4年間の苦行が終わって晴れて税理士試験に合格できたのだが、受験の途中で転職し結婚し自宅を引っ越し果ては失業して、結果発表があったときには無職の状態だった。7月に本試験が終わった後、本腰を入れて就職先を探していたのだが30代後半のミセスとなるとなかなか求人自体がない。年齢制限は何歳かオーバーしても平気で求職申込をしてみるのだが面接してもらえるまでたどりつかなかった。合格したのちに応募した税理士事務所では誰もが資格があるのだから開業しなさいと言う。自分が開業して経営するなんて考えたこともなかったのだが、そのうちそれしか仕方がないのかなと考えるようになった。

 

無事合格できたら、受験校の主催する合格祝賀会に招かれた。祝賀会には地域の合格者が集まってくる。最後の受験が済んだ後に就職した若者もいる。私より年配で合格した人もいる。受験生時代に会話をしたことがなくても見かけたことがある人が多い。私を知らない人は少ない。試験に合格していても税理士会に登録しなければまだ税理士と名乗ってはならないのだけれど、気が早い人(気が早いのは本人よりも勤務先だと思う)は名刺にすでに肩書として税理士と印字されたものを配っていた。

 

地域の税理士会は合格発表があった時点でその地域の合格者の氏名や住所を把握している。税理士会館に登録のための書式を受け取りに行き、受付で苗字を名乗ると、フルネームで○○N子さんですね、と返事が返ってくる。税理士会からも合格祝いの電報は来ていたのだから知っていて当たり前なのだと感じる。試験に合格しても実務経験が最低2年間必要なので、実務経験(税理士事務所での勤務経験の場合が多い)がない人はすぐには登録できない。実務経験があったことにして不正登録した人は何人か知っているけれど。

 

試験に合格しても登録していない人は少なくない。私が知っている範囲では、女子の場合、合格しても結婚して出産を優先することにした結果、合格後長年にわたり登録どころか実務経験も積まないでいる人が何人もいる。おそらく今後仕事に就く可能性がない人もいる。また、試験合格後初めて税理士事務所で税理士業務を経験し、自分にはこの仕事は合わないと判断して全く別の職業に転向した男子も知っている。試験合格は永久に効力があり合格から登録までの期間制限がないので、合格後10年以上経過してから実務経験を積んで登録した人もいる。

 

ちなみに配偶者のY男は合格後に税理士試験受験指導の職に就いたのだが、税理士として登録していない。受験校で指導するにあたって税理士登録をすることは必須ではないし、登録するには地域差はあるが大体60万円程度の一時金が必要であり、登録後も年間約10万円の会費を納め続けなければならない。一般的な税理士業務を行うのでなければ登録する必要がないのだと判断したのかも知れない。知人からもよく、合格しているのにもったいないよねと言われてきたのだが、税理士業務をしないのなら登録にかかる資金のほうがもったいないと考えるのは合理的だと思う。本人が登録したければいつでも登録できるように書式だけは取り寄せているが、長年経過しているから書式が変更になっている部分もあるかもしれない。合格したことをどう利用するのかはそれぞれの価値判断なので誰が正しくて誰が間違っているという決めつけをするのは好ましくない。

 

登録するために提出しなければならない資料がたくさんある。

官報合格したときに届く合格証書のコピー。

一部科目合格したときの通知書は原本。

戸籍謄本、禁治産者や準禁治産者であれば登録できないのでそうでないことを証する公的書類が必要。

住民票。住所の不正をする人はいるのかな?

実務経験を証明するためには現在または以前の勤務先で交付される源泉徴収票と実務経験を積んだという申請書に勤務先の印鑑が必要。

開業を前提とした登録なので開業時の事務所のレイアウト図面(きちんとした図面でなくて手書きで大まかに書いたものでOKだった)。

私の場合には居住用として賃借しているマンションの中で開業という形になったため、マンションの賃貸契約書のコピーに加えてオーナー会社から「居住用契約だが事務所としての使用を許可する」旨の書面を交付してもらわなければならなかった。我が家の場合には管理人さんにそういう書面をお願いしたら「事務所兼用にしてもいいですよ」と快諾していただいたのだが、書面に印鑑が必要だというととても嫌がられた。あまり例がなかったからだと思う。

 

一番苦労したのは詳細な履歴書。就職活動の時の履歴書のほうがよほど簡単だった。この話は長くなるので次回に続きを書くことにする。