先生が言うことはわかっていた。
「一回目は、わざと失敗。」
もちろん一回目は失敗だった。そして二回目。俺の前に衝撃が走った。なんと俺の前のヤツが175cmを飛べなかった。つまり、決勝にはいけない。俺が失敗したらA組からは一人も決勝に行くことができなくなる。
でも大丈夫。俺は飛べる!そう思ってないとプレッシャーで押しつぶされそうだった。
会場が一つにまとまり、大きな手拍子が俺を迎える。さっき飛んでから11分。最悪だ。三回目のスクリューバックで、しかもまだ時間が経ってない。
大きく息を吸い、目を閉じる。音が聞こえなくなってきた。目の前には細いが存在感がとんでもなくデカイ、バー。決勝に行かなきゃ行けないんだ。飛べる。大丈夫だ!
思いっきりバーに突っ込むように走りだす。
正面から思いっきり踏み込み。
空中。なぜか腰は痛まなかった。半回転して、背面の状態に。
完璧だ!まただ。こんなに飛んでる気持になれるなんて。これがスクリューバックだ。
マットに沈む。
もちろん待っていたのは大歓声だった。ヤッタ・・・俺飛んだんだ!決勝にいけるんだ!
足が震えている。うまく立ち上がれない。イヤ、体調が悪いわけじゃない。ただ、震えるような、嬉しさ、達成感?言葉じゃ言えないような感覚だった。足がガクガクと震えている。
「これより、走り高跳びB組準決勝を始めます。」
俊樹・・・絶対来いよ。それと中田・・・お前は俺がぶっ倒す!こんなとこで負けたら許さねぇぞ!
そんな心配いらなかった。
「走り高跳び、決勝進出者は、A組より、日向 勇太君。B組 田中 俊樹君 中田 昇君。なおA組では、175cm以上の条件を満たしたのが日向君だけだったため、代表者一名になっております。決勝戦は3時00分からとなっております。」
スゲェよ。誰も邪魔がいない。本当に3人だけの闘いだ。絶対勝つ!俺は負けネェ・・・
「日向 お医者さんが来てくれたわよ」
ガチャ。
「日向君。腰のほうはどうだい?」