血脈
母が亡くなって十日
顔も見たこともない大阪のいとこから2枚の便せんに綴った手紙とともに香典が届いた。
お礼の電話をしようか戸惑った。プッシュダイヤルのボタンを押す手が 指が躊躇して震える。
私はその顔を見たこともないいとこを憎んでいるからだった。
母の生家はおとうふや 雇い人もいて豚や鶏も沢山飼っていた 働き者の祖父母 純忠満帆!だが跡取り息子の菊次ができが悪かった。甘やかされて育ったのが祟って家業はそっちのけ 趣味の将棋に熱中して自費で将棋クラブを主催し 将棋賭博までするに至った。界隈では有名な色男も災いしてその筋の女から貢ぎ貢がされして生活するしまつ。たまに気が向くとフッと家に帰り 妻琴との間に生まれた子が6人。
母はその3女であった。
妻琴は働き者ではあったがさして美しい容姿ではなかった。色男菊次の血を色濃く引いている長女が姉妹で一番美しかった。
時代は終戦 復興のさなか 各地で美人コンテストなどのイベントが開催され 長女は市のコンテストでこまちに選ばれた。雑誌にも取り上げられ おとうふやの美人四姉妹と名をうった。長女は髪に花をさし街を闊歩した。おとうふやは忙しくなった。4人のうち
誰か一人 店番に出る。一目見たさに電車に乗ってまで買いに来てくれるのだった。
その忙しさが禍したのかおじいさんがリウマチで寝たきりになり菊次までひょっこり帰って来て 琴は7人目の幸子を身ごもった。寝たきりの祖父の世話、6人の子育て、飼っていた豚も一度に豚コレラでもっていかれ 傷心のさなか幸子を出産して間もなく琴は息を引き取った。
家は人手に渡り 6番目の道子は弁護士の養女に まだ乳飲み子の幸子はどこに貰われていったのか。母はずっと心配していた。
それ以降 家族の生計は長女に一手に降りかった。菊次同様 長女も美しさゆえチョウヨハナヨとちやほやされていたので身の置き所もなかったのだろう。甘い言葉に唆されてヤクザな家業の男の妻となった。男は甘い言葉で巧みに言い寄ったにちがいない。長女はこまち 美人4人姉妹なのだからこれほどの金づるはなかった。駅前に喫茶店とスケートリンクを持っていたので姉妹に看板娘をさせていた。 五番目の長男も一緒に引き取られていたが口には出せない程の虐待を強いられていたのだった。
ヤクザな男の欲望は長女のみに止まらず悪の手は母と四女にも及んだ。四女は逃げよう!一緒に逃げよう!死ぬ気で逃げよう!と何度となく言ったのだが 母は
死にたくない ひとりで逃げて
と四女をを逃がした。
おばは母が怖がりだと言ったが
母の本音は
五番目の長男の一層の虐待を恐れていた。せめて四女だけでも救いたかったのだった。母は何度となく犯されはては長女の知る事となった。
長女はやくざな男に身も心も奪われていたので常人の思考はなく
このバイタ!と言って母の顔を2つに切った。目と鼻と口を二分した。母の鼻の傷は骨に達した。気づいた時には
だった。繰り返し死を思った。
そんな絶望の中 母を救いだしたのは父だ。また父の話は後日
長女のこは そんな昔の出来事をつゆ知らず
母の顔の深い傷あとの由縁
悪意なき手紙とともに あの世まで この気持ちはしまっておこうと思った。
母が亡くなって十日
顔も見たこともない大阪のいとこから2枚の便せんに綴った手紙とともに香典が届いた。
お礼の電話をしようか戸惑った。プッシュダイヤルのボタンを押す手が 指が躊躇して震える。
私はその顔を見たこともないいとこを憎んでいるからだった。
母の生家はおとうふや 雇い人もいて豚や鶏も沢山飼っていた 働き者の祖父母 純忠満帆!だが跡取り息子の菊次ができが悪かった。甘やかされて育ったのが祟って家業はそっちのけ 趣味の将棋に熱中して自費で将棋クラブを主催し 将棋賭博までするに至った。界隈では有名な色男も災いしてその筋の女から貢ぎ貢がされして生活するしまつ。たまに気が向くとフッと家に帰り 妻琴との間に生まれた子が6人。
母はその3女であった。
妻琴は働き者ではあったがさして美しい容姿ではなかった。色男菊次の血を色濃く引いている長女が姉妹で一番美しかった。
時代は終戦 復興のさなか 各地で美人コンテストなどのイベントが開催され 長女は市のコンテストでこまちに選ばれた。雑誌にも取り上げられ おとうふやの美人四姉妹と名をうった。長女は髪に花をさし街を闊歩した。おとうふやは忙しくなった。4人のうち
誰か一人 店番に出る。一目見たさに電車に乗ってまで買いに来てくれるのだった。
その忙しさが禍したのかおじいさんがリウマチで寝たきりになり菊次までひょっこり帰って来て 琴は7人目の幸子を身ごもった。寝たきりの祖父の世話、6人の子育て、飼っていた豚も一度に豚コレラでもっていかれ 傷心のさなか幸子を出産して間もなく琴は息を引き取った。
家は人手に渡り 6番目の道子は弁護士の養女に まだ乳飲み子の幸子はどこに貰われていったのか。母はずっと心配していた。
それ以降 家族の生計は長女に一手に降りかった。菊次同様 長女も美しさゆえチョウヨハナヨとちやほやされていたので身の置き所もなかったのだろう。甘い言葉に唆されてヤクザな家業の男の妻となった。男は甘い言葉で巧みに言い寄ったにちがいない。長女はこまち 美人4人姉妹なのだからこれほどの金づるはなかった。駅前に喫茶店とスケートリンクを持っていたので姉妹に看板娘をさせていた。 五番目の長男も一緒に引き取られていたが口には出せない程の虐待を強いられていたのだった。
ヤクザな男の欲望は長女のみに止まらず悪の手は母と四女にも及んだ。四女は逃げよう!一緒に逃げよう!死ぬ気で逃げよう!と何度となく言ったのだが 母は
死にたくない ひとりで逃げて
と四女をを逃がした。
おばは母が怖がりだと言ったが
母の本音は
五番目の長男の一層の虐待を恐れていた。せめて四女だけでも救いたかったのだった。母は何度となく犯されはては長女の知る事となった。
長女はやくざな男に身も心も奪われていたので常人の思考はなく
このバイタ!と言って母の顔を2つに切った。目と鼻と口を二分した。母の鼻の傷は骨に達した。気づいた時には
だった。繰り返し死を思った。そんな絶望の中 母を救いだしたのは父だ。また父の話は後日
長女のこは そんな昔の出来事をつゆ知らず
母の顔の深い傷あとの由縁
悪意なき手紙とともに あの世まで この気持ちはしまっておこうと思った。






バレンタインだから風情がある…








呑み放題(´ψψ`)


