今日は妹の千乃の幼稚園のお迎えがある
両親が共働きの為、家事は昔から私がほとんどこなしてきた
私は歩く速度を速めた
少し遠回りだけど、久しぶりにあの桜を見て帰ろうかな…
もしかしたら葵が―――
なんて、あるわけないけど…
学校の裏門を出て、大通りを走る
もう散っちゃったかな…?
そんな不安を抱いて私は早足になる
「どうか、まだ散っていませんように」
私は祈るように呟いた
大通りを途中右へ曲がり、そのあと細い道を右・左と抜け、細い路地に入る
そして、その路地を抜けるとそこは、教室2、3つ分くらいの広さの草原
その真ん中に桜の木がたっている
「よかったあ、散ってなかったあ」
私は桜の木の下に腰を下ろす
この場所を知っている人はこの町の中でも相当少ないと思う
私が知っている中でも
私と絵理加と翔平と・・・葵、だけだ
私は芝生の上に横たわる
『あの桜が咲く頃に会いにいくよ』
なんでこんなこと思い出すんだ…
「いつ会いにくるんだよ、バカああああ!」
こんなこと大声で言っても、あいつが現れるはずないってわかってる
「バカって誰のこと?」
丁度その時、路地からこっちを見ている1人の少年に私は気が付かなかった
