久しぶりにプライスコレクションを見てきました。
伊藤若冲の作品を中心とした江戸絵画の数々が有名。

福島県立美術館

 若冲をメインに据えた展覧会にはなるべく行くわたくし。コレクションの前回の来日は2006年でその時も東博に見に行きました。
今回の来日は復興支援として東北を巡回したので、その最後の巡回先の福島県立美術館に行ってきました。

よく思うんだけど、若冲の絵の前は展示ガラスの指紋が凄い。あとから観る立場では、指紋つけるのは勘弁して欲しいと思いますが、気持ちはよーくわかります。極端に寄って観る人、指さしながら話をする人が多い。
今回の展覧会は、作品を楽しんじゃおうという考え方が強く出た展示だったし、いんじゃないでしょうか。
とはいえ閉館直前になると、人が減って若冲の絵を独占して観られる時間もけっこうあって幸せでした。私は人様の指紋をハンカチで拭きながら(笑)、他に人がいるときはやや引いて、いないときはグッと寄って、じっくり観てました。

ワーハピ報告のつづき。
ミュージシャンごとに印象に残ったトピックを書いておきます。
(いつも敬称つけるんだけど、なんとなく気分で敬称略)

・大橋トリオ
初めて聴いたが、いきなりバンドとして演奏が良かったので今日は大変なことになると思った。爽やかなボーカルがフェスのオープニングに合ってた。トリオじゃないなーと思ったが、そもそも一人でトリオと名乗っていることを後で知った。

・Controversial Spark
慶一さんの新しいバンドはトリプルギター+ベース+ドラムの5ピース。結成後の初ライブだそうだけど、何か融合させようと模索中、実験中という感じがした。バンドの名前からしてそうだし。こっからをフォローします。

・高橋幸宏
最新アルバム「LIFE ANEW」から選曲。音が悪くて残念。それでも「All That We Know」ではせつなくなってしまった。この曲は問答無用だ。そしてユキヒロったフィルを聴くとこれだよな~と思う。

・MIDNIGHTSUNS
木陰で休んでいると大村憲司の曲「MAPS」が聞こえてきて、ああ、やはり演奏したのかと。息子の大村真司がやっているバンド。遠くても音はカッコよかった。

・清水ミチコ
「ドリカム作曲法」「山下達郎作曲法」はこの日の最高のネタ。他の曲も含めミッちゃんは本当に歌とピアノの表現幅が広くて、笑いながらもそれ以上に感心してしまう。最後にアッコちゃんと一緒に「丘を越えて」を共演して、ダブル矢野ボイスとなった。
灼熱の過酷な環境にあって、このステージはオアシスであった。

・矢野顕子
以前は毎年コンサートに足を運んでいたけど久しぶりに聴けた。ピアノ弾き語りスタイル。アッコちゃんは相変わらずアッコちゃんだ。忌野清志郎の曲から「セラピー」を選ぶということは、本当にこの曲が好きなんだなあ。久しぶりに聴いた「ひとつだけ」は、やはりよい。
アッコちゃんが出てきたときはまだ最高潮に暑かったのが、途中で雲がかかってきて助かりました。

・ヒカシュー
かなりの長寿バンドとなったヒカシューを初めて生で聴いた。最後に「パイク」を演ったのだがこれがカッコ良かった。この曲は、へんにゃりしたイメージだったけど、このライブではグイグイきた。

・Towa Tei
デビュー前から(サンストで)知っているが生は初めて。音楽は気持ちいい。「RADIO」のボーカルのためだけにゲスト出演した玉城ティナが驚異的にかわいかったが、このさいユキヒロもメインボーカルで出てくれれば盛り上がったろうなあ。

・柴咲コウ
これまでTVで見かけるぐらいだったんだけど、音楽は安定感があって浸れました。そしてスクリーンに大写しになる顔が美しすぎる。ただし、車に轢かれた鳥みたいな髪飾りだけはヤだったですけど(笑)。

・トクマルシューゴ
素晴らしい。前回参照。

・salyu×salyu
素晴らしい。前回参照。

・大貫妙子
始める前にボーカルマイクの調整をしっかりやってバンドの音量も一番控えめにして、歌中心の美しいバランスを確保するあたり周到。ジャジーなアレンジですしね。やっぱりいいバランスで聴けて音楽に浸りやすい。選曲は名曲いっぱい。バンドが強力なんですが、林立夫のスネアの音だけで最高!と思えた。

・KIRINJI
聴くのは初めてだがメンバを刷新したてだそうで、その中にコトリンゴが。ステージが照明で暑くて大変そうでコトリンゴちゃんは玉の汗を噴き出させながら歌っていた。

