応接ソファに座る若い女の先生、
対面には小学生の男の子と作業着の父親。
父親男の子の頭を
ゲンコツで殴る。
「この馬鹿野郎!
何かしでかしやがったな?
先生すいません。
うちのせがれが…」
男の子頭を押さえる。
「痛いよ、父ちゃん。
ボク何もしてないよお。」
女の先生慌てて 立ち上がる。
「お父さん 落ち着いてください!
大輔くんは問題を起こした訳では
ありません。
ただ少し気になる事が
大輔くんは問題を起こした訳では
ありません。
ただ少し気になる事が
あったものですから…」
父親「気になる事?」
先生「ええ、この
『将来の夢』というアンケート
父親「気になる事?」
先生「ええ、この
『将来の夢』というアンケート
なんですが…
他の子供たちが
プロ野球選手、学者さん、
他の子供たちが
プロ野球選手、学者さん、
アイドル歌手などと
普通の夢を書いているのに対し
大輔くんはちょっと…」
父親「大輔、お前
何を書きやがった?」
男の子「別に変なこと書いてないよ、
『ウニになって空を飛びたい』って
書いただけ。」
父親「先生すいません、
普通の夢を書いているのに対し
大輔くんはちょっと…」
父親「大輔、お前
何を書きやがった?」
男の子「別に変なこと書いてないよ、
『ウニになって空を飛びたい』って
書いただけ。」
父親「先生すいません、
この馬鹿何て事を…」
また殴ろうとする父親を
先生が止める。
「お父さん 落ち着いて!
…今回は大輔くんに話を聞いて
何か環境面で 問題がないか
考えてみる 為にお父さんに
来て 頂いたんです。」
父親頭をぺこぺこ下げる。
「すいません。すいません。」
先生にっこり微笑んで
子供に問いかける。
「大輔くん、どうして
『ウニになって空を飛びたい』なんて
書いたのかなあ?」
子供、ちらと父親を見て喋りだす。
「うん、あのね。
ウニは極めて原始的な棘皮動物だけど
そのトゲは防御と共に運動器官や
視覚器官の役割も果たしていると
言われてるでしょ?
これだと腕や足と目玉が
同化しているってことで
その感覚を形容するものが
また殴ろうとする父親を
先生が止める。
「お父さん 落ち着いて!
…今回は大輔くんに話を聞いて
何か環境面で 問題がないか
考えてみる 為にお父さんに
来て 頂いたんです。」
父親頭をぺこぺこ下げる。
「すいません。すいません。」
先生にっこり微笑んで
子供に問いかける。
「大輔くん、どうして
『ウニになって空を飛びたい』なんて
書いたのかなあ?」
子供、ちらと父親を見て喋りだす。
「うん、あのね。
ウニは極めて原始的な棘皮動物だけど
そのトゲは防御と共に運動器官や
視覚器官の役割も果たしていると
言われてるでしょ?
これだと腕や足と目玉が
同化しているってことで
その感覚を形容するものが
見当たらないから
体感してみたいなって思ったんだ。
更に空を飛ぶとなれば
人類未踏の領域に踏み入れる訳だし
そのトゲ一本一本に
風をきって進む爽快感が感じられて
素敵なんじゃないかなあって思ったんだ。
それにほら、
鉄の体を持つスケーリーフットが
発見されたでしょ?
鉄の特性を活用すれば
反発する磁力を利用して
浮く事だって夢じゃない訳だし…」
先生目を丸くしてぼそりとつぶやく。
「あ、あの精神衛生上
問題はないようですね…」
父親再び男の子を殴る。
「馬鹿野郎!
命題の肝のとこ考えてから
体感してみたいなって思ったんだ。
更に空を飛ぶとなれば
人類未踏の領域に踏み入れる訳だし
そのトゲ一本一本に
風をきって進む爽快感が感じられて
素敵なんじゃないかなあって思ったんだ。
それにほら、
鉄の体を持つスケーリーフットが
発見されたでしょ?
鉄の特性を活用すれば
反発する磁力を利用して
浮く事だって夢じゃない訳だし…」
先生目を丸くしてぼそりとつぶやく。
「あ、あの精神衛生上
問題はないようですね…」
父親再び男の子を殴る。
「馬鹿野郎!
命題の肝のとこ考えてから
ものを言いやがれ!
いいか、鉄の鎧をコイルで通電すりゃ
確かに磁界は発生するが
視覚細胞の微細な電機信号なんか
けし飛んじまう!
仮にそこを無視したとして
宙に浮くには膨大な予算をつぎ込んで
リニアモータのガイドを
いいか、鉄の鎧をコイルで通電すりゃ
確かに磁界は発生するが
視覚細胞の微細な電機信号なんか
けし飛んじまう!
仮にそこを無視したとして
宙に浮くには膨大な予算をつぎ込んで
リニアモータのガイドを
設置する必要がある上
移動範囲は極端に
制限されちまうだろうが!
…先生本当にすいません、
この馬鹿が生意気に
空想論ぶちやがって…
後でよおく言って聞かせますんで…」
移動範囲は極端に
制限されちまうだろうが!
…先生本当にすいません、
この馬鹿が生意気に
空想論ぶちやがって…
後でよおく言って聞かせますんで…」