徴税請負人の獄門死 | 労人社のブログ

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戦中日記(続労人社だより)230204号

「徴税請負人の獄門死」

🌞近代化学の父であるラボアジエはフランス革命の折に、徴税請負人として庶民から過重な税を奪った罪でギロチンに処された。(彼の首を斬るのは一瞬だが、あの頭脳が生まれるまでのは100年かかる)等々減刑嘆願が殺到した。しかし、徴税請負人の仕事で蓄財した金で貴族の地位を買い、あまつさえ、火薬製造など軍需品開発までも担当したラボアジエは専制派の手先として処刑されたのだ。当然、多くの庶民は喝采した。ぼくには、いまフランス庶民の気持ちがよ〜くわかる。

🌤正直者の納税者は確定申告のためにここ1週間ほど東奔西走して、すっかりくたびれてしまった。相続土地の譲渡所得という一生に一度しかない?であろう申告のために、納める税金を準備した上、税務署に相談にあがった。若い税務員が親切にも特別控除制度のことを教えてくれた。この制度を活用すれば、2百、3百万の税金が免除される。うむ、ささやかでも(パトリオット一発のガソリン代を減らせる。死人の数も減るだろう)。よし。反戦平和のためだ、節税するぞ。

☀️そこからが東奔西走の日々。煩雑な手続き。まずは該地の自治体で確認を受けねばならない。そもそも、この制度は空き家の増加で地域の安全、環境を守ろうとする趣旨で、例えば、寡婦が死亡し、空き家になった住居を相続した人の税負担を軽減する制度。上屋を解体し、更地にし販売した譲渡益の課税にお上が手心を加えてくれる。

⛅️行政の窓口の者にとって、必要書類は法律文書ではなく、業務マニュアルにすぎない。1例、更地後の写真を添付しろとの命で、司法書士に古い写真を改めてプリントしてもらい、改めて提出した写真には日付がないと拒否された。バカか!お前は。さらに除籍謄本など、相続の際に利用した写しは原本でなければならない。1つの要件をこなすのに1日がかりで、年いった者には身体的負担も大きい。殺される!

🌥相続住居は築75年、20年更新の借地権であった。増築の際に、上屋の登記はするが(固定資産税を取られるため)、借地権は地主のお寺と契約を交わすだけで、登記などしない。70年、地主-借主の信頼関係で、お上の関与する余地などなかった。地主に譲渡承諾料を払い、売却、その譲渡益の課税される。国とはそれ以上の関係を結んだこともなければ、結びたくもない。ところが、この登記が問題で、特別控除の要件に欠くとされたのだ。べらぼうめ!はじめから税金を用意していた正直納税者を疲れさせたのは、納税請負人たちだ。

🌦この制度はまだ新しいもので、各自治体、税務署は対応にヒッチャカメッチャカのようだ。なんでこんな制度が導入されたのか?公式には空き家対策。さいきんの新聞で空き家が増加して、地域の治安、安全に問題を生じている等の記事が目につく。さらに、春には相続土地帰属法とやらが施行される。財政破綻を隠ぺいするため、軍事費増税を除き、税優遇による空き家土地の流動化が、少子化以上に重要な政治財源問題とされているようだ。

☀︎空き家が減れば、財政破綻が先送りされるわけではない。しかし、更地になれば底に埋もれたままの含み益を国と資本と開発業者で分け前を得ることができる。70年前、ショボい労働者も真面目に働きさえすれば、家土地を取得し得た。折からの公共投資と称する税金を元金とする開発行為と高度成長の追い風で、数千万円の未実現の含み益が埋設されたままとなっている。

🌄ルフィやらキムやら強盗詐欺犯の顔写真をTVで見るたびに、ニホン人の人間性の劣化を実感する。ただ、このグループは高度成長の煽りで、就職氷河期に生きて、ヨスガとして犯罪を重ねる。労働を創出できぬ資本に毒されたニホン人の一階層であるかもしれない。仕事もなく低賃金が生む少子化問題。生産資本が利潤を見出せぬ故、含み益依存を高めざるを得ない。土地に埋まった金銀を掘り起こせ!

🌇令和版のゴールドラッシュ。空き家を都市金鉱に転換する政策手法がこの特別控除になるのだろう。非正規雇用者がコロナ禍で死んだ老人の土地家屋を解体工事で更地にし、含み益を懐に入れるには現金がない。銀行や業者に依頼して、せっかく公共事業(他人の税金です)で育てた含み益を分け合おいましょう!でも、登記しないとね。国に所得権を保証してもらわないと。

🌅わが一族は75年近く、国の介入なくボロ屋にすんできた。おそらく隣り近所の家もさほど違いがなさそう。固定資産税は払っても、ささやかな地代の未払いも結構あった。それで済んだ。社会が貧乏で、居住用土地の価値が相対的に小さかった時代であった。いまや、ニホン資本主義は、資本自体が満足できる利潤を生み出せず、土地の含み益でしか生き延びることができない。飢餓に直面した身体が蓄えたグリコーゲンをグルコースに分解してエネルギーを得るみたいなものだ。

🌆ニホンからセンセイ攻撃のパトリオットが大陸、半島に向け発射され、距離足らず日本海中に堕ちたとすれば、ぼくが支払った税金をミサイルの燃料費に横流ししたためだろう。戦争のために増税を策する税務署は庶民の怨さの的だ。退職金を持ち逃げした佐川宣寿の顔がラボアジエに重なる庶民も少なくないだろう。2度と税務署とは付き合わないぞ。窓辺太郎であってもだ。