姑息にせっせと移植中 -20ページ目

姑息にせっせと移植中

二分あれば読めるショートショート

艦長「でね、でね、聞いてくれる?」

乗組員A「…聞きますよ。」

乗組員B「艦長 喋らずにいられた
試しないでしょ?」

艦長「うん、ほら
どーん、どーんって来たじゃん。」

A「二回来ましたね。」

B「イワノフどんだけ
運転下手なんだって思いました。」

艦長「…でもイワノフよけたって
言ってるの。めっちゃ舵切ったって」

A「あー、イワノフはそういう奴です。」

B「そうそう、士官学校時代から。」

艦長「でも今回ちょっと変なのさ。
…あ、ちょっと水 来たからずれるね。」

A「…変?」

艦長「うん、この船さあ。頑丈なんだよね。
ほら、いちおう最新鋭の原子力潜水艦だから
ちょっと岩にぶつかったくらいじゃ
簡単に穴とか開かない造りなの。」

B「言われてみればそうですね。」

A「流行りの手抜きじゃないんですか?」

艦長「まあ、そうかも知れないんだけどね。
…でも同じトコ二回ぶつけないじゃん。
直進してたんだから。」

B「えっ、同じところ二回ですか?」

艦長「うん、一回目は持ちこたえたんだけど
二回目で派手に穴開いたって。」

B「右舷中央部を二回
…確かにちょっと不自然ですね。」

艦長「だからさあ、
レーダーはどうだったの?って
ヒョードルに聞いてみたの。」
 
A「はい。」

艦長「そしたらヒョードル
『 岩が動いた 』って。」

A「ヒョードル大丈夫か?」

B「艦長、私レーダー係
替わりましょうか?」

艦長「あ、ゴメン。
ちょっと水凄いからそっち行くわ。
でね、でね、」

B「艦長、…近いです。」

艦長「でね、本当に岩動いたの
ってソナー係のヨーゼフにも
確認とってみたの
そしたら…『 ズメイだ』って。」

A「は?」

B「竜ですか?」

艦長「うん、なんかヨーゼフ
ちょっとイッちゃってて
ケラケラ笑ってた。…で、
『 化け物だ。バケモノの鳴き声聞いた』
って。」

A「ヨーゼフもちょっとアレだからなあ。」

B「日本のアニメ特撮大好きオタク…」

艦長「でもほら勤務中にさあ…」

B「あ、…艦長

…私ちょっともう

無    理  …」

ぶくぶくぶくぶく…

艦長「エレナ…。

これまでご苦労さまでした。

…でね、ハリトノフ。
ほら、僕 艦長だから
すぐバラスト放出してアップトリムかけて
酸素全開に…
あ、なんか珍しいカニ登ってきた。」

A「艦長、お話の途中
すみ…ません。

先行って   ま…」

ぶくぶくぶくぶく

(以下、艦長)

…ハリトノフも逝ったか。

残念。
ここからが本題だったのに…

せめてSNSに上げたいとこなんだけど…

📱『 圏外』


さすがに無理か。 
200メートルの海の底じゃなあ。

はあ、はあ、

慌てて撮った…
船外カメラの動画

はあ、はあ、
 
アップしたら結構
再生回数稼げると思うんだけどなあ…

ほら、凄いインパクト

『 ロシア原潜沈めた
謎の   超巨大…』


ぶくぶくぶくぶく

まあ、でも本当に恐ろしいのは

濃縮ウランが…

ってヤバいよヤバいよ!

これ言ったらKGBに消されちゃう!

…ってもう
誰も突っ込んでくれないか。

ぶくぶくぶくぶく