・奥田民生
民生さんも久しぶりだ。ライブで受ける音の圧力感がいいんだよね。一人股旅スタイル(ギター一本)で、メジャー曲を中心に貫禄のステージ。力強い歌もギターも堪能できた。最後の「さすらい」は、今聴いて、あらためて染みる。

・レキシ
中途半端な駄洒落の歌詞は個人的には好みではないけど、それが殆ど気にならないくらいにバンド演奏はファンキーで素晴らしく、まさにライブバンドでした。MCも楽しいし盛り上がった。

・The おそ松くんズ
スペシャルバンドによる日本のロック・ポップスの歴史を辿る8曲。それをスネークマンショーの咲坂と桃内がナビゲート。
「ラーメン食べたい」はこれまでにもアッコちゃんと民生さんが共演してたけど、今回はドラムがレコーディングメンバのユキヒロだったのが泣けた。
教授と、事前に公表されていなかった細野さんもゲストに加わった「TIBETAN DANCE」は復活したYMOがけっこう演奏してますが、個人的に教授のアルバムで最初に聴いた曲であり、自分の音楽放浪生活の原点の一つ。感慨深い夜になりました。
アンコールではスネークマンショーのネタを生で見ることができた。まあご愛嬌ですけど。伊武雅刀の声が素敵。開演から8時間を越えた最後のアンコール曲は、スネークマンショー「咲坂と桃内のごきげんいかがワン・ツゥ・スリー」、トボけた、でもこのお祭りらしいシメになった。
これはもうこの先できない企画です。

今年で6回目の野外音楽フェス、ワーハピに初参加しました。
場所は夢の島陸上競技場。
ミュージシャンのセレクトから言われるところのミドル世代中心の客層というよりは、案外幅広い客層、という印象でした。
そして噂通りユルい雰囲気で、人がドバーっと密集することはなく、支給されたレジャーシートで座ったままでもよし、立ってもよし、中座してもよしで人それぞれの楽しみ方ができるところがいい。

でも、暑すぎました。暑すぎましたぁぁ。
(最高気温38℃ぐらいだったらしい)
CenterとLeftの2ステージで交互に演奏され、切れ目が全然ないので、休憩のタイミングが難しかったけど、少し木陰にも行って、それは正解だったと思う。2時半までは本当に暑くて身の危険を感じた。木陰でiPhoneいじろうとしたら、「高温注意」の警告が出て動かず。こんなことも初めて。
数曲ごとに水分補給してましたが(計1.5リットル消費)、脱水にならなくても日差しだけでヤられる感じ。
局所的豪雨に見舞われる可能性も十分ありましたが、会場はなんとかポツポツ雨までで済んだのは幸いでした。豪雨まで食らっていたら本当に辛い日になるところでした。

Aブロック最前上手エリアに陣取ると、見上げたところに巨大なPAアレイ。直接音を浴びるこのエリアで、音はミュージシャンによりだいぶ質が違って、音量を欲張ったところはベースがドロドロ歌声はペラペラになって、音楽に没入できなかったのが残念。演奏は凄いはずなのにね。少し音量を抑えればだいぶマシで、迫力を兼ね備えた音が出てました。

 

これまで聴いていなかったミュージシャンについての、音楽的な大きな発見は2件。

・トクマルシューゴ
ギター+ベース+ツインドラム+パーカッション+アコーディオン+鍵盤ハーモニカ+トイピアノ+あれやこれや。おもちゃ箱をひっくり返したような、しかしチープではなく厚みと一体感が素晴らしいバンドアンサンブルが気持ちいいったらない。マジカル、そうマジカル。こんな境地があったのか……ライブでこんな痛快な出会いをしたのは初めてです。ライブとしての盛り上がりと疾走感も十分で、非常に力があると感じた曲とバンドでした。これはコンディションがいい箱でまた聴きたい!

・salyu×salyu
salyu単独では聴いていたんですがsalyu×salyuの編成は初めて聴いてこれがまた良くてびっくり。小山田圭吾による引き締まったバッキングの上でsalyu含む4人の女性ボーカルが声を放つ。歌というより声の魅力が強調された、salyuではないsalyu。お洒落でありユーモラスでもありこの味わいは貴重です。

つづく

(これはもうわかる人だけわかればいい)

