからとか、年齢だとかこだわらなくなり、 人脈として自分に必要な人物像を探すようになる。 単純に 出会いが目的で、 相手は人間というくくりになっていく、そうすれば、様々な情報が飛び込んでくるようになるわけだ」
大樹は、淡々と続けている。
「人脈人脈といってもさ ネットの友達つながりで沢山繋がっても、ゴールは遠いような気がするけど?」
大樹は笑いながら「ただでさえ、人付き合いが下手で、人脈が作りづらいんだから、友達が増えたらゴールだろ」と、言った。
そして「やる前からあきらめてたら 何もできないぜ、 なんでもチャレンジだよ 教えてやるからやってみな」
忙しい中 私は しぶしぶ やってみることにした。
結婚式にて
新郎の名は、神宮 辰己
彼は、不動産業を営む家系に生まれ、何不自由ない生活で自由奔放なやつだった。
大学時代から、私は、彼のレポートを請負、進学に関係する試験には替え玉として受けていた。
私の家計は、騙されたときに抱えた借金で、苦しかったので、良いバイトだった。
彼は、金の力で 何不自由の無い生活と権力を持っていた。
生まれたときから、豪邸に住み、何でも欲を満たせる環境に置かれている
なぜ、同じ地球の上に生まれた人間として、こうも生活に差ができるのか。。。
私は、死と隣り合わせの職場で、まじめに努力をして、中流の生活ができる給与で満足していた。
父の借金も、私の働きで、後少しで返し終われるところまではきていた。
しかし、彼は、彼の父の経営する会社に所属しているだけで、自分の好きなことをしながら高級車を乗り回している。
上を見たらきりが無く 下を見たらきりが無い だが、世の中の不平等さに対して怒りを覚えるようになった。
新婦は、やはり一流どころのお嬢様だ
今まで好きなだけ女と遊び、勉強にも、仕事にも苦労をせず、美人で金持ちの女と結婚か。。。
そんな時、強い視線を感じた。
やはり大学で一緒だった 林 大樹 だった。
もともと、辰己のレポートなどをやるようになったのも大樹の口利きがあったからだ。
大樹は、片親で、私より苦労して、大学に入ったはずだ
頭は良いが、馬鹿に見える。 人に使われるのが得意だった。
結婚式も、終わりごろ、大樹が、私に近づいてきた。
「いい生活できるようになってるじゃないか?」
彼は、私が今の仕事に疑問を感じ、世の中に疑問を感じていることを知っているようだった。
「どーだ、辰己は、大学のときより金と権力をひけらかしてるぜ、悔しくないか?」
私は、何が言いたいのかわからなかった。
彼は、私が内緒で書いているブログの話をした。
大学時代に唯一好きになった子の名前で、ブログを開設していたことと、書いている内容で彼は、すぐにわかったそうだ
そのブログには、最近の世の中の矛盾や、不公平さを書き綴っていた。
はじめに
私は、渡辺 一(わたなべ はじめ)
公務員の父親と、専業主婦の母親を持ち、姉1人 弟1人 の5人家族
人のいい父は、家を建てる際に、騙され、莫大な借金が残ってしまっていた。
私は、貧乏な家計を助けるため、奨学金で高校、そして大学にストレートに進学
教授の推薦もあり大学院を経て 一流企業の研究所に勤めことができた。
母は病気がちで、決して楽な暮らしではなかった。
私は、まじめに、仕事をこなし バブルの中 仕事は山済みで、忙しい
30になる前にもかかわらず、給料も高学歴により保証され、残業・業績により 年収1000万に近づいていた
しかし、職場の仲間や上司などが 欝になったり過労死してしまう現実がぶら下がった。
そこで、現状を脱出したいと考えるようになっていくところ、大学の友人の結婚式に出席することになった。
一年ぐらい前から 少し描いてる 小説です。
なかなか、設定もまとめる時間も無く
書けないでいたので、ブログで公開することで
自分に言い聞かせながら、描き続けたいと思います。
もし、読んでいただける方がおりましたら、是非 ご感想・ご意見をお聞かせ下さい。
