ちょっと長い例をお話してしまいましたが、これが演技の原典だとして、今でもフランスの演劇界には演技者の忘れてはならないこととして、大事にされているんです。映画の演技でも同じことが言えるんです。もし泣く場面があったとします。出演する時には当然お化粧、つまりドーラン化粧という映画用の特別の化粧もし、アイラインなども描きます。そして泣く場面で、本当に泣いたらどうなるでしょう。化粧はくずれるし、鼻水は出るしアイラインはくずれて、タヌキさんの目になってしまいます。ですから撮影の時には、目薬をつけ涙に見せるんですね。つまり、それらしくお見せすることを、するのが演技だと思うんです。