カンコンキンシアター27「クドい!~飯尾ケニアに行く!」
2013年8月2日~8月11日 東京グローブ座

関根勤座長率いるカンコンキンシアター、25周年27回目にして、初めて行ってきた。
初めてといっても、オゲレツさや毒の強さは想像ついてた、コサキンファンだから。
ラビーらしい「意味ねえ」「くだらねえ」の追求とオゲレツ全開のネタを次から次へと3時間半もやり倒すとは……好き(笑)。
ラッキィ池田さんはオゲレツの極北にまで達していて、これには呆気にとられ感激しでもやっぱりひでえと思った。あり、だけど捕まらないでね。
という状況で、思った以上に女性のお客さんが多かったなあ。そこにはびっくりですわ。

いやー笑いすぎて腹筋が盛大に崩壊した。
たたみこまれて一番苦しいときは咳き込みながら笑っていた。(Laugher's highとでもいうのか)
ラビーの「エペレッチェー!」を生で聞けたのも感慨深かった。

お土産に、関根座長が荒俣宏のモノマネをするときに使っていた虫眼鏡を買ってきました。荒俣宏のモノマネをするときに使いたいと思います。

Life Pathfinder 2013 The Fate of...
2013年7月20日~7月29日 吉祥寺シアター

ライパスの話の続き。
7/29の千秋楽まで、「参加」しました。
クルーが全てを出しきった最高の公演でした。

ライフパスファインダーシリーズを観るのは初めてだったのですが。
ああもう、この舞台は衝撃だった。
なんというか……
ヒトはこんな風に集って、こんな素敵なものを創れるんですね。
それを目撃できてよかったよ。

写真は劇場エントランスに立ち、「このLP旗のもとに集え」とでも言いたげな、でも話しかけても決して口を開かず任務にあたるボンバーやまもとさん。


↓ホワイエに掲示されていたセットリスト。
これに加えて最後の「The theme of life pathfinder」の全17曲。
17曲ってボリュームは完全にコンサート1回分ですが、ときには1日2公演でも揺ぎなく鮮烈に演奏した爆弾ヤマシタ素晴らしい。


これがまたいい曲が揃っているんですが、個人的には
「Time to start」
「蒼穹」
「The theme of life path finder」(フルバージョン)
がベストチューンズです。冒頭の「Time to start」は曲が気持ちいいと同時に全員が一体になった歌、ダンス、サーチライトの演出も合わせて全てが素晴らしく、この曲だけで泣けてしまいました。

↓続いて、ホワイエに展示されていた登場人物一覧。役名=芸名の人が多いですが、ちょっとだけ違ってる人もいます。

 
本編の主役であるヒューマノイドの太郎の思考は純粋で、その純粋さがかっこよくて清々しくて、私はそこに幸せのヒントを見ます。太郎を演じた寿里さんは、太郎を実に魅力的に演じていました。それがこの作品のストーリー上の大黒柱だと思います。

他のクルーもそれぞれに個性を放ち魅力的で、印象に残ったクルーを何人かだけ選ぼうとするのは難しい。松高タケシさんは千秋楽の挨拶で「全員が揃ってから台本を書いた」と言っていたので、寿里さんやクルーの人となりや個性を生かしていったらそうなった、という面もあるかも知れません。

ライフパスファインダー2013では、観た人それぞれに色々な場面で拾い物があるでしょうけど、私が受け取ったところのメインメッセージは、シンプルだと思っています。テーマ曲に入ってる。

探しに行こうよ 歩き出してこうよ
旅に出ようよ 諦めないで前を向き進め

特別なことではない。メッセージとは言えないぐらいかも知れないです。
(わしが言うなよ(笑)と思うけど、あえてそういうことにしてみたぞ。)
とはいえ、現実というのは、ときに挫折や停滞の繰り返しだったり、フィクション以上にグロテスクだったり理不尽だったりする。そうすると、こんなアタリマエの気持ちを持続するのが難しいことだってある。自分の存在意義なんてあっけなく見失う。
で、前のブログに「これは何かを探している人、悩んでいる人への贈り物です」などと書いたのですが。
ライフパスファインダーが凄いのは、アテンダントクルー(演者)が、自発的に、その力量と気迫をリミットなしでドバドバ出しまくることで、そんなやるせない現実をも吹っ飛ばすほどの圧倒的なパワーを放射すること。
今を全力で生きる、そのもの。
クルーのたった今の生きざまで、生きることを問う。
これにやられてしまう。
公演期間中に何度も台本に手が入るというのも、リピーターへの配慮もあるでしょうけど、「進んでいくこと」の実践かなと思えてきます。
さらに、ライフパスファインダーは、クルーの高い意識と演出の工夫により、舞台と客席が一つの船になっているので、幕が降りた後もみんなが同じ船の仲間同士だと認識している。
すると、上のシンプルなメッセージが、いい感じに胸におさまるんですよ。

これが、私にとってのLife Pathfinder、
奇跡の船です。